特集2024.04.12
中古グローブを「新しいグローブ」へ。長年使用した愛着のあるグローブ、親友や父親・兄弟から譲り受けたグローブを独自技術でリメイクする『野球グローブ再生工房Re-Birth 』。VictoriaリーグのSDGsパートナーでもあるRe-Birthは、2021年1月にJR京浜東北線蒲田駅東口から徒歩5分の好立地に1号店を出店し、SDGsに寄与する先進的な取り組みがオープン直後から業界内に大きな話題を集め、その後は田園都市線沿線に二子玉川店、京王線沿線に多摩永山店と続々と事業を拡大する。
グラブの専門店だけあって高度な技術を持った職人が店舗には常駐し、あらゆるグラブの悩みを解決してくれるのもRe-Birthが事業を拡大する秘訣だ。更には独自のWEBテクノロジーを活かしたネット販売(Re-Birthオンライン)も充実しており、再生グローブから新品まで取扱うグローブ専門店としての在庫数は日本最大級を誇る。
Re-Birthはリメイクメニューも豊富に取り揃え、感触が新品同様の状態に蘇るフルリメイクから、グローブの全ての紐と外側と内側をつなぐヘリ革を交換するデザインリメイクまで幅開く対応し、中でも13,800 円(税込)と比較的安価でグラブが再生されるデザインリメイクは一番の人気メニューだ。耐久性のある紐とヘリ革はデザインも豊富で、共に各19色から選択ができ、バリエーションに富んだ配色がズラリと並んでいる。そして前述した通り、Re-Birthは独自のWEBテクノロジーを活かしてオンラインでもリメイク対応が可能で、ユーザー側がRe-Birth指定の住所にグローブを発送すれば、オンラインでリメイクが完了する革新的なサービスも展開する。(納品目安:グローブをお預かり後、20日。詳しくはRe-Birth HPへ)更には今使っている軟式用を硬式用にアップグレードするメニューも揃えており、強度と衝撃吸収性の向上を行うリメイクサービスとしてこちらもユーザーから高い評価を得ている。
Re-Birthの客層は50代~60代がメインとなっており、草野球の歴史を築き上げてきた壮年野球を応援しようと、Re-Birthは昨年からスタートしたVICTORIA MASTERS CUPの特別協賛を務めてくれた。そして大会の賞品として無料でデザインリメイクができる特別賞をRe-Birthから提供していただき、参加全チームの中より2名を選出した特別賞には、チームの大黒柱56歳の大エース川崎クラブ・阿部投手と、壮年大会初代王者の強豪ジョルターヘッズ・二見選手が選ばれた。そして今回は川崎クラブ・阿部投手のデザインリメイクに密着し、長年愛用するローリングスの投手用グラブをRe-Birth蒲田店に持ち込んだ。Re-Birthはローリングスのグローブ在庫も豊富に取り揃え、今話題のローリングス新品グローブにも眼が眩む中、阿部投手は今季より全日本軟式野球連盟で投手用グローブのルールが緩和されたことを機にグローブの紐をブルーにする斬新な配色に決めた。(詳細は全軟連HPで)そしていよいよグローブを分解し、グラブマスターが作業へと取り掛かる。
まずは最初の工程としてグラブの紐を全て解き、ハサミやニッパーを使いグローブを分解します。グラブマスターは慣れた手つきで躊躇なくハサミを入れていきますが、元通りになるのか心配になる位の状態に分解されました。次の工程としてグローブのヘリ革を専用の糸を使いミシンで縫っていきますが、ヘリ革を修理することにより本体への劣化を防ぎ、耐久性を高めることができます。デザインリメイクのメニューにはグリス交換も含まれていますが、グローブにシワが寄ってしまったり、捕球面の革が浮いてしまった経験はありませんか?それはグローブの表革と裏革をつなぐ、接着剤的な役割を果たすグリスが無くなっていることが一つの原因です。グリス交換することで捕球面もしっかりと形成され、より確実な捕球が実現できます。(グリス交換は1年~1年半に1回の交換推奨)そして最後は新しい紐に交換へ。地道な作業ではありますが、ここにも職人の想いが込められていて、実際に何度もグラブをはめて感触を確かめながら丁寧に作業を進めていきました。
職人の手によってグローブは見事に生まれ変わりました。早速グラブは阿部投手のもとへ届き、グラブを手にはめた阿部投手の表情はまるで童心に帰ったかのような輝いた目つきで、「新品で買った時と同じような張りのある感覚になった」とリメイク後の感想を述べた。「グローブも自分好みになったが、まずはチームが勝つために何ができるか」とフォア・ザ・チームの精神で今季の意気込みを控えめに語ったが、多くの壮年プレイヤーが目標とする(公財)日本スポーツ協会が主催の日本スポーツマスターズ、更にはVICTORIA MASTERS CUPでリメイクしたグラブを身にまとい、暴れまわる姿を見てみたい。そして表立って脚光を浴びることは少ないグラブマスターではあるが今回のリメイクを振り返ると、グローブは直線の箇所が少なくミシンを扱うことが難しそうに見えたが、さすが年間1,000個以上のグローブの修理・リメイクを扱うグラブマスターだけあって、一寸の狂いもなく完璧な圧巻の職人技でリメイクを仕上げていった。
Re-Birth のSDGsに寄与した取り組みは年々メディア取材も増えていき、グラブ職人を希望する方も増えているとのこと。組織としては『野球を通じて社会貢献をすること』をミッションに掲げるRe-Birthだが、グラブマスターの育成にも力を入れ、独自カリキュラムで業界内にグラブ職人を輩出している。Re-Birth代表の米沢谷氏も「グラブマスターを目指したい方からの問い合わせも大歓迎」との事なので、興味を持った方は是非グラブ職人の門戸を叩いてほしい。(採用情報)
野球界の課題として『野球人口の減少』、『野球用具の高騰』などが話題に上がるが、日本全体の人口が減り競技の選択肢も増え、原材料の価格も上がりテクノロジーも進化する中で、2つの課題は今後も叫ばれ続けるだろう。特にテクノロジーの進化は、メーカー側の開発費に莫大なお金が掛かっている。その中でRe-Birthが推し進めるサーキュラーエコノミー(循環型経済)は今後の野球界にとって必要不可欠な取り組みで、『野球を始める』または『野球を再開する』一助になり、グローブの再生は今後の野球界にとってスタンダードとなるに違いない。大会を運営する我々としては新品の野球用具が更に出回り、経済が活性化することも決して忘れてはならないが、野球を始める・再開するハードルを下げ野球人口を増やすことも我々の重要な務めである。Re-Birthの取り組みがこれからも評価され続け、再生グローブを野球界の文化にするためにRe-BirthのSDGsパートナーとして、Victoriaはこれからも共に価値のある取り組みを進めていく。