TOP > Victoriaリーグ4部(2020年) > バックナンバー > 「紫光倶楽部が復帰1年目で4部優勝の栄冠勝ち取る!!」
TEAM1234567R
  新座オーキーズ      0        0        1        0        0        3        0        4    
  紫光倶楽部      1        0        0        7        1        2        ×       11   
蒔田(雅)・矢部(凌)の若武者リレー!紫光俱楽部が優勝候補を圧倒し初優勝!!
2日間に渡って聖地・明治神宮野球場にて行われたVictoriaファイナル2020。数々のドラマや熱き戦いが繰り広げられてきた大会のトリを務めるのは、「新座オーキーズ × 紫光倶楽部」の4部リーグ決勝戦だ。
戦いの先攻は2008年に結成し、Victoria参戦5年目にして悲願のファイナル進出となった新座オーキーズ。今季は「今日いるメンバーがベストメンバー」というチームスローガンを掲げ、草野球ではその日によりメンバーが異なるため、あえてエースも4番も作らなかった。今年のグループリーグもマウンドにいる者がエースという士気で西野、渡邉、山口、廣重、西部と5人の投手陣で挑み、打線においても全9試合で5人もの選手が4番を務めた。そのスローガンが功を奏し、予選から準決勝まで破竹の9連勝で圧倒的な強さを見せて勝ち上がってきた新座の雄。注目選手に名前が挙がった新田、瀧渡(幸)、渡邉は「榎本代表を胴上げします!」と口を揃えて宣言し、チーム全員が同じ想いを胸に10戦全勝の完全優勝を目指す。
対する後攻は2013年にVictoria初参戦を果たし、進化を遂げた新チームで挑んだ復帰イヤーに見事プロスタの切符を掴んだ紫光倶楽部。予選リーグを2位で突破すると、決勝トーナメントの3試合は全て接戦をモノにして勝ち上がってきた。立ち上げ当初のメンバーが40代を迎え退部する者も増えてきたが世代交代も成功し、今は20代前半の選手がチームの顔となり活気に溢れている。注目選手に名前が挙がったのは、投打でチームを引っ張る蒔田(雅)と矢部(凌)。打ってはお互いにクリーンアップを務め、投げては蒔田(雅)が先発し、矢部(凌)がリリーフする勝利の方程式が確立されており、若き2枚看板の躍動こそが初タイトル獲得のカギを握る。 共にベテランと若手が融合する両者の戦いは、初回から動きを見せた。1回表、新座オーキーズは、1番瀧渡(圭)が直球に差し込まれながらも、上手くライト線へ打球を運ぶ。ヒットかと思われたが、この打球を紫光倶楽部のライトを守る蒔田(澪)が華麗なスライディングキャッチを決めプレイボール直後から見所を作ると、蒔田(雅)は後続も抑え上々の立ち上がりを見せる。守備からリズムを作った紫光倶楽部は1回裏、先頭の1番矢部(和)が振り逃げで出塁すると、初球から果敢にスチールを仕掛けノーアウト2塁のチャンスを作る。続く2番日沢は浅めのセンターフライを放つも2塁ランナー矢部(和)は迷わず俊足を飛ばし3塁を落とし入れ、1アウト3塁と先制のチャンスを迎える。ここで打席に入った3番蒔田(雅)は、カウント1ボールから新座オーキーズ山口の甘く入ったストレートを強振し、打球はセンターへ。犠牲フライには十分の距離となり矢部(和)がホームに生還、紫光倶楽部が初回から鮮やかに先制点を挙げた。
2回は両チーム無得点で迎えた3回表、前のイニングに西野の圧巻の投球で攻撃へのリズムを作った新座オーキーズは、1アウトから9番山崎が四球で出塁するとすかさず盗塁を決め、1アウト2塁と得点圏にランナーを置く。打順はトップに返ると、瀧渡(圭)のショートゴロがフィルダースチョイスとなり、1アウト1,3塁と更にチャンスを広げる。ここで迎えた2番山口は、カウント2ボールからセンターへの浅いフライを上げ、犠牲フライは難しい位置かと思われたが3塁ランナーの山崎は躊躇なくホームに突入すると、送球も逸れ見事ホームイン。山崎の好走塁で新座オーキーズが1点を返し、試合を振り出しに戻した。 中盤を迎えた4回表、この回から紫光倶楽部は2枚看板の一角、矢部(凌)がマウンドへ。矢部(凌)は見事に新座オーキーズの代打攻勢を三者凡退に打ち取る。
