TOP > サマーカップ2020 > バックナンバー > 「PIECEが春夏を制し史上3チーム目の2大会制覇!!」
TEAM1234567R
  PIECE      0        0        1        0        1        0        0        2    
  スタイガー      0        0        0        0        0        0        0        0    
エース桑原が圧巻の完封劇!PIECEが機動力を発揮し少ないチャンスをモノに!!
日が昇った後も厳しい寒さが続いた1月9日午前10時40分。晴れ渡る青空の下、決戦の地・明治神宮野球場を舞台に行われるVictoriaファイナル2020初日の2試合目は「PIECE × スタイガー」のサマーカップ決勝戦である。
戦いの先攻はサドンデスで死闘を演じた末、見事スプリングカップ2020のチャンピオンに輝いたPIECE。休む間もなくダブルヘッダーとなったPIECEだったが「選手全員、PIECEを応援してくださる家族、関係者に感謝し野球を楽しんできました」とVictoria史上3チーム目となるシーズン2冠の偉業達成に向け、感謝の気持ちを忘れることはなかった。絶好調のチームを支えてきた大黒柱のエース桑原(以)は「PIECEの優勝に貢献できるよう、自分らしく堂々と投げ抜きます!」と決戦の地でも魂の投球を見せると気合十分に語った。
対する後攻のスタイガーは、2018年シーズンVictoria最高峰1部リーグ優勝以来2年ぶりにこの決戦の舞台に還ってきた。チームを結成して30年以上経つスタイガーの特徴は、小西監督による状況に応じた的確な采配力と個々の野球に懸ける情熱からなるチーム力である。ここまでチームを牽引してきた若きエースの三瓶は「昨年は神宮に行くことができず、1年間悔しい思いをしました。今年は神宮で最高の瞬間を迎えられるように全力投球で頑張ります」とファイナルの舞台でもこれまでのような圧巻の投球を魅せつけ、チームを頂点へ導くことを誓った。 Victoria最高峰1部リーグ所属同士の戦いとなったこの一戦は、大方の予想通り両チームのエースがプライドを懸けて投げ合う投手戦となった。1回表、スタイガーのエース三瓶は高野、桑原(南)、斉藤をわずか9球で三者凡退に打ち取り、堂々たる完璧な立ち上がりで攻撃に流れを持ち込む。1回裏、マウンドに立つPIECEのエース桑原(以)はスタイガー先頭の村上(慶)をいきなり四球で塁に出すと、続く2番亀山はインコースの難しいボールを詰まりながらもレフト前へ運び、スタイガーは初回からノーアウト1、2塁と得点圏にランナーを進める。いきなりピンチを迎えた桑原(以)であったが、ここまで数々の修羅場をくぐり抜け勝負の要諦を知り尽くしたエースは粘りの投球を見せ、3番の阿部をサードフライ、4番柿間には初球を打たせ1-4-3のダブルプレーに打ち取り、何とかピンチを切り抜けた。
2回表、ピンチを凌いだPIECEは4番坂東がフルカウントから四球を選び、先頭打者が出塁。続く5番本木はピッチャーとサードの間を抜く絶妙なプッシュバントを決めノーアウト1、2塁とチャンスを広げると、ここでも6番櫻井が送りバントを試みるがスタイガー扇の要の塩味が好フィールディングを魅せ、ランナーの進塁を許さなかった。その後、7番柳澤がライト前ヒットを放ち1アウト満塁と先制のチャンスを迎えるが、スタイガーのエース三瓶は8番宮嶋をセンターフライ、9番青野をセカンドゴロに打ち取り、こちらも流れを引き渡さない粘りのピッチングを見せ、序盤から両エースの好投が光った。 均衡状態のゲームが動いたのは3回表だった。1アウトからPIECEの2番桑原(南)が四球で出塁し初球からすかさず盗塁を決めると、続く3番斉藤のサードゴロの間に3塁まで進み、2アウト3塁とする。このチャンスで打席に入ったのはPIECE主砲の坂東、カウント2ボール2ストライクからの5球目、打球はサードへ転がったがスタイガー新津の送球がわずかに逸れると、坂東がファーストのタッチを掻い潜りPIECEが思わぬ形で1点を先制した。
