特集2024.11.29
春と同様に14回目の開催となったサマーカップだが、ここ10年間は毎年のようにチャンピオンが入れ替わり、草野球界において最高峰レベルのトーナメント大会と言っても過言ではない。
それ故に近年の優勝チームの戦いぶりを振り返ると、2022年王者の清瀬ロングコックスは2回戦でジャンクベースボールクラブに0-6の敗戦を喫し、2021年王者のPIECEは1回戦で青霧相手に2-3と敗れ、優勝候補の一角は早々に姿を消した。さらに優勝候補として名前の挙がる春のファイナリスト我孫子フラワーズは初戦でSCRATCH相手に敗れ、同じくPEACEも初戦でNBSに2-11の大敗を喫するなど、夏の難しさを物語る結果となった。
だが近年頭角を現すチームも黙っておらず、昨季の2部王者KFBCは今季昇格を決めた最高峰1部リーグでこそ苦戦を強いられるも、このサマーカップでは4強進出と本領を発揮。参戦2年目の若武者GIANT KILLINGは初の8強入り、昨年1部ベスト4のSaintsも8強入りを果たし、ポテンシャルの高い将来性溢れるチームが上位に名を連ねた。一方で上位陣の中でも参戦12年目を迎えたダディーズベースボールが初のベスト8進出を果たすなど、2025年は悲願のファイナル進出に向けて期待が膨らむ。更に8年ぶりの4強入りとなったDejavuは準決勝で1点差に泣き惜しくもファイナル進出を逃したが、長い低迷期を乗り越え、2025年こそ主役の座に躍り出るだろう。また、初出場のRedBulls、練馬GOLDENHIGHER、ピーターズ、BLACK VASILEUS、ムコウズ、多摩川ドラーズら新星も楽しみな存在で、彼らの来季の戦いぶりにも注目だ。
そして長い夏を乗り越え、見事に決勝進出を決めたのは昨季のオータム王者・下町Tempestと、2021年サマー準優勝のナイトフィーバーズであった。
両チームは互いに初戦で苦戦を強いられるも、下町Tempestは絶対的エースの望月、ナイトフィーバーズは2回戦以降全試合を投げ抜いてきたエース青地と、両者ともに抜群の投手力を武器にここまで勝ち上がってきた。下町Tempest望月はテンポの良いピッチングから自慢の速球と変化球を巧みに操り攻撃にリズムを与える。加えて2023年Victoria年間MVPの武藤も近年投手としてもメキメキと実力をつけ、Victoria各大会で安定した投球を披露しており、神宮の舞台でも彼の登板が楽しみだ。一方のナイトフィーバーズ青地は前述した通り2回戦以降は全試合を一人で投げ抜き、4試合で僅か4失点とこちらもゲームメイク能力に長けており、準決勝では自らのバットでチームに勢いを与えるホームランも放つなど投打でチームを牽引する。そこに攻守のキーマンとして長年チームを支える林の活躍も光っており、決勝戦でもここまでチームの窮地を救ってきた彼の活躍に注目が集まる。
両雄とも中軸に好打者を揃えた抜け目のない打線も特徴ではあるが、試合展開としては互いに一歩も譲らぬ熾烈な投手戦を繰り広げることが予想されるだろう。下町Tempestは昨年の秋に続くカップ戦制覇まであと1勝、ナイトフィーバーズにとっては3年越しのタイトル獲得。果たして、意地とプライドが激突する熱戦の結末は如何に!?戦いの火蓋は12月14日 11時00分に切って落とされる!!
