特集2024.12.07

Which Win!? -Victoriaリーグ1部総括&ファイナリスト特集-

昨年王者が決勝T初戦で敗れる波乱! カップ戦優勝経験を持つ両雄が新たに最強王者の称号獲得を懸け激突!!

【Aブロック】 4勝1敗1分けで勝点が並ぶも自慢の投手陣を武器に首位の座を掴んだのは湾岸ベースボーイズ、中でもエース藤原(凌)の活躍が際立っていた。その湾岸ベースボーイズ戦で敗れ、得失点差で2位となった東京ドナルドダックだが、美濃が先発した試合は5戦負け無しと若きエースが勝利を呼び込み、Tommys BBCもエース小菅の活躍がチームに勢いを与え、強豪相手に4勝を挙げワイルドカードで決勝T進出を掴んだ。TOKYO NAVYSEALS、REDSOXは上位チーム相手に善戦するもあと一歩届かなかった。

【Bブロック】 圧巻の5連勝で首位通過を決めたのは参戦14年目のジョルターヘッズ、今季もベテランと若手の融合によりリーグを盛り上げる熱い試合を展開した。SCRATCHは初戦でジョルターヘッズにこそ敗れるが持ち前のポテンシャルでそこから連勝を飾り2位通過、 Revivalは2敗を喫するも最終戦で見せた勝利への執念が実り、ワイルドカードでの決勝T進出を呼び込んだ。4位のマリモーズは苦しい展開が続き負け越ししたものの、ベテランの日下は今季も躍動しチームを牽引した。

【Cブロック】 3年連続の首位通過を果たしたジャンクベースボールクラブは1部リーグ予選最多の48得点に加え、守備では予選最少の2失点と若手を中心に攻守で華々しい活躍を見せた。2位のPIECEは首位の座こそ譲ったものの投手陣の健闘が光り、2年ぶりの決勝T進出を決めた。過去プロスタ進出経験を誇る吉岡クラブ、GOLGO BASEBALL CLUB、清瀬ロングコックスには来季の巻き返しを期待し、未勝利に終わったSundaysにとっては特に厳しいシーズンとなったが、最終戦で奪った意地の勝ち点1は必ずや来季に繋がるだろう。

【Dブロック】 昨季1部リーグを制覇したブルーサンダースはDブロック唯一の無敗を飾り、絶対的エース伊藤を中心に安定した試合運びで首位に立った。2位争いは3勝2敗でWILL BASEBALL CLUBとダディーズベースボールの2チームが勝点で並んだが、得失点差で2位となったWILLが2016年以来8年ぶりの決勝T進出、ダディーズも2年ぶりの予選突破を果たした。 惜しくも予選敗退に終わったDejavu、ちゃんぷるーず∞の両雄は近年プロスタから遠ざかっているだけに来季の復権を期待したい。そしてRED HILLも初のプロスタ進出を目指し躍動してほしい。

【Eブロック】 今季より自主的に所属リーグを2レベル上げた品川オレンジだったが、結果的にはリーグ4勝と首位で予選を終え、岡田(侑)、松本、江川を中心とした投手陣の活躍は見事だった。昨季オータム王者の下町Tempestは品川オレンジに敗れたが今季も好調を維持し2位通過を決めると、昨年の1部リーグ準優勝チームCHUYANS+も下町Tempestと勝点10で並び、ワイルドカード枠1位で決勝T進出を決めた。昨年1部リーグ3位のSaintsは最終戦を落とし、まさかの予選敗退となったが、彼らにとって来季はリベンジを掲げる1年となるだろう。

【Fブロック】 予選リーグを通して拮抗した戦いが多く各チーム引き分けが目立ったが、その中でもスタイガーが唯一の3勝で首位通過を決め、参戦12年目の強豪が今季も1部リーグを盛り立てた。リーグ戦でもタイトル獲得を狙う我孫子フラワーズは苦戦を強いられるも3つの引き分けで予選2位通過を決め、2021年に1部リーグ準優勝に輝いたBIGFACEは上位相手に勝ち星を奪えず、惜しくも予選敗退となった。3年ぶりの決勝T進出を目指した東京実業健康保険組合も競った試合が多く、来季も侮れない存在だ。

