特集2024.11.26
2024年で数える事14度目の開催となったVictoriaスプリングカップ。過去の歴史を振り返ると平成時代は毎年のように王者が入れ替わり、連覇を成し遂げるチームは現れなかったが、時代が令和に変わると状況が一転。2020年・2021年とPIECEが連覇を達成すると、彼らは翌年も王座に君臨しPIECEは前人未到の大会3連覇を成し遂げた。
そのPIECEは4連覇を狙うも令和の新時代に頭角を現した我孫子フラワーズが、新たな春チャンピオンに君臨、彼らは2024年の今大会でも順当に勝ち上がった。迎えたプロスタを懸けたセミファイナルでは、初の春ベスト4進出を果たした参戦7年目のNomad.Yankeesを相手に北澤兄弟の弟・玲阿が完投勝利を挙げ、4年連続のファイナル進出(2021年2部リーグ準優勝、2022年オータムカップ優勝、2023年スプリングカップ優勝・サマーカップ準優勝)、そして2年連続の春連覇を射程圏内に収めた。
その我孫子フラワーズ相手に2023年の準決勝で涙を呑んだのは、埼玉県を拠点に活動する赤の戦士・PEACEである。今大会誰よりもリベンジに燃える彼らは、準々決勝まで全て1点差ゲームの接戦をものにすると、僅差でも勝ち切る勝負勘を武器に準決勝では昨年1部リーグ準優勝のCHUYANS+を3-0で下した。悲願のファイナル進出を成し遂げたPEACE、プロスタの舞台でリベンジを果たし、Victoria初タイトル獲得へ邁進する。
残すは決勝戦の1試合となった春の漢を決めるスプリングカップだが、ここまで62試合の戦いぶりを見てみると上位常連組が大会を大いに盛り上げてくれた。
2017年2部リーグ優勝以来遠ざかっている檜舞台への返り咲きを狙った千葉の雄・D'LLERSは惜しくも敗れたものの、3年連続ベスト8入りを果たした実力は見事なものだった。同じくベスト8には、5回目の春8強入りと安定した戦いを見せた湾岸ベースボーイズ、6年ぶりの8強入りを果たした東京ドナルドダックに加え、昨年から2部リーグでも頭角を現しているFENRILはPEACE相手に雨天コールドで1点差負けとなるが、初の8強進出に相応しい活躍を見せてくれた。
更にPIECE、Dejavu、TropicanaはファイナリストのPEACEや我孫子フラワーズに惜敗するも紙一重の戦いを演じ、その他1回戦敗退の実力者も多かったが、各々が流石の存在感を発揮した。初参戦組も主役の座を掴もうと果敢に勝負に挑む中、PEACEと1点差ゲームを演じたAdversities、取材ゲームでポテンシャルを示したドリームスなどニューカマーの活躍も光った。彼らの来季の躍動を期待すると共に今後のVictoriaを是非盛り上げてほしい。
そして今大会63試合目となる決勝戦、4年連続のファイナル進出で大舞台慣れしたアドバンテージを持つ我孫子フラワーズに対し、個々の戦力では互角、もしくは我孫子フラワーズを上回る戦力を有するPEACEが、いかにファイナル独特の緊張感に呑まれず、普段通りの野球を展開できるかが勝負のポイントとなるだろう。
特に試合の行方を左右する初回の攻防には瞬き厳禁、彼らの一挙手一投足に注目だ!そして限られた者しか立つことのできないプロスタの地をしっかりと噛み締め、縦横無尽にグランドを駆け回ってほしい。いよいよ迎える決勝戦、『第14代目王者』の称号を勝ち獲るのは果たして!?
