特集2023.12.07

Which Win!? -サマーカップ2023総括&ファイナリスト特集-

夏の頂上決戦!我孫子フラワーズが新タイトル獲得か、TOKYO UNICORNが初出場初優勝を飾るか!!

2023年6月初旬、例年参加チームが多いことでも知られるVictoriaサマーカップであるが、今季も梅雨明けを待たずして、64チーム満員御礼で夏の熱きバトルが開幕した。
近年の戦いを振り返ると毎年のように波乱と夏のニューヒーローが誕生するサマーカップであるが、今大会でまず冒頭に触れておきたいのが『波乱』であり、昨年王者清瀬ロングコックスが初戦で敗れ、誰もが予想しない幕開けとなった。その清瀬ロングコックスを初戦で下したのがサマーカップ初参戦のNAYONで、彼らは前年度王者相手に序盤2本のHRで大量6得点を奪い主導権を握ると、投げては先発石塚が強打のロングコックス打線を3点に抑えNAYONが6対3で勝利を収めた。NAYONはそのまま勢いに乗るかと思いきや、続く2回戦で新星ベーチャン!に1-5で敗れ、そのベーチャン!は2019年に夏のタイトルを獲得した東京ドナルドダックを完封で下した勢いそのままに破竹の勢いでベスト8まで駆け上がるなど、今大会を大いに盛り上げてくれた。
そのベスト8に進んだ面々を見てみると春のリベンジに燃えるスタイガー、2021年準Vのナイトフィーバーズ、今季苦戦を強いられた横綱PIECE、スプリング決勝進出を決めている下町Tempestなどプロスタを経験する猛者が激しいバトルを繰り広げ、中でも「スタイガー×PIECE」のベスト4を懸けた戦いは、スタイガーが昨年スプリング3連覇達成のPIECEを圧巻コールドで下し、春に続く4強進出を決めた。同じく4強にはCHUYANS+が入り、同地区湾岸ベースボーイズに競り勝つなど初タイトル獲得に向け視界は良好だったが、そのCHUYANS+とスタイガーを下しプロスタ進出を決めたのは、既に春のファイナル出場を決めている我孫子フラワーズと、結成初年度でファイナル進出を決めた新星TOKYO UNICORNであった。
同日に開催されるスプリングカップ決勝戦から連戦となる我孫子フラワーズに至ってはもはや紹介不要であるが、スプリングカップとは対照的にサマーカップは僅差の試合が多い中、確実に勝利を手にする勝負勘を鍛えた大会となっただろう。一方のTOKYO UNICORNは初参戦ながらも優勝候補の一角として注目される中での戦いとなったが、そのプレッシャーを見事に跳ね除け、プロスタの懸かった準決勝の取材ゲームでは投打でポテンシャルの高さを見せつけ、初出場初制覇にまた一つ歩みを進めた。
言うまでもなく初めての対戦となる両者だが、我孫子フラワーズは投手陣の枚数も限られる中、ダブルヘッダーをどう乗り切るかがポイントとなり、一方のTOKYO UNICORNは神宮と言う大舞台のプレッシャーをいかに平常心で戦えるかが勝負の分け目となりそうだ。 果たしてサマーカップ13年間の歴史の1ページにその名を刻む強者とは如何に!?来たる12月16日、ファイナル第1ラウンド2試合目で明らかとなる!

