特集2023.12.10
春夏に続く第3のトーナメント大会として2018年に幕が上がったオータムカップは今季で6回目の開催を迎え、今大会も64チーム満員御礼と関東の猛者達が6代目秋の称号を狙い集結した。
2023年大会を振り返ってみると、8強以降は近年のオータムカップで結果を残しているチームが勝ち上がり順当な結果となったが、一方で2019年、2020年覇者の湾岸ベースボーイズはNomad.Yankees相手にベスト16で敗退するなど、秋の王者を懸けた戦いは熾烈を極めていった。更には今季17チームが初参戦と毎年ニューカマーの存在は大会に大きな影響を与え、今季1部でファイナル出場を決めているブルーサンダースを初戦で下したTOMOSAKA、強豪WILL BASEBALL CLUBに5-4と競り勝ったボギーズクラブ、BULLKIESとWisteriasは初戦で2桁得点の大差で完勝するなど見せ場を作ってくれた。
混迷を極めたベスト8の顔ぶれを見てみると、今シーズン春夏共に4強入りを果たしたスタイガー、昨季オータムカップ準優勝のBIGFACE、今季1部4強入りを決めているSaintsに加え、春夏秋のカップ戦を主戦とするT-Fiveは3年ぶりに8強入りを果たすなど、各チームが己の力を最大限発揮してくれた。
そしてプロスタ進出を懸けた準決勝2試合、互いに2-1と投手戦を制し決勝にコマを進めたのは、我孫子フラワーズとのスプリングカップ決勝の前哨戦を制した下町Tempestと、過去にリーグ戦で2度の優勝を誇るGOLGO BASEBALL CLUBであった。
下町Tempestは2021年の秋準優勝以来2度目のプロスタ出場となるが、前回のリベンジを果たすべく優勝を狙うのは勿論のこと、当日は第1試合のスプリング決勝から1試合空いてのダブルヘッダーとなる。時間が空いて多少のやりにくさはあるものの、スプリングで勝利を掴んで勢いに乗りオータムの決戦に臨んでほしいところだ。
対するGOLGO BASEBALL CLUBは3度目のプロスタと大舞台の経験値では勝るが、意外にもカップ戦でのプロスタ進出は初めてとなる。そのカップ戦では過去4度のベスト4を経験するもあと一歩のところで何度も涙を飲み、やっとの思いで掴んだファイナル出場権はまさに歓喜の瞬間となった。
そんな注目の一戦は、既に1試合を終えている下町Tempestは何と言っても投手陣の起用法がカギとなり、一方のGOLGO BASEBALL CLUBは2019年以来4年ぶりの神宮で、いかに平常心で戦い抜くかが勝負のポイントとなるだろう。果たして、両雄の対決の行方は!?数々の名勝負を繰り広げてきた聖地・神宮球場にて明らかとなる!!