【決勝トーナメント】 16チームで頂点の座を競う毎年波乱の起こる決勝トーナメントだが、まず特筆すべき点は昨年王者ブルーサンダースが決勝T初戦で姿を消した事だ。その敗れた相手こそ昨年神宮の舞台で敗北を喫したCHUYANS+、彼らはそのまま勢いに乗るかと思われたが、そのCHUYANS+をサドンデスの末下し勝ち上がったのは東京ドナルドダックであった。2013年の1部リーグ優勝を含め3度のファイナル進出経験を誇る彼らだが、2019年サマーカップ優勝を最後に決勝の舞台から遠ざかっており、5年ぶりのファイナル進出、そして11年ぶりの王座奪還を狙い惜しくもファイナル目前の準決勝で姿を消したが、その戦いぶりは実に見事だった。更には参戦14年目を迎えたSCRATCHは初の1部リーグ4強入りを果たし、2022年2部リーグ準優勝で12年越しとなる悲願の神宮進出を掴んだ彼らだが、最高峰リーグ2年目で見事1部リーグファイナル進出へ王手をかける堂々たる活躍を見せた。Best4には昨年の4強進出チームの姿は無く、まさに紙一重のハイレベルな戦いが今シーズンも繰り広げられた中、決勝戦へとコマを進めたのは湾岸ベースボーイズと下町Tempestであった。

もはやVictoriaにおいて中心的存在であり紹介不要の両チームではあるが、2018年準優勝を飾って以来の4強入りとなった湾岸ベースボーイズは、準々決勝では春のファイナリスト我孫子フラワーズとの1点差ゲームを制し、勢いそのままに準決勝では大勝を飾り一気にファイナル進出。更に11月にはオータムカップ決勝進出の切符も掴み、2019年以来の2大会でのファイナル進出を決めた。一方、昨秋王者の下町Tempestは最高峰リーグ1部では初の4強進出。こちらもサマーカップと2年連続の複数大会でのファイナル進出に加え、決勝トーナメントの3試合すべて1点差ゲームを制しており、驚異的な勝負強さも持ち合わせる。
どちらもVictoriaを代表するチームであり決勝戦は好ゲームになることは言うまでもないが、今季は既にオータムカップ準々決勝で対峙し、秋は1-0で湾岸ベースボーイズに軍配が上がっている。敗れた下町Tempestにとっては最高峰リーグ決勝の舞台でリベンジを狙う形となるが、再び迎える2ndラウンドの結末は如何に!?草野球界最高峰の戦いが間もなく幕を開ける!!