我孫子フラワーズ(千葉県)今大会 5試合16得点5失点

スプリング決勝が終わって息つく間もなく迎えるサマー決勝戦。3年連続ファイナル出場、そして昨秋チャンピオンの千葉県東葛地区の雄、我孫子フラワーズが今年は春・夏王者の称号を狙い、チーム全員で頂点を狙う。
フラワーズは代表北澤(京)の少年野球および高校時代からのチームメイトを中心に構成され、2016年からチームを結成。Victoriaでのここまでの戦績を振り返ると2020年に3部リーグ3位、続く2021年は2部リーグ準優勝、そして昨年は1部リーグ3位に加えオータムカップ優勝と着実に実績を積み重ねており、現在ではVictoriaを代表するチームに成長したと言っても過言ではない。
代表の北澤(京)も『対戦相手様には全然強そうに見えないのに。とよく言われるほど、全く雰囲気のないチーム』と語るが、我々大会本部から見てもお世辞にも強そうな雰囲気を感じないというのが正直なコメントである。しかしこれが彼らの戦略でもあり、「気づいたら負けてる。そんなチームを目指して頑張ります」と令和に花を咲かせる草野球界の新しいスタイルを確立した。
そんなチームは今春大きな動きがあり、チームオーナーとして財布の紐を握る星野が副業としている競馬が的中せず、オーナーとしての仕事(チーム援助)が全く出来なくなり役職をクビになるという珍事が起きた。しかし星野はプロスタ進出の祝勝会を1人で支払うなど、着々とオーナー復帰に向けてアピールを続けている。
マイナス要素は他にもあり、2年前の神宮で4番の大役を務めた織田は、今年プロゴルファーの試験に合格してティーチングプロになり、元エースの伊藤、2年連続Victoriaベスト9に選出された花嶋が就職の関係により全く来れなくなるなど、春先は大きな戦力ダウンを強いられた。しかしこの逆境を力に変え、チーム一同がマイナス面をカバーし合い、蓋を開ければ昨年以上の結果を残す事に成功し、2023年も充実した1年となったであろう。
何より『チーム力』が魅力の我孫子フラワーズであるが、打線でキーマンとなるのはリードオフマンの北澤(京)で、彼の出塁がチームの士気にも大きな影響力を持つ。更に注目選手の佐藤・大塚・堀田に加え、クリーンナップを担う北澤(玲)など強打者が並び、下位打線には準決勝のPEACE戦で値千金のタイムリーを放った鳥海など好打者が揃う。投手陣は準々決勝以降、北澤(玲)-佐藤(聡)の鉄壁リレーで相手に付け入る隙を与えなかったが、神宮ファイナルでは小澤(礼)や鳥海の登板にも期待が膨らむ。「3年連続となる神宮では経験値を活かして頑張ります」と大舞台を経験するアドバンテージはプラスの要因となりそうだ。
冒頭でも触れた通り、当日はダブルヘッダーと総力戦で挑むことになるが、我孫子フラワーズの内に秘めた熱き魂は、神宮の大舞台で爆発するか!?Victoria2度目の頂きを目指し、全員野球で歓喜の輪を咲かせる!!

≪注目選手≫
#5 佐藤 聡紀(投手・内野手・外野手) 1997年9月27日生まれ 柏南高等学校~立教大学
我孫子フラワーズ屈指の勝負強さを誇る強打者。今年はチーム事情により、本職の外野手ではなく、投手、内野を中心に大車輪の活躍を見せた。攻守のキーマンがその類まれなる野球センスで今年も神宮で大暴れする。
『今年も高校の同級生のキャプテンを胴上げできるよう頑張ります!』

#17 大塚 海斗(捕手) 1998年2月21日生まれ 千葉商大付属高等学校
強肩を誇る我孫子フラワーズ扇の要。今年は全試合でマスクを被り、2番として打線の要も担う。巧みなバットコントロールでチームへの貢献度も高い。ただ、一番の任務は北澤兄弟末っ子の芹華マネージャーの世話役である。
『去年大活躍だったMVP伊藤とベスト9花嶋の分まで頑張りたいです!』

#23 堀田 成剛(外野手) 1998年5月10日生まれ 我孫子高等学校
持ち前のパワーとしなやかさで美しい放物線を描くチームNo.1スラッガー。さらに外野の守備でもチームを引っ張り、新タイトル獲得へ欠かせない存在だ。ファイナルの舞台でも我孫子フラワーズの野球を体現する。
『そろそろ我孫子(あびこ)の読み方も覚えてくれましたよね?まだの方はこれを機に是非!』