下町というチーム名の通り、代表の武藤を中心に下町の友達を通じて構成された下町Tempest。チームはまだまだ若く平気年齢は25歳、毎週日曜日は6時間ほど活動し、多い日には2試合+練習をするなど、下町の野球好きが集まった若武者軍団である。オータム決戦当日はスプリング決勝から1試合空くため試合間の調整なども難しい戦いとなるが、日頃から週末を草野球に捧げる彼らにとって、これをアドバンテージと変えてくれるだろう。
近年Victoriaでも頭角を現す彼らは、2021年のオータムカップに於いて準優勝に輝いたのは記憶に新しく、2022年はプロスタを逃すも春ベスト8、秋ベスト4とカップ戦を中心に多くの好成績を残した。
そんなチームは同年代の集まりということもあり、何かあった時には直ぐに意見を出し合い、問題解決に向けて対処しチーム力を日々高め続けている。チームスローガンは「エラー当たり前、打てなくて当たり前、せっかくの日曜なんだから楽しもう!」と、草野球を楽しむことを第一に活動し、勝ち負けに関わらず終始アットホームな雰囲気を貫くのが特徴だ。中には動物のあだ名がついてるメンバーがいるなど親しみやすさもあり、野球をやりに来てるのか、動物園に来てるのか分からなくなるほどと自らを語る。
武藤代表曰く、今年も『相変わらずの人数不足に悩まされた年』であったようだが、控えメンバーを含め個々の能力は非常に高く、中でも今季フル回転の活躍を見せた望月の活躍は触れられずにはいられない。初戦こそ代表の武藤にマウンドを譲ったが、2回戦以降は望月が一人で投げ抜き、中でも圧巻だったのは準決勝のスタイガー戦。強打者が並ぶ相手打線に屈することなく制球力、球威、テンポどれをとっても一級品で、今季見てきた投手陣の中でも3本の指に入る好投手だ。また、昨年はファイナル進出を逃すも2022年に1年間マウンドを守り続けた武藤のピッチングも神宮の地で見られるであろう。
突出した選手はあまりいないと控えめに語る彼らだが、打線も1番から9番まで抜け目なく得点を狙うことができ、中でも2年前の神宮でスタンドに運んだ武藤、準決勝のスタイガー戦でホームランを放ったその日8番の松本など、パワーヒッターを随所に揃える。そして前述したチームスローガンを常に念頭に置き「フィールドの9人やベンチメンバー全員で騒がしく、楽しくやりたいと思います」と最後までエンジョイベースボールを貫く姿勢だ。
「2年前の神宮で忘れてきた優勝を必ず獲ります!」と最後は力強い言葉で締め括ったが、果たして勝利の女神は下町に微笑むのか!?スプリングで勝利を掴み2大会制覇を狙う彼らの運命は12月16日に明らかとなる!!
≪注目選手≫
#3 滝澤 直人(捕手・内野手) 1998年4月20日生まれ 江戸川区立船堀第二小学校~江戸川区立葛西第二中学校~私立岩倉高校
打っては上位打線を任され、守っては捕手、三塁手としてチームを牽引。その走力から付けられた愛称は「たこ」。決勝戦でもチームを優勝に導くべく走攻守でのフル回転を誓う!
『2年振りの神宮の舞台で楽しくプレーをして、今年こそは代表である武藤を胴上げします!』
#5 望月 裕也(投手) 1998年10月16日生まれ 足立区立中川東小学校〜足立区立第十二中学校〜私立駿台学園高等学校(硬式野球部)〜共栄大学(硬式野球部)
今季は下町Tempestの絶対的エースとして大車輪の活躍。しなやかなフォームから繰り出す伸びのあるストレートを武器に神宮のマウンドでも躍動を誓う!もう雰囲気イケメンとは呼ばせない!
『決勝も投打で活躍し、神宮を全力で楽しみます!そして全員で優勝し、代表の武藤を空高く胴上げします!』
#77 石井 秀昌(マスコット) 1998年6月19日生まれ 葛飾区立木根川保育園〜葛飾区立木根川小学校〜葛飾区立中川中学校〜都立墨田工業高等学校(電気科、スポーツ推薦枠)
愛称は「たぬき」。チームのマスコットキャラクターとしてベンチを温める。バット引きやボールボーイなど裏方としてチームを支え、Tempestに無くてはならない存在だ。神宮の舞台でも石井のベンチワークに注目が集まる!