チーム名の通り、日曜・平日問わず『夜を楽しく遊び、野球も楽しく勝とう』がチームモットーであるナイトフィーバーズ。る鈴木(俊)監督の付き合いから某芸人達との飲み会もあり『野球以外でも楽しいチーム』を築く彼らだが、夏の激戦を勝ち抜き、3年越しの初タイトル獲得まであと1勝と迫った。
チーム立ち上げは遡ること2013年、前身のサタデーナイトフィーバーズに在籍していた現監督の鈴木(俊)がチームの消滅に伴い、中でも野球に対して熱い情熱を持ったメンバー数名で結成。立ち上げから数年間はタイトル獲得とはならなかったものの、現主将の鈴木(博)、林、青地が主体になった7年程前から埼玉県越谷市の連盟大会で徐々に頭角を現し、2021年にはVictoiraサマーカップで準優勝を経験。その後も他大会で実績を残し、今回Victoiraで2度目のプロスタ進出を決めた。
「ここ1、2年で新たなメンバーも増え、更に活気が出てきた」と3年前のリベンジを虎視眈々と狙う彼らだが、チームの中心選手は絶対的エースの青地だ。今大会を振り返っても青地は投打で大車輪の活躍を見せ、決勝戦も青地の出来がチームの命運を握るだろう。準決勝のDejavuとの一戦では立ち上がりを攻められ1点を先取されるも、すぐさま自らのホームランで同点に追いつきチームに勢いを与えるなど、打撃でも高いポテンシャルが光る。
そんな青地を支えるのは、攻守で決勝進出に貢献した注目選手の林、2回戦のBIGFACE戦で先頭打者アーチを放った豊田に加え、長打も期待できる中内、勝俣、石塚、加瀬が自らのバットでチームを鼓舞するだろう。
3年前の神宮決戦を振り返ってみると、初出場と言う事もあり『全員出場が目標』で総勢16名の選手を送り出した。結果は0-8と振るわなかったが、2021年もエースとして君臨していた青地は3イニングを投げて無安打5奪三振と圧巻の投球を見せつけており、チームも『今年は優勝を目指す』と3年前のリベンジに向けて抜かりない。
ポテンシャルの高い面々が揃う中、ナイトフィーバーズを語るうえで忘れてはならないのは、「練習、試合後の夜の豪遊が団結力を生み出す源」になっている点であろう。前回悔し涙を流した2021年はコロナ禍で思うような活動ができなかっただけに神宮決戦後の夜の豪遊も見応えがありそうだ。果たしてナイトフィーバーズは3年越しのタイトルを手中に収め、夜の街で熱狂することは出来るか!?
≪注目選手≫
#7 林 慧(内野手) 1993年5月14日生まれ 岡山学芸館高校~駒澤大学
走攻守三拍子の揃った野球センス抜群の選手。華麗なフットワークを見せる守備はもちろん、長打力を備える打撃もチーム8年在籍で通算打率.320を記録しており、覚醒モードに入った彼は手がつけられない。
『プロスタでの試合はここ何試合か負けてるので勝ちにこだわって楽しくフィーバーズらしい野球をやりたいと思います。』
#10 鈴木 博貴(捕手) 1990年8月14日生まれ 浦和実業高校〜国士舘大学
ナイトフィーバーズ扇の要であり、キャプテンを任さる選手。投手陣が絶大な信頼を置く捕手としての能力だけでなく、今年は単打に加え長打も量産し現在首位打者を快走中。絶好調男が神宮の舞台で大暴れする。
『前回のsummer cup決勝では悔しい思いをしたので、今回は優勝して今年一年を締めくくりたいと思います!』
#18 青地 功樹(投手) 1995年3月29日生まれ 駒大苫小牧高校~駒澤大学
二刀流でチームを牽引するフィーバーズ投打の主役。7年在籍で通算打率.359、投げては通算650イニング、705奪三振、防御率1.33という驚異的な成績を残す。威力ある直球と持ち前の投球術でチームを初優勝へと導く。
『チームの勝利のためにしっかり投げ、打ち、頑張ります 。優勝します。』
下町の友人を通じて結成された下町Tempestはその名の通り、東京都の江戸川区、足立区、葛飾区出身のメンバーを中心に構成され、平均年齢は25歳。結成4年を迎えチーム力も年々向上し、Victoriaリーグを語る上で必ずと言っていいほど常々名前の挙がる存在だ。
