特集2023.12.03

Which Win!? -スプリングカップ2023総括&ファイナリスト特集-

波乱が巻き起こった今大会!スプリング新王者の座を懸け、互いを良く知る好敵手が火花を散らす!!

2023年は侍ジャパンがWBCで優勝を飾り、春先は例年以上に大きな盛り上がりを見せた野球界だが、草野球も侍ジャパンの勢いに負けじとVictoriaスプリングカップ2023では開幕と同時に熱い戦いが繰り広げられた。今季も例年と同様に64チームの参加で満員札止めとなった本大会だが、大会序盤で大きな波乱が巻き起こった。
それは春3連覇中のPIECEが、まさかの2回戦で敗れるという誰もが予想しなかった大波乱。PIECEの敗退はSNSを中心に大きな話題となり、この絶好のチャンスを掴もうとカップ戦ならではの下剋上も見られた。ベスト4に進んだ3部所属のPEACEはブルーサンダース、清瀬ロングコックス、天晴-appare-と並みいる強豪を下し、3連覇中のPIECEを下した2部所属の青霧も大きな存在感を示すなど、他のチームの脅威になったことは言うまでもない。更にはKFBC、品川オレンジ、Rockets、STBC、上尾西ブルースカイズなど、下部レベル所属チームも決勝トーナメントを勝ち抜く上でカップ戦の経験が今後に活きてくるだろう。
一方でベスト8に進んだ顔ぶれを見てみると2013年王者スタイガーが2年ぶりの8強入りを果たす中、他7チームに関してはどこが勝ってもスプリングカップ初優勝とフレッシュな顔ぶれとなった。とは言え、快進撃を続ける注目株PEACE以外はすべてVictoriaファイナル進出経験を持つ強豪が出揃い、8強に進出したチームのうち6チームが1部リーグ所属と、最高峰リーグの名に恥じない戦いぶりを見せてくれた彼らには賛辞を贈りたい。
そして悲願のVictoriaファイナル進出へ王手を懸けた4チームには2013年春王者のスタイガー、昨秋覇者の我孫子フラワーズ、2021年オータム準Vの下町Tempest、今春ブレイクを果たしたPEACEが残り、激戦の末に神宮進出の2枠を掴み取ったのは、近年Victoriaでも頭角を現す城東・東葛地区の代表格である下町Tempestと我孫子フラワーズであった。
まず2度目の神宮進出で今季は初タイトル獲得を目指す下町Tempestの戦いぶりを振り返ると、初戦のKEBOZ BASEBALL CLUB戦で2桁得点&武藤の4回パーフェクトピッチングで波に乗ると、2回戦以降は主戦の望月が準決勝までの4試合を1人で投げ抜き、失点も僅かに3点と圧巻の投球を見せた。
一方昨秋のタイトル獲得に続き、新タイトル獲得を目論む我孫子フラワーズは対照的に、初戦のTOKYO NAVYSEALS戦は終盤に追い上げを見せられ4-2と辛くも逃げ切る展開となったが、その後の試合は枚数豊富な投手陣を中心に最少失点で勝ち上がると、準決勝では勢いに乗るPEACE打線を北澤(玲)-佐藤(聡)の完封リレーで下し、2年連続の神宮進出を決めた。
そんな両チームは普段から交流を持つ間柄でやりにくさを隠せない戦いとなるが、互いの共通点として真っ先に挙がるのが圧倒的な『若さ』である。2チーム共に平均年齢は20代前半と、昨今の草野球界で台頭するチームの特徴でもある若さを活かした力勝負の戦いは、瞬き厳禁の戦いになることは言うまでもない。2日間に渡って開催されるVictoriaファイナルオープニングゲームとして相応しい両チームの一戦は、12月16日8時30分に戦いのゴングが鳴り響く!!