『良い球場で良い試合のサポートをし、チームに貢献できるように頑張りたいと思います。私の生きがいはみんなが楽しく野球をやって勝つ瞬間を見ることです!』
Victoriaに参戦してから10年の間に2部、1部リーグ優勝と王者への階段は上りつつも、GOLGO BASEBALL CLUBは長年カップ戦で苦戦を強いられていた。カップ戦での苦い戦いを振り返ってみると、2018年に春3位、同年秋の3位に加え、3年後の2021年も秋3位、そして昨年は夏3位とあと一歩のところでファイナル進出を逃すこと実に4回、カップ戦では勝負弱さを露呈しブロンズコレクターとなっていた。
しかし参戦11年目の今季、今までの屈辱を晴らすビッグチャンスがまたしても訪れ、1・2回戦は大量得点で勢いをつけると、3回戦の昨季2部優勝PH戦では渡邊が7回1安打完封と存在感を見せつけた。続く準々決勝のBIGFACE戦は中盤まで0-5と敗戦ムードが漂う中、最終回に一挙5得点を奪ってそのままじゃんけん決着に持ち込み、運をも味方にカップ戦5度目の準決勝に進出した。そして鬼門となる準決勝、毎年優勝候補に名を連ねる強打のNomad.Yankees相手に長谷川-渡邊-設楽と3人の投手リレーで強力打線を封じ込め、5回目のチャレンジで悲願のカップ戦ファイナル出場を果たした。
そんなGOLGO投手陣を紹介すると、長谷川、設楽、渡邊、本多、荒木の5枚の継投が基本路線であり、それぞれが持ち味を発揮し試合を壊す事なく戦えるのが強みでもある。固い守備陣を信頼し、低めに丁寧に投げ続ける事を投手全員が心掛け、中でも2019年にVictoria外野手部門でベスト9を獲得し、近年チーム内でも著しい成長を遂げる渡邊のピッチングは神宮でも楽しみである。
その投手達を時に支える攻撃陣は、高い出塁率を誇るリードオフマン川崎(弘)、2番吉田を中軸の川崎(優)、長谷川、設楽、大山で還すのが得点パターン。下位打線にも中野、本多と好打者が揃い、切れ目の無い打線がしぶとく得点を狙う打順構成となっている。更には高打率の松本、津田、大野が控え、重量打線ではないが高い得点能力を発揮し、中でも準決勝で勝ち越しタイムリーを放った川崎(優)、その前を打つ川崎(弘)と川崎兄弟の活躍に注目だ。
最後にGOLGOナインからは「準決勝で強力打線を封じ込めた勢いをそのままに、初のカップ戦優勝をチーム一丸で成し遂げ、闘将・横井監督を神宮で胴上げしたい」との声が挙がったが、過去プロスタに出場した2回共に優勝を掴んでいるだけに今回も平常心で決戦を迎えてほしいところだ。果たして1998年から続くチームの歴史にVictoria3度目となる優勝という二文字を刻むことが出来るか!?大一番もメンバー全員で勝利を掴みにいく!!
≪注目選手≫
#7 本多 和平(内野手・投手) 1996年12月25日生まれ 屋久島おおぞら高校~BBT大学
華麗なグラブ捌きはチーム内でもNO.1。魅せる守備だけではなく、今年は打撃でも勝負強さを発揮し、ここまで3割を超える打率をキープ。神宮の舞台でも予選同様、攻守でチームのピンチを救ってくれるだろう。
『我々は挑戦者。2年前のオータムカップ準決勝の雪辱を果たしたい』
#22 中野 敏明(捕手) 1990年12月2日生まれ 東亜学園高校~日本経済大学
名門校で培われた高いキャッチング技術と、相手打者をかわす巧みなリードが光るGOLGO扇の要。しぶとい打撃も持ち味で、チャンスに強いクラッチヒッターだ。悲願達成へ向け攻守両面の活躍を誓う。
『トーナメント初優勝を達成して、横井監督を胴上げしたい。前回の雪辱を果たしたい』
#23 渡邊 浩心(投手・外野手) 1988年8月11日生まれ 秋田南高校~文教大学
本格的に投手をやり始めてからまだ2年ながら、チームの勝ち頭へと成長。外野手としては2019年にはVictoriaベスト9にも選ばれ、高い守備力や打撃も魅力の選手だ。決勝戦でも彼の活躍がチームの勝利に直結する。
『4年ぶりの神宮を全員で思い切り楽しみたい!』