代表の平田を中心に高校、大学時代の同級生から構成された赤の戦士・PEACEは2020年に結成。そんなチームのスローガンは『日本一仲のいい草野球チーム』と令和の新時代を象徴とする彼らだが、チームワークは草野球界トップレベルと自称するように「誰かがミスしても誰かが取り返せばいい。ミスを笑いに変え、常にポジティブな野球を体現する」チームである。
結成4年目でファイナルに進出したPEACEは2020年オータムカップでVictoria初参戦を果すと、リーグ大会を含む本格参戦を決めた2023年のスプリングカップでいきなりベスト4進出と草野球界にその名を轟かせた。そのファイナル進出を懸けた我孫子フラワーズとの準決勝では終始試合の主導権を握られVictoriaの洗礼を浴びせられたが、一冬超えて打力、投手力共にパワーアップ。厳しい冬を乗り越えた故、意気揚々と今季を迎えるも春の初戦はちゃんぷるーず∞相手に苦戦し、1点差で勝ち切るも自慢の投手陣が8失点と打ち込まれた。しかしその後は投手陣が躍動し、2回戦以降は4試合で失点が僅かに2点、プロスタ進出が懸かった強豪CHUYANS+とのセミファイナルでは絶対的エースの相川が相手打線を抑え込み、3-0の完封勝利でファイナル進出を掴み取った。
前述した通り、PEACEの魅力はなんといっても投手陣の厚さである。準決勝で完封勝利を見せた絶対的エース相川を中心に右の川畑、河野、左のエース篠原と4枚の実力者が名を連ねる。更には今季から新たに入団した193cm右腕・永光も先発ローテンションに加わり、投手陣の厚みが増した。ここまでは左右のエース篠原、相川の活躍が目立っているが、誰が投げても試合を作ることのできるPEACE投手陣はチームにとって一番の武器である。そして今年は打撃陣も強化され「超Power」を体現する絶対的4番打者小平を中心に、右の大砲萩原、左の好打者沢田、小島の4選手から構成される日替わりクリーンアップは抜け目がなく、相手の脅威となるだろう。
昨年の悔し涙から1年、今季はファイナル進出の悲願は叶ったが、プロスタまであと1歩で敗れたあの喪失感は忘れてないだろう。きっと昨年の悔しさをバネにこの1年間戦い抜いてきたに違いない。いよいよ迎える決勝戦、相手は昨春敗れた我孫子フラワーズ。偶然にも再戦となったのは同じ大会、そして決戦の地はプロスタと最高のリベンジの舞台が整った。ファイナルではPEACEのベンチワークにも注目し、日本一仲の良い草野球チームがプロスタの舞台で最強であることを証明する!!
≪注目選手≫
#23 岡本 涼(捕手・外野手) 1996年7月27日生まれ 市立川越高校
PEACEが誇る俊足巧打の1番打者。本職は外野手だがチーム事情により捕手を任される。準決勝では決勝打を放ち見事MVPを獲得しており、神宮の舞台でも勝負強い打撃に期待がかかる。
『チーム発足から4年。これまで苦労を共にしてきた、代表の平田、キャプテンの山口を胴上げできる様に頑張ります。神宮では持ち前のチョコバット打法に注目してください!』
#24 篠原 龍之輔(投手・外野手) 1996年4月1日生まれ 市立川越高校〜東京経済大学
PEACE自慢の二刀流左腕。投手では昨年チーム最多勝の実績を誇り、打者では持ち前の超Powerを活かし、ここまで打点・本塁打共にチームトップの成績を記録。神宮では篠原の二刀流の活躍に注目だ。
『昨年のスプリング準決勝の借りをそのままお返しします!PEACE野球で勝つ勝つ勝つ!』
#26 相川 佳樹(投手・内野手) 1999年6月2日生まれ 大宮東高校
PEACEの絶対的エース。MAX145km/hを誇るストレートを武器に鋭く曲がるスライダーで三振の山を築く。準決勝では強豪CHUYANS+打線を相手に完封シャットアウト。神宮では自己最速記録を更新し、チームを優勝へと導く。
