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エース桑原(以)が圧巻の完投!PIECEがVictoria史上初のスプリング連覇!!
前日の天候からは一転、曇り空が広がる朝となった1月10日8時。明治神宮野球場で行われたVictoriaファイナル2021、2日目の第1試合はスプリングカップ2021 supported byアミノバイタル®「PIECE × TOKYO GRAND SLAM」の一戦である。
戦いの先攻は昨年度のスプリングカップを制し、更にはサマーカップとのVictoria2冠を達成したPIECE。今大会は1回戦から準々決勝まで毎試合5得点以上を奪うなど春先から打撃が好調で、更には枚数豊富な投手陣の先頭に立つ2020年間MVPの桑原(以)は今シーズンも安定したピッチングを見せた。戦いを前にPIECEのムードメーカー斎藤は『 今シーズンはギャグでも野球でも大きな花火を上げ続けてきたので決勝戦でもどデカい一発を打ち上げます!』と笑いを交えたコメントを残した。
対する後攻のTOKYO GRAND SLAMは『クラブの常識を覆す』をテーマにチームは結成5年目を迎え、今季は並みいる強豪を撃破し見事ファイナル進出を掴んだ。現在のレギュラーメンバーは、高校時代に甲子園出場を経験した選手が半数以上とタレント揃いで、中でも注目のエース太田、桑村、鍵本の先発陣140kmカルテットの活躍が試合の行方を左右する。TOKYO GRAND SLAMキャプテンの浅賀は試合前『 決勝戦は個々の能力だけでなくチーム力、団結力で相手を圧倒します!チーム全員で優勝を目指します!! 』と力強い言葉を述べた。 互いにポテンシャルの高い選手を先発に並べ、ハイレベルな戦いが予想された決勝戦は、序盤から大きな動きを見せる意外な展開となった。1回表、TOKYO GRAND SLAM先発のマウンドに上がったのはエースの太田。年間を通して防御率1.74を記録し、最速145kmのストレートを武器に多彩な変化球で相手を翻弄するピッチングが持ち味だ。
初回から試合の主導権を握りたいPIECEは、長打が打てるリードオフマン茂木が左打席に立つ。立ち上がりやや制球が不安定な太田に対して茂木は長打を封印し、際どい球をファールで粘り7球投げさせフォアボールで出塁する。俊足のランナーを1塁に置きTOKYO GRAND SLAMバッテリーが警戒する中、2番桑原(南)の打席でランナー茂木は4球目にスチールを仕掛け、間一髪のタイミングになるも盗塁成功。打席の桑原(南)もフォアボールを選び、クリーンナップを前にノーアウト1,2塁と先制のチャンスを掴む。続く3番坂東は5球目の変化球を引っ掛け、セカンドフォースアウトで1アウト1,3塁となるも、ここで迎えるは4番の斎藤。制球が安定しない太田に対して狙い球を絞り初球を強振するもボールは芯から僅かに外れ、軟式ボール特有の強烈なバックスピンが掛かりキャッチャー前に転がる。捕手の鈴木も慎重に捌きにいくも想像以上のバックスピンでボールは鈴木のグラブを強く弾く。その間に3塁ランナー茂木が生還し、PIECEはノーヒットながら電光石火の先制点を奪う。 これまで4度ファイナルの舞台を経験しているPIECEは初回から一気に猛攻を仕掛け、続く5番本木はデットボールで1アウト満塁とすると、打席に向かうのは今日をもって現役を引退し、指導者の道へ進む櫻井(健)。ここで扇の要として幾度となくチームを救ってきた男に一本が飛び出す。カウント1-1からの3球目、TOKYO GRAND SLAMベンチからは「この回ノーヒット」と大きな声援が太田に送られるも、ストレートに狙い球を絞った櫻井は外寄りの直球に逆らわず流し打ち。打球はライト前に落ち3塁ランナー坂東が生還し2-0、2塁ランナー斎藤も一気にホームへ突入するもここはTOKYO GRAND SLAM守備陣の中継プレーが勝り、本塁タッチアウト。3点目とはならなかったものの櫻井の一打でPIECEは更にリードを広げる。
