取材2024.12.22
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | S | R |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
FENRIL | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | 1 |
湾岸ベースボーイズ | 0 | 2 | 1 | 1 | 0 | 0 | × | - | 4 |
<FENRIL>
チーム立ち上げは2022年、1996年世代で結成した北欧神話に登場する巨大なオオカミをモチーフとしたユニフォームが特徴的なFENRILが、メンバーは16名と少数精鋭ながらチーム方針でもある『打ち勝つ野球』をオータムカップで体現し、ファイナルの舞台へと足を踏み入れる。そんなチームの内情を覗いてみると過去3度の準決勝敗退経験を持ち、惜しまれながらも解散した漁火の選手も何名か所属、2022年のチーム結成時からポテンシャルの高さは窺い知れた。それ故にVictoriaでも着々と実績を積んでいき、初参戦の2022年は3部リーグで決勝Tに進みベスト8、サマーカップでもいきなりベスト8へ進出し、大会本部も将来有望チームとして注視していた。続く翌年の2023年は2部リーグへ自主昇格、予選から好調を維持し決勝T以降も勢いは衰えず、準決勝では惜しくも敗れたもののプロスタを射程圏内に捉え、今シーズン見事にオータムカップでプロスタ進出を果たした。オータムカップでの戦いぶりを振り返ると、初戦はVictoriaで過去2度のタイトル獲得経験を持つスタイガー相手に4-0の完封勝利を挙げ勢いに乗ると、WILL BASEBALL CLUBやAvengersと言ったプロスタ経験チームを抑え、準決勝へとコマを進めた。迎えたジョルターヘッズとのセミファイナル、昨年は2部リーグで悔し涙を飲み今年の準決勝に懸ける想いは人一倍強かった。その想いはプレーにも表れて初回に3点を先制し、先発の桜井がそのリードを守り3-1で勝利を掴んだ。そして迎える決勝戦、昨年2部準決勝敗退の悔しさを知る戸田やジョルターヘッズ戦で完投勝利を挙げた桜井が勝利のカギを握るだろう。更には代表としてチームを引っ張る強肩の高倉、漁火時代からの主力である四方山、チームの主砲岡本はチャンスにめっぽう強く、彼らの活躍にも注目したい。 『出来るだけ全員試合に出れるようにしてるチーム』と語る彼らだが、選手皆の仲が良くチームワークも抜群で、この神宮の舞台を選手全員が楽しんでいる姿にも目を向けてほしいところだ。過去6度の秋王者の顔ぶれを見てみると上位常連組や一時代を築いたチームなどの名前がズラリと並ぶが、FENRILは彼らと肩を並べ新時代の寵児となるのか、多くの草野球戦士がFENRILの一挙手一投足に注目する。チーム名の由来でもあるオオカミのよう鋭い眼差しで獲物を捕らえ、FENRILは虎視眈々と頂点を狙う!!(詳しくは決勝進出チーム特集へ)
<湾岸ベースボーイズ>
チーム結成は2008年、今年で16年目を迎えた湾岸ベースボーイズだが、Victoriaには2016年に初参戦を果たした。今季でVictoria9年目のシーズンを迎える品川の雄は、ファイナル5度出場のうち優勝3回、準優勝2回と輝かしい実績を誇る。決勝は2022年の夏以来2年ぶりの出場となるが、1部リーグの決勝においては2018年準優勝以来6年ぶりと最高峰リーグ決勝からは遠ざかっていた。Victoriaで4つ目のタイトル獲得を目指し迎えた2024年シーズン、今大会は準決勝までの9試合で57得点と主将の藤野、副将の大林(穂)に加え、長濱、渡邊、増田が中心となりチームを引っ張った。40代のベテランと20代前半の若手が融合し、全員が同じ目標に向かって突き進むところが湾岸ベースボーイズの強みの一つであるが、チームは今年6月にスプリングカップ4回戦、サマーカップ1回戦と2週連続で敗退し、どん底を経験した。その悔しい敗戦からチームで何が必要かを徹底的に話し合い、迎えた1部リーグ最終戦でコールド勝ちを収め窮地を脱し、そこから決勝Tとオータムカップを含め見事に9連勝を飾り神宮の舞台を掴んだ。そんな湾岸ベースボーイズの投手陣を見てみると、今季Victoria13勝を挙げたエース左腕の藤原(凌)と鉄腕米望の左右の2枚看板に加え、抜群のコントロールが持ち味の大林(日)、巧みな投球術が光る長身右腕の瀧瀬、若手には西野、加藤も控える。その投手陣を支えるのは長濱、岡部、小堂の3人で誰がマスクを被っても扇の要として勝利に貢献できるほど層が厚い。更にバックを守るインフィールダーは鉄壁の守備を誇る藤野と大林(穂)を中心に長濱、山田、増田、川上、瀧川、施、松本で形成され、外野は広い守備範囲と強肩を誇る増田と大林(日)、胡麻を中心に酒井、齋、矢野、岩本らで構成される。