『昨年の悔しさをバネに1年間必死に努力してきました。ここまでこれたのもチーム全員の力で勝ち上がってきました。決勝戦では、優勝目指してま頑張ります。神宮では、全力投球しますので楽しみにしてください!』
4年連続ファイナル進出が故、もはや紹介不要の我孫子フラワーズではあるが、自称『我孫子の田舎者集団』が今年もプロスタの地に還ってきた。毎年、外苑前の大都会に圧倒されながら神宮球場に乗り込み「我孫子(あびこ)の呼び方を覚えていただけたか?」と卑下する表現で自分たちを例えているが、令和のVictoriaを席巻するその実力が本物であることは言うまでもないだろう。
だが、そのチームが物語る『雰囲気』と言う面では、例年同様に大会本部から見てもお世辞にも強そうな雰囲気を感じないというのが正直なところだ。
自らの懐事情を語るチームは数少ないが、毎年恒例チームオーナーとして財布の紐を握る星野の現況は、ついに競馬で帯を獲得したが3週間後には0円と、まるでこち亀に出てくる両津勘吉のような生活を送っている。オーナーの星野を『私利私欲にまみれた男』と語る幼なじみの北澤(京)代表は即刻クビを宣告?し、その北澤(京)は昨年から飼っている愛猫の愛猫(りんちゃん)を溺愛。周囲に野球熱が下がったかと思われがだが、プレーではチームを引っ張り続け、我孫子フラワーズには欠かせない存在だ。
チームの特徴を伺っても代表の北澤(京)は『わがまま集団』や、飲み会や試合後のご飯も今年1回も無く『グラウンドだけの関係』と卑下する姿勢を貫くが、メンバー構成は代表の北澤(京)と共に少年野球や高校時代を一緒に戦ってきたメンバーで形成されているだけに、以心伝心の野球ができるのは彼らにとって一番の強みだろう。
その中でも北澤兄弟の弟、北澤(玲)は兄の期待にしっかりと応え、プロスタ進出を懸けた大一番では超強力Nomad打線を相手に7回被安打3、奪三振8つ、自責点0の完投勝利を収め、見事にチームをファイナルへと導いた。打線では今季Victoria絶好調男の鳥海や、試合を決定付ける長打が期待できる佐藤(守)、佐藤(聡)に加え、小技が得意なリードオフマンの北澤(京)が足で相手をかく乱するのが持ち味だ。「うちの弱小雰囲気、相手を油断させる戦法が効かなくなっており、サマー、オータムと実力負けが続いてしまった」と肩を落とす北澤(京)代表だが、史上2チーム目となる春連覇に向けてファイナルの舞台までには仕上げてくるはずだ。
最後に「スプリングでは神宮決定時のリアクションが悪くカットされてしまったので(当然)、神宮では映えるリアクションを意識し、2連覇達成できるようにチーム一同頑張ります」と、我々大会本部が切に願う大きなリアクションで歓喜の輪を作ることが出来るか!?彼らの有言実行を大いに期待したい!!
≪注目選手≫
#1 北澤 玲阿(投手・外野手) 2000年5月15日生まれ 松戸六実高校
我孫子フラワーズ絶対的エース左腕。寝る前は”アミノ酸サプリメント”、試合前は”アリナミンV”を愛飲している我孫子の二刀流。投球後に帽子が曲がるのは調子がいい証拠である。投打での活躍が2連覇のカギを握っている。
『代表である兄を胴上げする。』
#2 小澤 礼嗣(内野手・捕手) 2000年9月6日生まれ 土浦日本大学高校~仙台大学
三塁手から捕手まで熟すユーティリティ性に加え、打ってはクリーンアップを任される我孫子フラワーズの中心選手。チーム内で流行しているゴルフで磨いた集中力を武器に神宮の舞台でも攻守で大暴れしてくれるはずだ。
『狙い澄ましたアプローチショットにご注目ください。』
#10 鳥海 晃斗(内野手) 1998年4月23日生まれ 柏南高校
準決勝での先制打に加え、今大会3度の決勝打を放っている巧打者。ゴルフで鍛えたヘッドスピードと麻雀で鍛えた指先の感覚で会心の一打を狙う。ファイナルの舞台でもスプリング予選の勝負強さを見せてほしい。
『4年目を迎えたシーズンで花咲かす。』