特集2025.11.28
春夏秋のカップ戦3大会の中でも毎年のように王者が入れ替わる激戦必至のサマーカップだが、2025年大会も灼熱の夏を凌ぐ熱き戦いが関東各地で繰り広げられた。
今大会を振り返ってみると、1回戦から9試合が1点差の接戦となり、見応えあるゲームが多数展開された一方、同じく1回戦で2ケタ得点を記録したゲームが8試合と、慣れない猛暑の影響からか投手陣が崩れる試合も多かった印象だ。猛暑と言う見えない敵を前に昨季4強のKFBCはジャンクベースボールクラブを前に1回戦敗退、 昨季準優勝の下町TempestはPIECE相手に2回戦敗退と序盤から波乱が起きた。
一方で強烈なインパクトを残したのは魔封波やふじみ野ジャイアンツの下部所属チームである。魔封波は1部所属の2チームを撃破して16強に進出し、取材ゲームでも鮮烈な印象を刻み込んだ。ふじみ野ジャイアンツは同じく16強と格上相手に2勝を飾るなど2度にわたり金星を挙げ、大会を大いに盛り上げてくれた。さらに、真夏の取材ゲームでも記憶に残る試合は数多く、中でも「アンドバランス×サントリーフーズ」の乱打戦は印象的で、両チームは今後もVictoriaを盛り上げる存在となってくれるだろう。
今夏の上位進出組を見てみると、8強はすべて1部リーグ所属のチームが名を連ね、昨春王者のPEACEや1部リーグでも決勝トーナメント進出を果たしたTommys BBCはベスト8進出と善戦した。べスト4には2年連続3回目のセミファイナル進出となったDejavu、2年ぶり3回目の夏4強進出となったスタイガーが入り、プロスタ進出まであと一歩及ばなかったが、1部リーグ所属チームのプライドを堂々と示した。そして、2年ぶりのファイナル進出に加え、夏の舞台では初の決勝進出となったCHUYANS+、3年ぶりのファイナル進出と5年ぶりの夏王座奪還に挑むPIECEが、それぞれ神宮の檜舞台にコマを進めた。
遡ること2018年から4度目のファイナル進出となったCHUYANS+は、準々決勝までは危なげない試合運びで勝ち上がると、準決勝では試合中盤までロースコアの投手戦となるも、少ない好機を得点に結びつけ強豪スタイガーに競り勝った。対照的な展開で勝ち上がってきたのはVictoria5度目の王座を狙うPIECE、準々決勝までは全て僅差の接戦を強いられるも準決勝では打線が爆発し、2ケタ得点でファイナル進出を掴み取った。
決勝に残った両雄はいずれも経験豊富な故、戦前の予想が特に難しいゲームとなるが、CHUYANS+はチームの大黒柱であり安定感抜群の投球を魅せる切原、PIECEはここまでサマーカップをほぼ一人で投げ抜いてきた青野と、両投手の出来が勝敗を左右することになりそうだ。リザーブメンバーも実績十分の選手が多く控える両チームのベンチワークも見ものだが、最高峰リーグ所属チームの意地とプライドを胸に最後まで熱戦が繰り広げられることを期待したい。果たして、第15代目の夏王者の称号を掴むのは!? 戦いの火蓋は12月20日 11時00分に切って落とされる!!
今年で節目となる25年目を迎えたPIECEは、2017年から2022年まで6年連続でVictoria入賞とファイナル7試合、そして記憶にも新しいスプリングカップで前人未到の3連覇を達成するなどVictoriaで華々しい実績を誇るが、2023年からはファイナルの舞台に立つ事ができず表舞台から姿を消した。理由としてはこれまでチームを支えてきたメンバーの生活環境が変わり、エースや主将、主力選手も数多く退団や休部を選択する事態となり、一時は決勝戦どころか人数不足で助っ人選手の方が多い活動日もあるほど、苦しい時期を過ごてきた。
そんな中、長年PIECEを牽引してきた元代表兼監督の柴より上島がチーム代表を引き継ぎ、新体制として2025年シーズンがスタートした。代表の上島を筆頭に監督にはVictoria2023年間MVPの茂木、主将の白石、副主将の桑原(南)、進藤を中心に全盛期のPIECEを知るメンバーがそれぞれの役割を全うし、共に熱く強いPIECEを取り戻すために全力で戦ってきた。積極的に新たなメンバーも迎え入れ、新生PIECEとして顔ぶれこそ多少変わったものの根幹にあるPIECE野球は不変であり、取材試合を通じても彼らはそれを証明してくれた。熱く泥臭く、そして楽しみながら全員で戦う野球を徹底し、これまで25年築き上げてきたPIECE野球と新戦力が融合、満を持して進化したPIECEがVictoriaファイナルの舞台に戻ってきた。