TOKYO UNICORN(東京都)今大会 5試合23得点10失点

コンセプトは日本一パフォーマンスアップができるチーム。大会開幕前からその一風変わったコンセプトに加え、個々のポテンシャルにも注目が集まったTOKYO UNICORNであるが、初戦のDOBERMAN戦で逆転勝利を飾った勢いそのままに夏の階段を一気に駆け上がり、初出場ながらプロスタへの出場権を掴み取った。
「個人の能力を高めることに本気でコミットし、その結果チームが強くなることを体現していくチームです」と至ってシンプルな考え方であるが、その言葉通り彼らの野球もシンプルそのもので、バントや叩きは一切なし、打者は打って勝つことに全ての神経を注ぎ、ノーサイン野球を貫き通す。更に投手陣は失点を最小化するために奪三振能力を高め、より確実にアウトを積み重ねることのできる投手を目指し、ここまで戦い抜いてきた。
夏の予選を振り返ると、2回戦のダディーズベースボール戦は、両チームで4本のホームランが飛び交う乱打戦を力でねじ伏せる戦いぶりを披露し、打力の高さは目を見張るものがあった。続く3回戦のT-Five、準々決勝の下町Tempest戦は一転、2試合共に完封勝利とディフェンス力の高さも見せつけ、初戦からマウンドに上がるエース野中のポテンシャルの高さも際立っていた。そして迎えた準決勝のスタイガー戦は序盤から2本のタイムリーが飛び出し4-0と試合を優位に進め、試合終盤2点差まで追い上げられるも何とか逃げ切り、歓喜のプロスタ出場を決めた。
TOKYO UNICORNの個々の戦力を見てみると、打者は全員確率高く長打を打てる選手を目指すと言うだけあり、ここまでホームランを放っている田中、中島、松崎、渡辺は神宮での一発を期待し、投手陣は絶対的エース野中の出来がチームの命運を握るだろう。そしてチームの創設者でもあり代表を務める前沢は投打共に高い能力を持ち合わせており、神宮での登板に加え、バッティングでも綺麗なアーチを描いてほしい。
最後に「全員がコンセプトを理解して向かう方向が統一されていることがUNICORNのチーム力であり大きな強みです」と代表の前沢は自らのチームを分析したが、複雑な考え方は一切捨て、打者は1本でも多くの長打を放ちスコアボードに得点を刻み、投手は1つでも多くの三振を奪いアウトカウントを重ねる。このシンプルな野球をTOKYO UNICORNが結果で示せれば、草野球界全体の野球そのものが変わる日もそう遠くはないだろう。 TOKYO UNICORNは夏の王者に加え『最強のポテンシャル軍団』の称号を目指し、17名全員で最後まで戦い抜く!!

≪注目選手≫
#6 田中 力哉(内野手) 1998年4月23日生まれ 筑波大学
超重量打線を誇るユニコーンで4番に座るクラッチヒッター。得点圏打率は凄まじく、ここぞの場面でチームを何度も救ってきた。悲願の初タイトル獲得を実現すべく、神宮の舞台で躍動を誓う。
『チーム発足から9ヶ月、初タイトルを狙える試合を神宮球場で出来ること大変嬉しく思っております。試合では、4番として自分にできることだけに集中して、ベストパフォーマンスを発揮し、優勝に導く一打を打ちたいと思います。代表の前沢さんを必ず胴上げしたいと思ってますので、チーム一丸となって勝利を勝ち取りたいと思います。東京ユニコーンの応援よろしくお願いします。』

#18 野中 歓太(投手) 1995年3月16日生まれ 埼玉平成高校~道都大学
MAX148km/hの剛腕投手。東京ユニコーンに入ってから自身の武器であるフォークボールに磨きをかけ、奪三振能力は類を見ないレベルに達した。決勝戦でも躍動感あふれる彼のピッチングから目が離せない。
『神宮球場で前沢力さんを胴上げできるように全力で投げます!』

#46 江口 聡一郎(内野手) 2003年11月22日生まれ 北海高校
弱冠19歳のチーム最年少スラッガー。打っては抜群の勝負強さを誇りホームラン王、守っては強肩ショートとしてユニコーンを攻守で支える存在。神宮の舞台でも若武者の豪快なフルスイングに注目だ。
『全打席フルスイングで全打席神宮球場のスタンドを狙います!ユニコーンを優勝に導くのは僕のバットです。』

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