湾岸ベースボーイズ(東京都)今大会 9試合57得点17失点

チーム結成は2008年、今年で16年目を迎えた湾岸ベースボーイズだが、Victoriaには2016年に初参戦を果たした。今季でVictoria9年目のシーズンを迎える品川の雄は、ファイナル5度出場のうち優勝3回、準優勝2回と輝かしい実績を誇る。決勝は2022年の夏以来2年ぶりの出場となるが、1部リーグの決勝においては2018年準優勝以来6年ぶりと最高峰リーグ決勝からは遠ざかっていた。
Victoriaで4つ目のタイトル獲得を目指し迎えた2024年シーズン、今大会は準決勝までの9試合で57得点と主将の藤野、副将の大林(穂)に加え、長濱、渡邊、増田が中心となりチームを引っ張った。40代のベテランと20代前半の若手が融合し、全員が同じ目標に向かって突き進むところが湾岸ベースボーイズの強みの一つであるが、チームは今年6月にスプリングカップ4回戦、サマーカップ1回戦と2週連続で敗退し、どん底を経験した。その悔しい敗戦からチームで何が必要かを徹底的に話し合い、迎えた1部リーグ最終戦でコールド勝ちを収め窮地を脱し、そこから決勝Tとオータムカップを含め見事に9連勝を飾り神宮の舞台を掴んだ。
そんな湾岸ベースボーイズの投手陣を見てみると、今季Victoria13勝を挙げたエース左腕の藤原(凌)と鉄腕米望の左右の2枚看板に加え、抜群のコントロールが持ち味の大林(日)、巧みな投球術が光る長身右腕の瀧瀬、若手には西野、加藤も控える。その投手陣を支えるのは長濱、岡部、小堂の3人で誰がマスクを被っても扇の要として勝利に貢献できるほど層が厚い。更にバックを守るインフィールダーは鉄壁の守備を誇る藤野と大林(穂)を中心に長濱、山田、増田、川上、瀧川、施、松本で形成され、外野は広い守備範囲と強肩を誇る増田と大林(日)、胡麻を中心に酒井、齋、矢野、岩本らで構成される。また内田、渡邊、村上は内・外野守れるチームには欠かすことのできないユーティリティープレイヤーだ。
攻撃面は高い出塁率と俊足を誇るリードオフマンの増田、大林(日)、大林(穂)、山田、胡麻から始まり、渡邊、長濱、酒井、岡部、小堂、村上、藤野、内田、齋、川上、松岡は皆チャンスに強く、誰もが主軸を務められる充実ぶり。さらにミート力の高い施、松本、岩本、黒川、小岩に俊足が光る瀧川の打線で9試合57得点を奪った。そこにムードメーカーの河股と、正3塁コーチャーの松尾も重要な役割を担っていることは言うまでもない。
最後に忘れてはならないのは長年代表を務める宮島がチームを支え、マネージャーも常にベンチから大きな声を出しナインを鼓舞する。4年ぶりのタイトル獲得、そしてリーグ戦初のタイトル奪取を目指し、湾岸ベースボーイズが神宮の杜で勝利の雄叫びを上げる!!

≪注目選手≫
#11 藤原 凌(投手) 2000年6月1日生まれ 二松学舎付属高等学校~東京経済大学(軟式)
今季Victoria13勝を挙げる湾岸左のエース。誰よりも気持ちが強く気迫の投球でチームを導く左腕はピンチの場面でも常に真っ向勝負を挑む。ダイナミックなフォームから繰り出される切れのあるストレートと変化球は必見だ。
『ピンチになっても粘り強くて投げて僕が湾岸を優勝させます。』

#27 小堂 颯来(捕手) 2002年6月9日生まれ 東海大学付属静岡翔洋高等学校~東海大学(軟式)
今季加入した大学軟式日本代表経験を持つ湾岸のニュースター。瞬く間にチームの主力選手となり「小堂の活躍なしではここまで勝ち上がれなかった」と宮島代表も唸る。神宮の舞台では打撃はもちろん、捕手としても注目だ。
『若手らしく思い切ってプレーします!チームの皆さんと全力で優勝を目指します。』

#33 村上 耀(外野手、内野手) 2002年5月2日生まれ 宮城県気仙沼高校(軟式)
進学のため宮城から上京しSNSを通じて湾岸に入団した異色の経歴。入団直後は途中出場も多かったが、若さを武器に脅威の成長力で打撃が開花。今では打線の主軸、ムードメーカーとしてチームに無くてはならない存在だ。
『チーム一丸となって優勝を掴み取り、宮島さんを胴上げします!』