更には5回表、この回先頭のPIECEの9番青野がサード強襲の鋭い打球を放ち快足を飛ばし出塁すると、1番高野のライト前ヒットの間に青野は一気に3塁まで進み、ノーアウト2、3塁のチャンスを作る。続く桑原(南)はセカンドゴロに打ち取りホームへの進塁は免れるかと思いきや、3塁ランナーの青野は躊躇せずホームを狙うと、慌てたセカンド飯塚の送球はわずかに左へ逸れ、足のスペシャリスト青野の快走でPIECEが欲しかった追加点を奪う。スタイガーはなおもノーアウト1、3塁とピンチが続いたが、ここはエース三瓶が3番斉藤をサードゴロ、4番坂東をレフトフライと抑える。続く5番本木の打席ではこの試合1番のビッグプレーが飛び出し、本木の打った打球は1塁側のカメラマン席前へ。これを初回から大きな声を出しチームを鼓舞し続けたファーストの山本が見事なダイビングキャッチでチームを救い、最小失点で切り抜けた。 5回裏、山本のファインプレーをきっかけに反撃の狼煙を上げたいスタイガーだったが、この回先頭の山本、続く新津と凡退し、代打の目代は鋭い打球を飛ばすもファースト正面と、エース桑原(以)の前にランナーを出すことができない。6回表、エース三瓶からバトンを受け取ったスタイガー2番手の中山はランナーを3塁に進ませるも、ピンチでも動じず落ち着いた投球を見せ、PIECE打線を0点に抑える。6回裏、ボールが高めに浮き始め少々疲れが見え始めた桑原(以)だったが、巧みな投球術で塩味、村上を打たせて取りここも三者凡退を狙ったが、2アウトランナー無しの場面で初回にヒットを放っている亀山が低めのボールを素晴らしいバットコントロールですくい上げ、3イニングぶりにヒットを放つ。しかし後続が打ち取られ、この回も無得点に終わり残すは最終回の攻撃のみとなった。
試合はテンポよく進みスタイガー最後の攻撃となった7回裏、この回もマウンドに立つのは完封を見据えるPIECEのエース桑原(以)。何とか出塁したいスタイガーであったが、主砲の柿間が初球を積極的に打ちにいくもサードゴロに倒れ1アウト、続く指名打者の中谷も初球を打つが詰まり気味のライトへのライナーで2アウト。何が何でも塁に出たい山本は1ボール2ストライクからの低めの落ちる球を打ちにいったが、打球はショートを守る青野の前に転がりゲームセット。PIECEがVictoria史上3チーム目となるシーズン2冠を達成し、更には史上初の春、夏、秋の3季制覇も同時に達成した。MVPには7回無失点、球数90、被安打3、四球1と抜群の安定感を魅せた桑原(以)が選ばれた。 ゲーム後、スプリングカップに引き続き優勝インタビューに答えた柴代表兼監督は「ホッとしています。正直、荷が下りました」と安堵の表情を浮かべると、楽ではなかった接戦の重圧からようやく解放され笑顔も垣間見えた。さらにこの試合を振り返り「やはり投手戦になるのかなと予想していましたが、その通りになりました」と語り、相手のスタイガーについて問われると「よく(バットが)振れているチームだなというのは前から思っていたので、先発の桑原(以)がどこまでスタイガーさんを抑えられるかがこの試合のポイントかなと思っていました」と話した。最後に新シーズンへの意気込みを問われると「4冠獲れるように頑張っていきます」とVictoria史上初の偉業達成に向け堂々と宣言してくれた。
一方、3度目のチャンピオンの座を狙っていたスタイガー。PIECEのエース桑原(以)を前に自分たちの野球をすることが出来なかったが、長い歴史がある中でも毎年進化を続ける姿はどのチームも刺激を受け、Victoria全体のレベルを引き上げてくれている。来年もまた新しいスタイガーが見られることに期待しつつ、ファイナルの地へ舞い戻ってほしい。
【MVPインタビュー】#21 桑原 以蕗
【監督インタビュー】#11 柴 大輔
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