取材2023.12.30
TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | S | R |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Team ENGINE | 4 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | - | - | 8 |
Team Victoria | 0 | 0 | 0 | 4 | 2 | 3× | - | - | 9 |
Victoriaスペシャルカップについて説明すると、Victoriaリーグ所属選手内でファイナル出場を逃したチームより出場希望選手を募集。平等に出場機会が与えられ、今回は17チーム28名が参加した。一部の選手は試合途中に再出場があるなど本来の野球のルールからは一線を画した形式となるが、夢舞台神宮球場でのプレーを少しでも楽しんでもらおうと大会本部で細かなシナリオを作成し、様々なチームのユニフォームを身に纏った選手が一堂に集い、毎年好評の企画となっている。そして今回は大会オフィシャルメインパートナーのローリングスジャパンよりMVP1名に最新グラブ、優秀選手賞5名にはネックウォーマーが贈られるなど、試合前から大きな話題を集めた。
また、今年のスペシャルカップはVictoriaオフィシャルサポーターである『日本全国野球人応援プロジェクト ENGINE-縁陣-』とのコラボが実現し、スペシャルカップに出場する選手個人にフォーカスして試合前からInstagramを中心に様々な投稿を行い、選手のモチベーションアップに務めた。
ENGINE-縁陣-は全国の野球人を応援するべく、日本各地で開催する各種野球大会のバリューアップや取材活動等、野球を通じた地域活性化を目的に様々なプロジェクトを進めている。2023年は新潟県に於いて4年生以下の学童野球大会『ルーキーズフレンドシップマッチ新潟』を新たにスタートさせ、準決勝2試合は新潟県の聖地・HARD OFF ECOスタジアム新潟で開催するなど学童野球の普及にも全力で取り組んでいる。(詳しくはENGINE-縁陣-Instagramをご覧下さい)
1回表、TeamENGINEは先頭の江戸川のレベッカ鈴木(隆)、2番の紫紺インディアナオスン鈴木(陸)が連続ヒットで出塁すると、1アウト2,3塁から4番ホワイトブルズ本嶋の打席で相手バッテリーエラーの間に2人が還り2点を先取する。TeamENGINEは初回から一気に畳みかけ、本嶋と5番に入った東京ドナルドダック富田の連続ヒットで再び得点圏にランナーを置くと、6番ズミズミダイコンズ清水(啓)の内野安打の間に3点目を奪う。更に続く7番ズミズミダイコンズ清水(貴)がレフトに犠牲フライを放ち、TeamVictoriaの先発を務めた東京BeeValley江森から一挙に4点を先制する。1回裏、TeamENGINE先発のマウンドに立ったズミズミダイコンズ清水(啓)は上々の立ち上がりを見せ、初回は三者凡退に切って取ると、続く2回裏にはTeamVictoriaの4番AIS林にヒットを許すも後続を打ち取り、2回を無失点とショートイニングでも本来の力をしっかりと発揮した。
2回以降は両軍息詰まる投手戦を展開し、TeamVictoriaは3回から留年バスターズの井上が2イニングを完璧に抑え攻撃にリズムを持ち込むと4回裏、TeamENGINEの2番手でマウンドに上がったジャイロタワーズ竹内を責め立てる。TeamVictoriaは先頭のAIS林と途中出場の留年バスターズの井上がフォアボールで出塁すると、同じく途中出場の東京BeeValley平井がレフト前に運び無死満塁のチャンスを迎える。そして1アウトから8番チェリーウィングス小池の犠牲フライでまずは1点を返し、続く9番チェリーウィングス浴本の打席にバッテリーエラーがあり2点差に詰め寄る。そしてチェリーウィングス浴本はライト前にしぶとく落とし更に1点を追加すると、満塁からこのイニング2度目のバッテリーエラーでTeamVictoriaが同点に追いつく。