下町Tempest(東京都)今大会 8試合38得点12失点

下町の友人を通じて結成された下町Tempestはその名の通り、東京都の江戸川区、足立区、葛飾区出身のメンバーを中心に構成され、平均年齢は25歳。結成4年を迎えチーム力も年々向上し、Victoriaリーグを語る上で必ずと言っていいほど常々名前の挙がる存在だ。
チームは2023年Victoria年間MVPを受賞した武藤と絶対的エース望月の存在が目立ちがちだが、代表の武藤いわく「今年は自分自身が全く役に立たず、その時に他の選手が素晴らしい活躍を見せ、代表としてすごく嬉しく、チームの強さを感じた1年だった」と2024年シーズンを振り返る。自らの貢献度を厳しい自己評価で語った武藤は「今年も人数不足により対戦相手チーム様には日程で迷惑を掛けてしまった」とここまで戦った相手チームへの敬意を忘れず、今季のVictoira4大会は半数以上がビジターゲームとなった中、4大会中2大会で決勝に進めたのは収穫のある1年になったことだろう。
チームの今季目標は『全て優勝!(リーグとサマーは必須)』を掲げ、結果的には全大会とはならなかったものの、リーグとサマーは優勝に王手をかけた。スローガンは『打てなくて当たり前、エラーして当たり前、せっかくの日曜日なんだから楽しく!』と当初のスローガンから変わらず、代表の武藤は「神宮に出て満足ではなく、せっかくやれるなら優勝して終わりたいです!」と決戦を前に語気を強めた。
冒頭でも触れた通りチームの中心は武藤と望月だが、今大会は岡本、大石、染谷、島根、滝澤、松本の各選手が要所で長打を放っている。そしてその打線の先頭に立つ市川は核弾頭としてチームを牽引し、市川のバットが勝敗を左右すると言っても過言ではないだろう。また、普段試合になかなか出場出来ないメンバー達に神宮の舞台で出場機会を与えるべく『必ず2個以上神宮を決めよう!』とチーム内で話し合った通り、有言実行で2枚の切符を手に入れた彼ら。ここでは名前の挙がらなかった面々にも大きな期待を寄せる。
武藤はここまでの戦いを振り返り「試合に出ている9人で掴み取った神宮ではない」と周囲への配慮を忘れず、「来れていないメンバーの金銭面での支え、応援メッセージ、ベンチワークをしてくれているメンバー、下町Tempestに関わってくれている全ての人に感謝して、全員出場で2個優勝出来るように頑張ります!」と語った。更に「ちなみに相変わらずマスコットの77番石井(愛称:たぬき)は元気です。今年2試合ほど公式戦に出して、毎試合やらかしてます」と愛のあるイジりを忘れず「実は石井の高校の後輩がいて石井の事を師匠と呼んでいます」と武藤らしく締め括った。後輩も見守る中、今年も石井は胴上げ投手になれるか!?全員野球で頂点を目指す!!

≪注目選手≫
#21 大石 基樹(外野手) 1998年6月21日生まれ 都立城東高校
チームの代表、武藤を教祖と崇める信者。武藤と野球道具が被りがち。チーム及び武藤への献身的な打撃や、両翼との連携による広い守備範囲が持ち味だ。影と髪が薄くよく忘れられるので、決勝の舞台では存在感を示したい。
『代表の武藤を信じたおかげでここまで来られました!決勝戦も貫きます!』

#25 松本 怜士(内野手) 1998年11月25日生まれ 都立江戸川高校
大きな声とハッスルプレーでチームを鼓舞する下町の暴れん坊将軍。174cm104kgの恵まれた体格を活かした豪快な打撃と体重が重いことによって磨かれたハンドリングにも注目だ。神宮では攻守両面での働きに期待がかかる。
『神宮での過去3戦ヒットを打てなかったので、今年こそは初ヒットを打ち勝利に導きます!』

#33 鈴木 達也(外野手) 1998年5月10日生まれ 国士舘高校
代表から「キャッチボールが出来れば独立リーガー」と評される強靭なフィジカルを持つチーム副代表。外野での天才的なポジショニングと球際の強さは必見だ。怪我に苦しんだ分、決勝戦では元気に球場を駆け回ってほしい。
『怪我でチームに迷惑を掛けていた時期もありましたが、最高のチームメイトとまた神宮に来ることが出来て本当に幸せです。チームの為に全力を尽くします!』

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