下位打線に入っても好打者が続くPIECEは、シーズン途中までTOKYO GRAND SLAMの一員だった7番進藤が打席に入る。元チームメイトには打たれる訳にはいかないマウンドの太田、一方でチームを退団後も仲睦ましい相手ベンチから声援が送られる遠藤。意地とプライドが激突した注目の一打席は、初球を遠藤がレフト前へ運び二者連続のタイムリーヒットで3-0、ここはPIECE進藤に軍配が上がった。続く8番青野はバントの構えで揺さぶり、フォアボールを選び2アウトながら再びランナー満塁。ここで堪らずファーストを守る代表の橋本がタイムをかけてピッチャー交代、2番手として早くも桑村がマウンドに上がる。PIECEはここで誰よりも大きな声を出し、チームを鼓舞する9番白石が打席に入る。太田の後を継いだ桑村はこのピンチで平常心を保てず、一球もストレートが入らずフォアボールとなり押出し。4-0と1回から大きなビッグイニングを作ったPIECEは、早くも先頭に返りバッター茂木を迎えるが、桑村は茂木に対しても制球が定まらず、二者連続フォアボールで5-0。初回で主導権を握ったPIECEは打者一巡、2安打7四死球と25分に及ぶ初回の攻防を終え裏の守りに入る。 このままでは黙っていられないTOKYO GRAND SLAMは1回裏、追撃を見せる。PIECEのマウンドに上がるのは絶対的エース桑原(以)、抜群の制球力と力強いストレートを武器に昨シーズンVictoria2冠の立役者としてチームを牽引し、2020年の年間MVPも受賞した。マウンド度胸も満点のPIECE桑原(以)に対して先頭の石塚は、3球目を鮮やかに弾き返し綺麗にセンター前へ運ぶ。続く2番山川のセカンドゴロの間に石塚が進塁し1アウトランナー2塁、3番の橋本はセカンドフライに倒れるも2アウトながらここで4番の草野が打席に立つ。カウント1-2から桑原(以)が投じた3球目、草野はやや体制を崩されながらも外寄りの変化球を上手く拾い、鋭いライナーをセンターへ放つ。2020年Victoriaベストナイン9の桑原(南)が必死に追いかけるも打球は桑原(南)の横を抜けタイムリーツーベースヒット、TOKYO GRAND SLAMは頼れる4番の一振りで点差を4点に縮めた。
序盤から見ごたえ十分の一戦は、2回にも動きを見せた。PIECE2回表の攻撃は3番の坂東から始まる好打順。この回も制球が定まらない桑村はこの日チーム6個目のフォアボールを与え、初回に続き先頭が出塁。続く斎藤はファーストファールフライに倒れるも本木の打席で坂東が初球にスチールを成功。1アウトランナー2塁となり本木は4球目を上手く転がして相手エラーを誘い、1アウトランナー1,3塁とPIECEは更にチャンスを拡大する。続く櫻井(健)はセカンドへ打ち上げ2アウトとするも、前の打席でタイムリーを放った進藤は3球目の変化球を引っ掛けるが、サードの山川が打球をファンブルし3塁ランナーが生還で6-1。PIECEは2回表、欲しかった追加点を奪い得点差を5点に戻す。 序盤からシーソーゲームとなり乱打戦も予想されたが、試合は一転3回以降は先程までの展開が嘘かのようにゲームが進む。 TOKYO GRAND SLAMの桑村は3回以降本来のピッチングを取り戻し、3回5回と1イニングに2つずつの三振を奪い仲間の援護を待つ。打線の方はPIECE桑原(以)に対して徐々にタイミングを合わせ、4回裏には先頭の草野が真ん中に入った初球のストレートをジャストミートし、右中間最深部に運ぶ。