同点に追いつかれたTeamENGINEは5回表、1アウト3塁から紫紺インディアナオスン鈴木(陸)のレフト前で勝ち越すが、5回裏TeamVictoriaも1アウト満塁からバッテリーエラーと押し出しで逆転に成功し、スコアは6-5とTeamVictoriaが1点リードで時間により最終回を迎える。1点ビハインドで最後の攻撃を迎えたTeamENGINEは、1アウトからリエントリーの紫紺インディアナオスン道祖土が右中間へのツーベースヒットで出塁すると、後続もチャンスを広げ1アウト満塁から途中出場のサムライノーズ須藤が逆転の2点タイムリーツーベースヒットを放ち逆転、更には東京BeeValley平井のボークで8-6と再び試合を引っ繰り返す。これで試合が決まったかと思いきやTeamVictoriaは裏の攻撃で、相手エラーと2つのフォアボールで2アウトながら満塁と逆転サヨナラのチャンスを迎え、リエントリーのTokyo Redbirds鈴木がレフト前に運び7-8の1点差に詰め寄ると、同じくリエントリーのチェリーウィングス平木が泳ぎながらもライト前に落とし、これが2点タイムリーとなってTeamVictoriaが9-8のサヨナラ勝利を収めた。稀に見る見応えたっぷりの一戦となった今年のスペシャルカップMVPには、チーム最年長でサヨナラヒットを放ったチェリーウィングス平木が選ばれた。(詳しくはライブ配信動画をご覧下さい)
<TeamENGINE>
最終スコアは8-9と敗れはしたものの、ここまで熱の籠ったシーソーゲームは試合に出場した選手自身もあまり経験したことがないかもしれない。試合開始前はほとんどの選手が初対面とチーム内には緊張感が漂っていたが、試合が進むに連れてTeamENGINEにも自然と一体感が生まれていた。その中でも大会本部がゲームリーダーとして指名したズミズミダイコンズ清水(啓)は先発の大役を務め、2回無失点の好投に加えて試合途中にはリエントリーで見事なリリーフも見せてくれた。もしTeamENGINEが最終回に逆転されなければ、MVP候補の一人として清水(啓)の名前が挙がっていたのは書き記しておきたい。
そして野球を純粋に楽しむTeamENGINEナインの姿は最後まで輝いており、彼らにとってこの経験は大きな財産となっただろう。しかし、我々の想いとしてはこの日スペシャルカップに出場した1人でも多くの選手が、「来年は自チームでこの地に戻ってくる」という事が一番の望みである。2024年シーズンもTeamENGINEで出場した選手全員に注目したい。
<TeamVictoria>
ほぼ初対面というメンバーの中、試合を決めた平木のサヨナラヒットの場面では自然と歓喜の輪ができ、TeamVictoriaが生んだ一体感がこの結末をもたらしてくれた。初回に4点を奪われ、試合中盤まではチームの雰囲気もやや重く感じたが、4回に見せた同点劇でチームに希望が生まれ、最後のチェリーウィングス平木のサヨナラヒットはエキシビジョンマッチながら会場の視線を独り占めした。
MVPの平木は今年で47歳とTeamVictoriaの中で最年長だったが、同じくチェリーウィングスから参戦した浴本、小池も47歳の同い年で、この3人が若手に負けじと目の色を変えて勝負に挑む姿から誰もが自然と応援したくなったのは言うまでもない。しかし平木が試合後に「勝ち負けよりも皆で楽しく野球をやれた」と語っていた通り、TeamVictoriaの選手全員が笑顔で野球を楽しむ姿と、初対面同士の選手たちから野球を通じて自然と生まれた一体感には胸を打たれ、改めて野球の素晴らしさを実感できた。勝利したTeamVictoriaには賛辞を送り、新シーズンも週末の草野球ライフを楽しんでもらいたい。
試合フル動画、勝利インタビューはこちら↑
チェリーウィングス #3 平木 稔久