また内田、渡邊、村上は内・外野守れるチームには欠かすことのできないユーティリティープレイヤーだ。攻撃面は高い出塁率と俊足を誇るリードオフマンの増田、大林(日)、大林(穂)、山田、胡麻から始まり、渡邊、長濱、酒井、岡部、小堂、村上、藤野、内田、齋、川上、松岡は皆チャンスに強く、誰もが主軸を務められる充実ぶり。さらにミート力の高い施、松本、岩本、黒川、小岩に俊足が光る瀧川の打線で9試合57得点を奪った。そこにムードメーカーの河股と、正3塁コーチャーの松尾も重要な役割を担っていることは言うまでもない。最後に忘れてはならないのは長年代表を務める宮島がチームを支え、マネージャーも常にベンチから大きな声を出しナインを鼓舞する。4年ぶりのタイトル奪還、そして1部リーグとの2冠獲得を目指し、湾岸ベースボーイズが神宮の杜で勝利の雄叫びを上げる!!(詳しくは決勝進出チーム特集へ)
FENRILは戸田、湾岸ベースボーイズは米望の先発で試合開始。ゲームが動いたのは2回表、FENRILは先頭の4番岡本がフォアボールを選び、相手エラーなどもあり2アウトランナー2,3塁とすると、7番加藤の内野ゴロの間に3塁ランナー岡本が生還し、FENRILが1点を先制。2回裏、湾岸ベースボーイズは4番岡部のデットボール、5番小堂のライト前ヒット、6番大林(日)の内野安打で無死満塁と絶好のチャンスを迎えと、その後パスボール、更には押し出しを選び、すぐさま湾岸ベースボーイズが2点を奪い逆転に成功した。1点をリードされたFENRILは、3回表に9番の福濱が初球を振り抜き3ベースヒットとし得点圏にランナーを置くが、湾岸ベースボーイズ米望が粘りの投球を見せてこの回は無得点。湾岸ベースボーイズは3回裏にもチャンスを迎え、3番渡邊の2ベースヒット、小堂のフォアボール、大林(日)のライト前ヒットで1死満塁とすると、8番大林(穂)がフォアボールを選んで3点目、湾岸ベースボーイズがリードを広げる。更に続く4回裏、前のイニングから2番手としてマウンドに上がったFENRIL大槻を攻め立て、先頭の1番増田、2番長濱の二者連続安打でこの日3度目のチャンスを迎えると、1アウト2,3塁から岡部の放ったショートへの大飛球が相手の送球エラーを誘い、湾岸ベースボーイズが3点差となる貴重な4点目を奪った。FENRILは5回から3番手としてサウスポーの櫻井(政)がマウンドに上がり、ランナーこそ許すものの続く2イニングで3つの三振を奪うなど好投を見せ、味方打線の援護を待つ。しかし湾岸ベースボーイズ先発の米望は5回、6回も得点圏にこそランナーを許すが無失点を継続。そして最終回となった7回表は3人でピシャリと抑え、4-1で湾岸ベースボーイズが3度目の秋頂点に君臨した。MVPには7回1失点完投の好投を見せた湾岸ベースボーイズ米望が選ばれた。(詳しくはライブ配信動画をご覧下さい)
<FENRIL>
初めてのプロスタで若干緊張もあったか、先発の戸田は2回1/3を4四死球とピリッとせず、FENRILは序盤から主導権を握られた。打線も得点圏にはランナーを置くものの湾岸ベースボーイズ米望からあと一本が出ず、悔しい敗戦となってしまった。しかしながら注目選手として名前が挙がった四方山、岡本、一杉の3人は神宮の舞台でポテンシャルの高さを遺憾なく発揮し、中でも岡本の4番打者としての威圧感は相手チームの脅威となったことだろう。そして、セミファイナルで完投勝利を飾りチームをプロスタに導いた櫻井(政)は3番手としてマウンドに上がり2回を無失点と、湾岸ベースボーイズに傾いた流れを引き戻す素晴らしいピッチングだった。結果的に敗れたFENRILだが、この経験を糧に来シーズンもチーム方針である『打ち勝つ野球』を体現し、ユニフォームのデザインにもあるオオカミのように2025年も暴れまわってほしい。
<湾岸ベースボーイズ>
序盤から貰ったチャンスをしっかりと活かしながら終始試合を優位に進め、3度目の秋チャンピオンに君臨した湾岸ベースボーイズには最大限の賛辞を贈りたい。ローリングスのグラブを身に纏い先発のマウンドに上がった米望は先制点こそ許したが、その後はスコアボードに『0』を刻み続け、7回を投げて被安打5、6奪三振1失点(自責点0)と圧巻の投球だった。そして自慢の強力打線は好投手相手に7安打とこの日も勝負強さを見せつけ、中でも6番の大林(日)は猛打賞の活躍と高い打撃センスを見せつけてくれた。しかしチーム全体を見てみると残塁は2ケタに達する『10』と、チャンスであと一本が出ていればもう少し楽な展開で試合を進められただろう。『打線は水もの』ではあるが、これまでのVictoriaにおいて未だ同大会を4度制覇した猛者は現れておらず、湾岸ベースボーイズには来季、前人未到の秋4度目のチャンピオンを目標に戦ってほしい。