夏の戦いを振り返ってみると初戦から苦戦を強いられ、1回戦のドクターK戦では0-4のビハインドから上島のスリーランHRを皮切りに逆転劇を見せると、下町Tempest、魔封波戦でも1点差の接戦を勝ち切った。準々決勝のTommys BBC戦では1-1の展開の中、終盤2死から勝ち越すなど粘り強い戦いを見せた。勢いに乗ったPIECEはセミファイナルのDejavu戦で遂に打線が火を噴き、11得点の猛攻を浴びせ見事決勝戦にコマを進めた。中でも4番の上島は、1回戦から準決勝まで全ての試合で打点・得点に絡む活躍を見せ、新代表としてPIECE打線を牽引した。
決勝に向けて上昇気流に乗るPIECEの面々を見てみると、昨年までエースとして大車輪の活躍を見せていた関根が退団したものの青野、酒寄が今季復帰を果たし、安定した投球で投手陣を牽引。さらに新戦力の山田はチーム内でも最多登板、最多勝とエース級の働きでチームを支え、3人の投手陣で2025年シーズンを戦い抜いてきた。
そんな投手陣を引っ張るのは主将の白石と監督の茂木であり、経験豊富なベテラン2人がそれぞれタイプの異なる投手陣を巧みにリードし、並み居る強豪を抑えてきた。 鉄壁の内野陣は茂木、青野を中心に新戦力の浜田、松山、丸田、園田、西森、井上など走攻守レベルの高い野手陣を揃え、誰が守っても安定した守備と打撃を誇る。特に浜田や丸田の好守が随所に見られ、松山、西森は持ち味である勝負強い打撃で得点機を確実に活かす強打者だ。
外野には桑原(南)、進藤、上島を中心に松山、本木、新戦力の渡辺、中村とこちらも戦力が充実し、中でも進藤は今季首位打者の活躍でPIECE打線を牽引している。また桑原(南)は不動のリードオフマンとして出塁率も高く、がむしゃらに次の塁を狙う積極果敢な走塁は目を見張るものがある。新戦力の渡辺、中村は期待の新人であり、これからのPIECEを引っ張っていく存在になるだろう。さらには故障明けではあるが中川の打力も見応えがあり、神宮の舞台でも1発に期待がかかる。
そんな熱く賑やかなPIECEメンバーを献身的に支え、共に戦うマネージャー陣にも勝利を届けたい彼らだが、決勝戦に向けては「まずは決勝の地に戻って来れた事を嬉しく思います」と率直な感想を語った。
そしてPIECEは春とリーグ戦で惜しくも敗退し、後が無い状況からここまで勝ち上がってきたが「これまでのPIECEを築き上げてくださった先人の皆さん、一緒に戦ってきた仲間、マネージャー、応援し支えてくれた家族、交流して頂いたチームや野球人の皆様、審判の方々、素敵な大会を運営頂いている皆様全てに感謝して、優勝目指して頑張ります!」と最後はPIECEらしい熱い言葉で締め括った。チーム状態も最高潮の中、PIECEが3年ぶりに決戦の地へ乗り込む!!
≪注目選手≫
#4 進藤 匠(外野手・内野手) 1997年4月生まれ
名門・聖光学院出身の小さなスピードスター。外野を駆け抜ける俊足と、チーム首位打者に輝く巧みなバットコントロールが武器。グラウンドを彩るヒーローでありながら、仲間からいじられるムードメーカー的存在だ。
『最高の舞台で最高の仲間と激アツな試合をやったります!もちろん「優勝」しか見ていないので最後は笑顔で終われるようPIECE野球全開で戦っていきます!』
#17 松山 周平(内野手・外野手) 1991年12月生まれ
広角に鋭く打ち分ける技術と、一振りでスタンドに運ぶパワーを併せ持つ攻撃の要。本職は遊撃手だが、その守備範囲は内外野を問わず、どのポジションでもチームを支える。言葉よりもプレーで語る、静かなる勝負師だ。
『加入初年度で、長年憧れ続けていた舞台に立たせていただき、感謝しかありません!このチャンスをいただけたPIECEのためにも、そしていつも野球をやらせてくれる家族のためにも、優勝目指し頑張ります!』
#19 山田 将輝(投手・外野手) 1990年2月生まれ
マウンドに立てば圧巻の剛腕と揺るがぬスタミナで試合を支配するベテラン投手。経験に裏打ちされた投球はまさに円熟の域。父の顔を併せ持ち、仲間に頼られる“優しい漢”。その背中は若手の憧れでありチームの大黒柱だ。
『軟式野球を始めてからずっと憧れてきた舞台に最高の仲間と挑めることに感謝です!最後はチーム全員笑顔で終われるよう最高の試合にします!』
チームの結成は2013年、今季で13年目のシーズンを迎えたCHUYANS+。Victoriaに参戦を決めた結成2年目から彼らの戦いぶりを10年以上に渡って見届けてきたが、2018年の秋にプロスタ初進出を果たすまで、お世辞にも現在の『強豪CHUYANS+』と言うにはほど遠いチームだった。