その裏、新座オーキーズも継投を見せ、注目選手に名前の挙がった130キロを超える快速球が武器の渡邉(和)が登板。しかし、立ち上がりから制球の定まらない渡邉(和)に紫光倶楽部打線が襲い掛かる。先頭の蒔田(雅)がカウント3-1から痛烈なセンター前ヒットを放ち出塁すると、続く4番須藤はストレートの四球となり、ノーアウト1,2塁とこの試合2度目の得点圏にランナーを置く。続く5番矢部(凌)のキャッチャー前に転がった送りバントをこの回からマスクを被る熊本が処理を誤りノーアウト満塁。迎えた6番渡辺は冷静にボールを見極め押し出し四球を選び、紫光倶楽部が2点目を挙げる。
完全に流れは紫光倶楽部に傾き、7番村上は直球に詰まらせられるもショートへの内野安打となり1点を追加。さらに8番梨本は初球に意表を突くセーフティースクイズをサードに転がし1点を追加。なおもノーアウト満塁の場面からエラーや内野安打も重なり紫光倶楽部が3点を奪い、7-1と一気にリードを広げる。何とか後続を抑えたい渡邉(和)であったが、1アウト1,2塁の場面から日沢がレフト前ヒットを放ち、2塁ランナーがホームイン。さらに1点を追加し、紫光倶楽部がこの回打者一巡のビッグイニングを作り、トータルスコア8-1と大きくリードする。 5回表、流れを変えたい新座オーキーズであったが、矢部(凌)に対して三者凡退と攻略の糸口が見つからず、その裏廣重がマウンドへ上がる。廣重はヒットとエラーで1アウト1,2塁のピンチを迎えたが、7番安藤を空振り三振に仕留めたストレートがこの日最速の138キロを計測し、グラウンドの注目を集めた。このまま無失点で攻撃に繋げたいところであったが、続く梨本のサードゴロが送球ミスとなり、2塁ランナーがホームイン。紫光倶楽部が9点目を挙げ、試合は終盤に突入。
6回表、ついに新座オーキーズが反撃に出る。先頭1番の中井、2番の渡辺(将)が共に四球を選びノーアウト1,2塁とチャンスを作り、3番渡邉(和)も進塁打でチャンスを広げると、1アウト2,3塁で打席には4番の廣重。1点でも返したい場面で低めの球を合わせた打球はレフト前ヒットとなり、待望の2点目を追加。続く實重のファーストゴロの間に3塁ランナーが還り3点目を挙げると、なおも2アウト3塁で迎えるは途中からマスクを被る熊本。2球目を振り抜いた打球はレフト後方へ高々と上がり、レフトが後退し追い付くも打球はグラブを弾き落球。3塁ランナーが還り、この回4点目を奪った。不運なエラーも重なる中でマウンドを守り続ける紫光俱楽部の矢部(凌)であったが、後続を何とか打ち取りこの回を3失点で切り抜ける。
4-9と5点差まで追い上げられた紫光俱楽部は6回裏、ここでも攻撃の手を緩めることはなく、2アウトながら再び得点圏にランナーを置き須藤が打席へ。甲子園も経験した強打者がカウント1-0からの直球を完璧に捉えた打球は左中間へ鋭く転がり、2塁ランナー日沢がホームインし、打った須藤は3塁まで到達。続く5番矢部(凌)はセカンド内野安打を放ち、更に1点を追加。後続は倒れるもトータルスコアを4-11とし、紫光倶楽部が7点リードで最終回を迎える。
決して諦める姿勢を見せない新座オーキーズは、先頭9番山中が三振を喫するも中井が初球を強く振り抜き、セカンド強襲ヒットで出塁し望みを繋げる。しかし続く渡辺(将)は変化球を打たされピッチャーフライとなり2アウト。あとアウト1つの場面で迎えた渡邊(和)は意地のセンター前ヒットを放ち、前の打席でタイムリーを打っている廣重に回す。しかし、粘りの投球を続けた矢部(凌)が投じた2球目の変化球をサードへ打ち上げると、数々の得点機があった見ごたえあるゲームはここで幕を閉じ、紫光倶楽部が勝利し4部リーグを制覇した。MVPには先発投手として3回1失点、打っては大量得点の口火を切るヒットを打った蒔田(雅)が選ばれた。 ゲーム後、優勝インタビューに答えた石塚監督は「本当に嬉しいです。勝つなら接戦、負けるなら大差と思っていたので、予想外の結果となりました。うちはずば抜けた選手はいませんが、蒔田(雅)と矢部(凌)が試合を作って、打線がどれだけ打てるかというチームです。今日は二人が抑えてくれたので、打線が打ってくれたのだと思います」と述べ、2枚看板と11得点の打撃陣を称賛した。また、「3部に上がってもみんなでファイナルに行けるように頑張ります!」と、来季への意気込みを語ってくれた。
一方、連勝が9で止まり、まさかの大敗を喫した新座オーキーズ。ファイナルの舞台こそ本来の力が発揮できなかったが、準決勝までの9試合の他を圧倒する戦いぶりは実に見事であった。その抜きんでたポテンシャルで最激戦区の3部昇格後も大いに存在感を発揮するであろう。
【MVPインタビュー】#16 蒔田 雅翔
【監督インタビュー】#30 石塚 正明
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