取材2024.12.28
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | S | R |
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Rockets | 2 | 1 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | - | 7 |
世田谷odds | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 4 |
<Rockets>
2021年11月に設立されたRocketsだが、創設メンバーは満仲、歌川、マネージャーの白江の3名で、当時は満仲、歌川はそれぞれ仕事上の関係チームでやむなく助っ人に駆り出されており、草野球にあまり乗り気ではなかった。しかし、ある試合で負けた時に満仲、歌川の中で無視できない悔しさが沸き上がり、その試合の帰路で『せっかくやるなら自分たちでチームを作ろうよ』とRocketsを結成した。チーム結成と言えど当時仲間内に呼び掛けても集まるのはせいぜい5、6人で、いつも助っ人頼りで試合をするのがやっとの状況。時にはマネージャーの白江にも試合に出てもらっていた時期があったりと、立ち上げ当初は厳しい時期を過ごしていた。 しかし松本、森山、大石、武石、田中、藤谷といった現在中核を担うメンバーの加入を機に選手も徐々に揃うようになり、2022年Victoriaリーグに参戦を決めた。だが参戦初年度は「全く通用しなかった」と自ら語る通り予選敗退。とにかく『経験を積むこと』、レベルの高いチームと対戦させていただき『戦い方を学ぶこと』をコンセプトにチームを立て直し、翌年からVictoriaの全大会に参戦を決め、とにかく試合数をこなした。格上の相手と対戦し「目の当てられないような試合結果になることも多々あったが、確実にこの時期で選手は成長した」とその時の状況を振り返る。2023年はプロスタまであと一歩のところで悔し涙を流したが、勝つ事への見えないプレッシャーを全員が感じ、今年は年初より『エラーOK!三振OK!たかが草野球、エンジョイベースボール!』をチームコンセプトに運営した結果、チーム全体に勢いが生まれた。その背景には現在2部リーグに所属し、4部優勝経験を誇る葛飾セブン代表の佐野間が満仲と同郷(三重県)出身といった縁もあり、佐野間からチーム運営の極意を学んでいた。また梶原、北村良、篠田、原、亀田、山崎といった新戦力が加わった事で一層厚みを増し、今季は松本、亀田両投手を中心に藤谷、原の両捕手がゲームを組み立て、守りからリズムを作る野球を徹底している。打線は上位から下位まで切れ目がなく、中でも大城、北村良、篠田は特に勝負強さを持ち合わせ、ここまでRocketsの得点源となってきた。自らを「チーム全体に派手さはない」と語るが、選手それぞれが自身の役割を認識しており、全ポジションをこなす事ができる武石や梶原などユーティリティプレイヤーが多いのも一つの特徴で、年間60試合近くを消化し培ったここ一番の集中力も勝負を分けるポイントとなる。「3年前に満仲、歌川、白江のたった3人から始まったチームが神宮でプレーできることを、共に戦うメンバーへ感謝しながらプレーを楽しみたいと思います」と勝負を前に控えめに話したが、彼らの内に秘めている想いは強く、勝負の鐘が鳴った瞬間から闘志を剥き出しにするだろう。夢にまで見たプロスタの舞台、Rocketsは予選の勢いそのままに頂点への階段を駆け上る!!(詳しくは決勝進出チーム特集へ)
<世田谷odds>
Victoria参戦5年目の今シーズン、一気に飛躍を遂げた世田谷oddsを紹介すると、2018年の結成から今年で7年目のシーズンを迎え、20代~40代を中心に『エンジョイベースボール』をスローガンに掲げ、結成当初は世田谷区を拠点に活動を始めたが、最近では都内を中心に広範囲で活動している。そんな世田谷oddsはVictoriaリーグに2020年から参戦を果たし、初年度は3部予選ブロック4位、2年目は同じく3部リーグで6戦全敗を喫しチームはどん底を味わった。Victoriaの壁に直面したチームは2022年から戦いの舞台を4部リーグに変え、4部参戦初年度となった2022年は予選で4勝を挙げて初の決勝Tへ進出すると、ベスト16まで勝ち進み一筋の光が差し込む。しかし、その翌年はまさかの予選ブロック4位と再び低迷するかと思いきや、参戦する度に勝利への欲が増した彼らは『今年は絶対に決勝へ行こう!』をスローガンに今シーズンが開幕した。そして迎えた2024年、シーズン初戦から先発を務めたエースの小役丸を中心に打線も2桁得点を2度叩き出し、予選は6戦全勝と他を寄せ付けない強さを見せた。決勝Tへ進んでもその勢いは更に加速し、初戦のTokyo RIOT戦は5-1、2回戦のAlbatrossは6-1で下し、準々決勝のふじみ野ジャイアンツ戦は5-2で逆転勝利を飾りプロスタ進出を射程圏内に捉えた。迎えたセミファイナルの大一番、相手も初のプロスタ進出を目論むHOMIE JOCKSが相手となったが、試合序盤から得点を重ね主導権を握ると、投げては小役丸がしっかりと先発投手の役目を果たし、参戦5年目で悲願のプロスタ進出を決めた。