下町Tempest(東京都)今大会 5試合31得点3失点

下町というチーム名の通り、代表の武藤を中心に下町の友達を通じて構成された下町Tempest。チームはまだまだ若く平気年齢は25歳、毎週日曜日は6時間ほど活動し、多い日には2試合+練習をするなど、下町の野球好きが集まった若武者軍団である。 近年Victoriaでも頭角を現す彼らは、2021年のオータムカップに於いて準優勝に輝いたのは記憶に新しく、2022年はプロスタを逃すも春ベスト8、秋ベスト4とカップ戦を中心に多くの好成績を残した。
そんなチームは同年代の集まりということもあり、何かあった時には直ぐに意見を出し合い、問題解決に向けて対処しチーム力を日々高め続けている。チームスローガンは「エラー当たり前、打てなくて当たり前、せっかくの日曜なんだから楽しもう!」と、草野球を楽しむことを第一に活動し、勝ち負けに関わらず終始アットホームな雰囲気を貫くのが特徴だ。中には動物のあだ名がついてるメンバーがいるなど親しみやすさもあり、野球をやりに来てるのか、動物園に来てるのか分からなくなるほどと自らを語る。
武藤代表曰く、今年も『相変わらずの人数不足に悩まされた年』であったようだが、控えメンバーを含め個々の能力は非常に高く、中でも今季フル回転の活躍を見せた望月の活躍は触れられずにはいられない。初戦こそ代表の武藤にマウンドを譲ったが、2回戦以降は望月が一人で投げ抜き、中でも圧巻だったのは準決勝のスタイガー戦。強打者が並ぶ相手打線に屈することなく制球力、球威、テンポどれをとっても一級品で、今季見てきた投手陣の中でも3本の指に入る好投手だ。また、昨年はファイナル進出を逃すも2022年に1年間マウンドを守り続けた武藤のピッチングも神宮の地で見られるであろう。
突出した選手はあまりいないと控えめに語る彼らだが、打線も1番から9番まで抜け目なく得点を狙うことができ、中でも2年前の神宮でスタンドに運んだ武藤、準決勝のスタイガー戦でホームランを放ったその日8番の松本など、パワーヒッターを随所に揃える。そして前述したチームスローガンを常に念頭に置き「フィールドの9人やベンチメンバー全員で騒がしく、楽しくやりたいと思います」と最後までエンジョイベースボールを貫く姿勢だ。
「2年前の神宮で忘れてきた優勝を必ず獲ります!」と最後は力強い言葉で締め括ったが、果たして勝利の女神は下町に微笑むのか!?多くのVictoriaファンが注目する我孫子フラワーズとの戦いの行方は、12月16日に明らかとなる!!

≪注目選手≫
#3 滝澤 直人(捕手・内野手) 1998年4月20日生まれ 江戸川区立船堀第二小学校~江戸川区立葛西第二中学校~私立岩倉高校
打っては上位打線を任され、守っては捕手、三塁手としてチームを牽引。その走力から付けられた愛称は「たこ」。決勝戦でもチームを優勝に導くべく走攻守でのフル回転を誓う!
『2年振りの神宮の舞台で楽しくプレーをして、今年こそは代表である武藤を胴上げします!』

#5 望月 裕也(投手) 1998年10月16日生まれ 足立区立中川東小学校〜足立区立第十二中学校〜私立駿台学園高等学校(硬式野球部)〜共栄大学(硬式野球部)
今季は下町Tempestの絶対的エースとして大車輪の活躍。しなやかなフォームから繰り出す伸びのあるストレートを武器に神宮のマウンドでも躍動を誓う!もう雰囲気イケメンとは呼ばせない!
『決勝も投打で活躍し、神宮を全力で楽しみます!そして全員で優勝し、代表の武藤を空高く胴上げします!』

#77 石井 秀昌(マスコット) 1998年6月19日生まれ 葛飾区立木根川保育園〜葛飾区立木根川小学校〜葛飾区立中川中学校〜都立墨田工業高等学校(電気科、スポーツ推薦枠)
愛称は「たぬき」。チームのマスコットキャラクターとしてベンチを温める。バット引きやボールボーイなど裏方としてチームを支え、Tempestに無くてはならない存在だ。神宮の舞台でも石井のベンチワークに注目が集まる!
『良い球場で良い試合のサポートをし、チームに貢献できるように頑張りたいと思います。私の生きがいはみんなが楽しく野球をやって勝つ瞬間を見ることです!』