あと一歩フェンスには届かなかったが、エンタイトルツーベースでこの日2本目のヒットを放つも後続が倒れこの回無得点。続く5回裏にも1アウトから石塚がライトへ特大のエンタイトルツーベースを放つも同じく後続が続かず4回、5回と無得点に終わる。TOKYO GRAND SLAMの2度に渡る得点機を0点に抑えたこの場面、桑原(以)を称える一方で扇の要としてピンチを切り抜けた櫻井(健)の記録に残らない活躍も称賛したい。決してプレーに派手さはなく、花形とは言い難いキャッチャーという難しいポジションを年間通して守り切り、このピンチの局面には桑原(以)を鼓舞させ、守備陣には的確に指示を出し無失点で切り抜けた。自身最後の試合として櫻井(健)がこの日に懸ける想いを覗わせたシーンでもあった。
試合は6回表、TOKYO GRAND SLAMは3回より好投を見せた桑村から3番手として石渡がマウンドに上がる。石渡は仲間の援護を信じ6回表を無失点、7回表は2アウトからPIECE代打の杉沼が三遊間を破り出塁するも後続を抑えて、このイニングも無失点で見事なリリーフを見せた。投手陣は立て直すも期待の攻撃陣は鳴りを潜めて試合は進み、TOKYO GRAND SLAMは最終回の攻撃を迎える。 この回も桑原(以)がマウンドに立ち完投を見据える中、TOKYO GRAND SLAMは何が何でもランナーを溜めたい場面であったが、先頭の7番山口はサードゴロに倒れ1アウト。続く8番鈴木は3球目を打ち上げ、ボールは3塁ファールゾーンへ。打球の行方を瞬時に判断した櫻井(健)は、懸命に打球を追い見事なスライディングキャッチで2アウト。すかさずピッチャーの桑原(以)は櫻井(健)のもとへ駆け寄り、ポンポンと頭を二度叩く。そしてマウンドには内野陣が集まり、この日で引退する櫻井(健)との時間を1分でも長く楽しもうと、一度全員で呼吸を合わせる感動的なクライマックスを迎えた。 そして2アウトランナーなし、途中出場の勝俣が左打席に入る。勝俣はこの日桑原(以)が投じた77球目、無情にもボールは高く打ち上がり、ファーストの斎藤が最後はしっかり掴んで3アウト。1時間44分の熱戦はPIECEに軍配が上がり、スプリングカップでは史上初となる2年連続のチャンピオンに輝いた。 大会MVPは初回に貴重な追加点となるタイムリーヒットと、扇の要として桑原(以)を巧みにリードした櫻井(健)が受賞した。2連覇を達成した監督の柴はインタビューで今の気持ちを問われると、偉業達成を噛み締めながら「嬉しいです。9月後半からなかなか勝てなくてチームとしても低迷していたが、選手を信じていい結果が出てよかったです」と冷静に振り返り、他チームが参考にしたいチーム作りの秘訣については一言「楽しくやることですよね、それが一番です!」と笑顔で語ってくれた。続いて大会MVPを受賞した櫻井(健)がインタビューに答え、初回の打席について「相手投手の制球が定まらない中で、柴監督からも打てるボールが来たら積極的に行っていいと言われたので監督を信じて打ちました」と自身の引退の花道を最高の形で飾り、今日の試合をもって引退する真相を問われると「来年から指導者の方に挑戦し今日で公式戦は終わりとなりますが、僕の気持ちを引き継いで是非3連覇してもらいたいなと思います」とコメントし、最後までチームを思う気持ちに敬意を払い、次のステージでの活躍をVictoria大会本部一同、心から応援したい。
一方敗れてしまったTOKYO GRAND SLAMは初回7四死球からの大量失点が最後まで響く結果となったが、安打数はPIECEの倍となる6本だっただけに来季はリベンジを果たしてほしい。
【MVPインタビュー】#14 櫻井 健
【監督インタビュー】#11 柴 大輔
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