初のファイナル進出で意気揚々と決戦の時を待つ世田谷oddsの面々を紹介すると、絶対的エース小役丸の投球がチームの命運を左右する事は間違いない。彼の好投無くして今季の飛躍はなかったが攻撃陣も予選から好調をキープしており、ホームランを放っている吉川、小川(翔)、渡辺を筆頭に片岡、福嶋、須藤にも長打が期待できる。「攻撃は細かい野球はせず、積極的な戦術を武器にエンジョイベースボールでここまでやってきた」と福嶋代表は語ったが、例え劣勢となったとしても、ここで紹介した彼らには流れを変える一打に期待したい。決戦を前に「今回、目標としてきた決勝の舞台に立てましたので、このままエンジョイベースボールで頂点を目指したいと思います」と大舞台を前にしても冷静に最後を締めくくったが、来季再び挑戦する3部リーグを前にここでビッグタイトルを手中に収め、王者の称号を引っ提げ2025年シーズンを迎えたいところだ。エンジョイベースボールを掲げる世田谷oddsが、神宮の舞台で最高の笑顔を見せる!!(詳しくは決勝進出チーム特集へ)
Victoriaファイナル2024の最終ゲームとなった4部リーグ決勝戦。Rockets松本、世田谷odds小役丸の両先発で開始されたゲームは初回から動き、先攻のRocketsが1アウトから2番飛田の2ベースヒットで得点圏にランナーを置くと、3番大城のレフト前ヒットで2塁ランナーの飛田が生還し、1点を先制する。更には2アウトランナー3塁から5番歌川のショートゴロが相手のエラーを誘い、Rocketsはこの回2点目を奪い試合の主導権を握る。しかし世田谷oddsもその裏、1番の関谷が初球をフルスイングしライトフェンス直撃の2ベースヒットを放つと、続く2番宮崎がフォアボールを選び1アウト1,2塁の場面で、2塁ランナーの関谷が初球スチールを仕掛ける。するとサード満仲がキャッチャーからの送球を取り損ね、ボールが外野に転がる間に世田谷oddsが1点を返す。更には4番渡辺が1アウト2塁からレフトオーバーの3ベースヒットを放ち2点目を追加、5番長屋の打席では痛恨のバッテリーエラーと、世田谷oddsはこの回3点を奪い試合をひっくり返す。試合は2回も動き、Rocketsは1死満塁のチャンスから飛田の内野ゴロの間に1点を返して同点に追いつくが、世田谷oddsも8番俊足の丸山がフォアボールで出塁すると、2つのスチールとワイルドピッチの間に生還し、世田谷oddsは丸山の足を活かした攻撃ですぐさま勝ち越しに成功した。序盤の展開から打ち合いも予想されたゲームだが、続く2イニングは両チーム先発が無失点に抑える。5回表、Rocketsは2つの四死球と4番満仲の意表を突くセーフティーバントで無死満塁のチャンスを迎えると、続く歌川がセンター前ヒットを放ち、まずは同点。更に6番篠田もセンター前ヒットを放ち、Rocketsは怒涛の攻撃で5-4と逆転に成功。世田谷odds小役丸も何とか2アウトとするも、その後エラーとデッドボールで更に2点を献上し、Rocketsはこの回に打者一巡の猛攻で4点を奪い、7-4と一気に3点をリードした。追い付きたい世田谷oddsだが、3回以降立ち直ったRockets松本を攻略できず、5回裏も無得点。そしてRocketsは6回裏に2番手としてマウンドに上がった亀田が、残り2イニングをパーフェクトリリーフと素晴らしい投球を見せ、試合は6回以降動かず7-4でRocketsの勝利。MVPには5回表に貴重な勝ち越し打を放ったRockets篠田が選ばれた。(詳しくはライブ配信動画をご覧下さい)
<Rockets>
先発の松本は5回を投げて3安打自責点2としっかりとエースの役目を果たし、その後を継いだ2番手の亀田も2回をパーフェクトリリーフと今季の快進撃を支えた二人が神宮の舞台でも躍動してくれた。7本のヒットを放った攻撃陣も個々の能力の高さを十分に示し、中でも決勝打を放った篠田は前を打つチーム創設者の満仲と歌川の期待にしっかりと応え、素晴らしいバッティングだった。その満仲と歌川もこの日はクリーンアップとして得点に絡む活躍を見せ、チームの勝利に大きく貢献した。そしてベンチではチーム創設メンバーの白江がその雄姿をカメラに収め、試合後に3人で撮った記念写真は白江が中心に立って優勝トロフィーを持ち、今までの苦労が報われる瞬間となっただろう。チーム創設者の3人には最大限の賛辞を贈り、3部昇格となった来季以降もRocketsを引っ張り続けてもらいたい。
<世田谷odds>
試合序盤はゲームを優位に進め、初回の1番関谷と4番渡辺の長打は上部チームにも引けを取らない飛距離を叩き出し、球場にいる全ての人を惹きつける豪快なバッティングだった。更には2回に見せた8番丸山の2つのスチールと好走塁は相手の意表を突く攻めの姿勢で、Rocketsに傾きかけた流れを丸山一人の力で再び世田谷oddsに引き寄せる素晴らしい活躍だった。先発の変則左腕小役丸も敗れはしたものの、6回をしっかりと投げ切ったゲームメイク能力や、神宮を決めたセミファイナルをはじめとする1年間の活躍は充分評価に値する。そして何よりこの日はベンチ入り選手も含めた12名が、追う展開になっても最後まで全員で野球を楽しんでおり、その姿は印象的だった。神宮の地でもチームスローガン『エンジョイベースボール』をしっかりと体現した彼らだが、再びプロスタの地に還り世田谷oddsらしい野球を見せてほしい。