その2年後の2020年に再びオータムカップで2度目の準優勝を飾り『秋のCHUYANS+』の異名を得ると、2023年には最高峰1部リーグで3度目の決勝へ進むもあと一歩のところで敗れ、過去3度のプロスタは全て準優勝に終わっている。4度目の檜舞台となる今季こそ優勝を狙うのはもちろんだが、CHUYANS+の決勝戦の戦いぶりで注目すべき点は、全員でプロスタという特別な時間を楽しむスタンスだ。その背景にはプロスタでの選手起用にあって、2年前のVictoriaファイナルでは他に類を見ない総勢27名の選手を出場させ、神宮の舞台で野球を楽しむ姿は今も強く印象に残っている。
まさに正真正銘の『全員野球』を体現したCHUYANS+だが、今季はこれまでチームを支えてきた主将のポジションを泉から新井に引き渡し、複数の主力メンバーの引退に加え、長年代表の中溝と共にチームを創り上げてきたエース植田が仕事で渡米と、彼らにとって2025年は大きな変化の年となった。一方で20代前半の若手が10名ほど新たに加入するなど一気に若返りを図り、不安を抱えてスタートしたシーズンだったが、ベテランと若手が見事に融合し、東京都大会Aクラス3大会連続出場など、例年通り好調なシーズンとなった。
代表中溝のコンセプトである『野球だけの関係性でない、永く付き合えるコミュニティ』の通り、CHUYANS+は野球以外でのコミュニケーション機会も多く、年齢を問わずチームの仲は良好で試合中も笑顔が絶えない。チームの特徴を自ら『バッテリーを中心とした守りのチーム』と評価する通り、ピッチャーは2年連続チーム内MVPの切原を筆頭に、ピッチャー陣を束ねるリーダー河瀬、そして今季から大学軟式日本代表経験者である左腕の渋江が加わり、彼らがCHUYANS+三本柱を形成する。特に渋江が1年目ながら年間を通してフル稼働したことで、投手陣の厚みが一段と増した。その投手陣を引っ張るキャッチャーは大学軟式日本代表経験者の中村、曽我、保木平の3人。全員が高いポテンシャルを備え、自らを守りのチームと評した通り、CHUYANS+バッテリーは盤石だ。
攻撃面では森川、管原の不動の1、2番コンビに加え、ユーティリティプレイヤーの主将・新井、新加入ながら4番を担う牧、鉄壁の内野守備を誇る新戦力の久保嶋、佐藤(滉)など、新たな顔ぶれが定着し勢いをつけた。特にスタイガーとの準決勝で放った牧の決勝打は大きなインパクトを残し、決勝の舞台でも彼の勝負強さに注目だ。
そして忘れてはならないのが、個性豊かなチームを束ねる代表兼監督の中溝の存在である。初めて決勝に進出した2018年の写真を見返してみると多少の初々しさが残るMr.CHUYANS+だが、近年は他大会でも実績を積み重ねており、彼の監督としての手腕は際立っている。冒頭に述べた正真正銘の『全員野球』を貫く姿勢に多くの関心が集まる中、代表の中溝は準決勝後の監督インタビューで「優勝は狙っていきたい 」と勝利への執念を示した。対戦するPIECEは2018年のオータムカップ決勝戦で敗れた相手だが、特集用のインタビューでも「過去ファイナルは全て敗退しているが、今回も全員で楽しみながら初優勝を目指したい」 と述べており、全員野球と初タイトル獲得の双方を実現しようとする強い意思が伝わってきた。自身4度目のプロスタの舞台、そしてVictoria初優勝に向けてCHUYANS+が神宮の杜で歓喜の輪を咲かせる!!
≪注目選手≫
#6 管原 紘也(外野手) 2000年12月生まれ
走攻守3拍子が揃った今やCHUYANS+に最も欠かせない選手の1人。チーム加入後に大きく成長した選手であり、本格的な筋トレ導入で打力が格段に飛躍。現在は首位打者を快走中と要注目の存在だ。
『苦しい戦いを経て皆で掴んだ神宮ですので、後悔なきようフルスイングします!』
#17 切原 侑大(投手) 2000年9月生まれ
チーム内で2年連続のMVPに輝く看板投手。大学時代には軟式で全国制覇を経験し、最優秀選手にも選出された。今ではどんな相手にも安定した投球を見せる軟式野球界屈指の存在へと成長した。
『自分のピッチングを信じて、最後まで冷静に投げ抜きます。チームが最高の形で戦えるよう、しっかりと役割を果たします。』
#52 森川 稔弘(指名打者) 2001年8月生まれ
チーム不動の1番打者であり、CHUYANS+の元気印。打撃に全てを注ぎ、指名打者の席を占有。2年前のファイナルでは先頭打者としてフェンス直撃の2塁打を放っており、その勝負強さは本物だ。
『悔いのないように頑張ります!』