我孫子フラワーズ(千葉県)今大会 5試合28得点6失点

3年連続ファイナル出場、そして昨秋チャンピオンの千葉県東葛地区の雄、我孫子フラワーズが今年は春王者の称号を狙い、チーム全員で頂点を狙う。 フラワーズは代表北澤(京)の少年野球および高校時代からのチームメイトを中心に構成され、2016年からチームを結成。Victoriaでのここまでの戦績を振り返ると2020年に3部リーグ3位、続く2021年は2部リーグ準優勝、そして昨年は1部3位に加えオータムカップ優勝と着実に実績を積み重ね、現在ではVictoriaを代表するチームに成長したと言っても過言ではない。
代表の北澤(京)も『対戦相手様には全然強そうに見えないのに。とよく言われるほど、全く雰囲気のないチーム』と語るが、我々大会本部から見てもお世辞にも強そうな雰囲気を感じないというのが正直なコメントである。しかしこれが彼らの戦略でもあり、「気づいたら負けてる。そんなチームを目指して頑張ります」と令和に花を咲かせる草野球界の新しいスタイルを確立した。
そんなチームは今春大きな動きがあり、チームオーナーとして財布の紐を握る星野が副業としている競馬が的中せず、オーナーとしての仕事(チーム援助)が全く出来なくなり役職をクビになるという珍事が起きた。しかし星野はプロスタ進出の祝勝会を1人で支払うなど、着々とオーナー復帰に向けてアピールを続けている。
マイナス要素は他にもあり、2年前の神宮で4番の大役を務めた織田は、今年プロゴルファーの試験に合格してティーチングプロになり、元エースの伊藤、2年連続Victoriaベスト9に選出された花嶋が就職の関係により全く来れなくなるなど、春先は大きな戦力ダウンを強いられた。しかしこの逆境を力に変え、チーム一同がマイナス面をカバーし合い、蓋を開ければ昨年以上の結果を残す事に成功し、2023年も充実した1年となったであろう。
何より『チーム力』が魅力の我孫子フラワーズであるが、打線でキーマンとなるのはリードオフマンの北澤(京)で、彼の出塁がチームの士気にも大きな影響力を持つ。更に注目選手の佐藤・大塚・堀田に加え、クリーンナップを担う北澤(玲)など強打者が並び、下位打線には準決勝のPEACE戦で値千金のタイムリーを放った鳥海など好打者が揃う。投手陣は準々決勝以降北澤(玲)-佐藤(聡)の鉄壁リレーで相手に付け入る隙を与えなかったが、神宮ファイナルでは小澤(礼)や鳥海の登板にも期待が膨らむ。「3年連続となる神宮では経験値を活かして頑張ります」と大舞台を経験するアドバンテージはプラスの要因となりそうだ。
我孫子フラワーズの内に秘めた熱き魂は、神宮の大舞台で爆発するか!?Victoria2度目の頂きを目指し、全員野球で歓喜の輪を咲かせる!!

≪注目選手≫
#5 佐藤 聡紀(投手・内野手・外野手) 1997年9月27日生まれ 柏南高等学校~立教大学
我孫子フラワーズ屈指の勝負強さを誇る強打者。今年はチーム事情により、本職の外野手ではなく、投手、内野を中心に大車輪の活躍を見せた。攻守のキーマンがその類まれなる野球センスで今年も神宮で大暴れする。
『今年も高校の同級生のキャプテンを胴上げできるよう頑張ります!』

#17 大塚 海斗(捕手) 1998年2月21日生まれ 千葉商大付属高等学校
強肩を誇る我孫子フラワーズ扇の要。今年は全試合でマスクを被り、2番として打線の要も担う。巧みなバットコントロールでチームへの貢献度も高い。ただ、一番の任務は北澤兄弟末っ子の芹華マネージャーの世話役である。
『去年大活躍だったMVP伊藤とベスト9花嶋の分まで頑張りたいです!』

#23 堀田 成剛(外野手) 1998年5月10日生まれ 我孫子高等学校
持ち前のパワーとしなやかさで美しい放物線を描くチームNo.1スラッガー。さらに外野の守備でもチームを引っ張り、新タイトル獲得へ欠かせない存在だ。ファイナルの舞台でも我孫子フラワーズの野球を体現する。
『そろそろ我孫子(あびこ)の読み方も覚えてくれましたよね?まだの方はこれを機に是非!』

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