チームは2023年Victoria年間MVPを受賞した武藤と絶対的エース望月の存在が目立ちがちだが、代表の武藤いわく「今年は自分自身が全く役に立たず、その時に他の選手が素晴らしい活躍を見せ、代表としてすごく嬉しく、チームの強さを感じた1年だった」と2024年シーズンを振り返る。自らの貢献度を厳しい自己評価で語った武藤は「今年も人数不足により対戦相手チーム様には日程で迷惑を掛けてしまった」とここまで戦った相手チームへの敬意を忘れず、今季のVictoira4大会は半数以上がビジターゲームとなった中、4大会中2大会で決勝に進めたのは収穫のある1年になったことだろう。
チームの今季目標は『全て優勝!(リーグとサマーは必須)』を掲げ、結果的には全大会とはならなかったものの、リーグとサマーは優勝に王手をかけた。スローガンは『打てなくて当たり前、エラーして当たり前、せっかくの日曜日なんだから楽しく!』と当初のスローガンから変わらず、代表の武藤は「神宮に出て満足ではなく、せっかくやれるなら優勝して終わりたいです!」と決戦を前に語気を強めた。
冒頭でも触れた通りチームの中心は武藤と望月だが、今大会は市川、松本、島根、岡本と4人の打者がホームランを放つなど、各選手が長打力も兼ね備える。中でも市川は核弾頭としてチームを牽引し、市川のバットが勝敗を左右すると言っても過言ではないだろう。また、普段試合になかなか出場出来ないメンバー達に神宮の舞台で出場機会を与えるべく『必ず2個以上神宮を決めよう!』とチーム内で話し合った通り、有言実行で2枚の切符を手に入れた彼ら。ここでは名前の挙がらなかった面々にも大きな期待を寄せる。
武藤はここまでの戦いを振り返り「試合に出ている9人で掴み取った神宮ではない」と周囲への配慮を忘れず、「来れていないメンバーの金銭面での支え、応援メッセージ、ベンチワークをしてくれているメンバー、下町Tempestに関わってくれている全ての人に感謝して、全員出場で2個優勝出来るように頑張ります!」と語った。更に「ちなみに相変わらずマスコットの77番石井(愛称:たぬき)は元気です。今年2試合ほど公式戦に出して、毎試合やらかしてます」と愛のあるイジりを忘れず「実は石井の高校の後輩がいて石井の事を師匠と呼んでいます」と武藤らしく締め括った。後輩も見守る中、今年も石井は胴上げ投手になれるか!?全員野球で頂点を目指す!!
≪注目選手≫
#21 大石 基樹(外野手) 1998年6月21日生まれ 都立城東高校
チームの代表、武藤を教祖と崇める信者。武藤と野球道具が被りがち。チーム及び武藤への献身的な打撃や、両翼との連携による広い守備範囲が持ち味だ。影と髪が薄くよく忘れられるので、決勝の舞台では存在感を示したい。
『代表の武藤を信じたおかげでここまで来られました!決勝戦も貫きます!』
#25 松本 怜士(内野手) 1998年11月25日生まれ 都立江戸川高校
大きな声とハッスルプレーでチームを鼓舞する下町の暴れん坊将軍。174cm104kgの恵まれた体格を活かした豪快な打撃と体重が重いことによって磨かれたハンドリングにも注目だ。神宮では攻守両面での働きに期待がかかる。
『神宮での過去3戦ヒットを打てなかったので、今年こそは初ヒットを打ち勝利に導きます!』
#33 鈴木 達也(外野手) 1998年5月10日生まれ 国士舘高校
代表から「キャッチボールが出来れば独立リーガー」と評される強靭なフィジカルを持つチーム副代表。外野での天才的なポジショニングと球際の強さは必見だ。怪我に苦しんだ分、決勝戦では元気に球場を駆け回ってほしい。
『怪我でチームに迷惑を掛けていた時期もありましたが、最高のチームメイトとまた神宮に来ることが出来て本当に幸せです。チームの為に全力を尽くします!』