TEAM	1	2	3	4	5	6	7	R
アンバージャック	0	0	0	0	0	4	0	4
ワイルドスピリッツ	0	2	0	0	0	1	1	4

快晴とまでは呼べないものの、冬空の下としてはまだまだ暖かささえ感じる陽気となった12月23日。 この日、決戦の地・明治神宮野球場を舞台に行われるファイナル第1ラウンドのオープニングゲームを飾ったのは、「アンバージャック × ワイルドスピリッツ」の4部リーグ決勝戦である。 戦いの先攻は、結成僅か3年にして大舞台へと歩みを進めると同時に、チーム史上初となるタイトル獲得に燃える若武者アンバージャック。そんなチームの司令塔である西澤キャプテンはゲーム前、「今年はとにかくここの舞台を目標にしてきて、あとは優勝するという夢を叶えるだけだと思っているので、選手達には大いに頑張ってもらいたいと思っています。とにかく自分達の野球をして神宮という舞台を楽しみたいですね。勝利のポイントとしては、ピッチャーの継投と上位打線の奮起ですかね。その中でキーマンを挙げるとしたら、走攻守での活躍を期待している1番ショートの小田ですね。特に攻撃面では彼の出塁が得点のカギになってくると思うので、大いに暴れてもらいたいと思っています。ここまで来たら優勝を掴み取れるよう頑張ります」と語り、決戦を前に気合い十分。 また、キーマンとして名前の挙がった小田は、「自分が出塁すれば、あとはクリンアップが還してくれると思っているので、初回から自分の役割を果たせるように頑張ります。守りの面でもショートという重要なポジションを任されているので、声でもプレーでもチームを引っ張っていきたいと思います。とにかく調子としてはめちゃくちゃ良いので、ここまで来たらのびのびと楽しんで、最後に優勝というものを手に出来たらなと思っています」と話し、攻守のキープレーヤーが活躍を誓った。 対する後攻は、同じくチーム結成3年目を迎えた今シーズン、負け続きだったチームを一新しようと臨んだVictoriaリーグで、見事初出場にして大舞台へとコマを進めてきた新星ワイルドスピリッツ。そんな著しい成長をみせるチームの指揮官である齋藤監督はゲーム前、「チーム初の決勝戦という事でみんな緊張してるとは思うんですが、全員が一丸となって戦っていきたいなと思っています。ゲームプランとしては、特殊ではあるんですが、全員を出場させるという事を約束しているので、前半後半で選手を分けて戦って、その中でしっかり優勝というものを掴めたらなと思っています。そこで、キーマンを挙げるならば、やはり先発投手を任せる間ですかね。彼が立ち上がりからどんなピッチングをするかでリズムが決まってくると思うので、スタートからチームが勢いづくような投球を見せてもらいたいなと思っています。とにかく、タイトルを掴んで全員で喜びを分かち合えるよう頑張ります」とコメントし、こちらも気合い十分といった様子。 また、若きエースとして奮投を期待される間は、「こんな大舞台で緊張はしていますが、今までやってきた事を出し切って勝ちたいと思います。調子としてもこの一週間しっかり調整してきたつもりなので、緊張し過ぎなければいけると思っています。テーマとしては、とにかく低め低めをついて打たせて取るピッチングを心掛けたいなと思います。とにかく、最後にみんなで笑えるように頑張ります」と話し、若き右腕が覚悟を持って神宮のマウンドに上がる。 そんな、互いに初となるタイトル獲得を見据える両雄が相対する事となった戦いの火蓋は、午前8時ジャストのプレーボールで切って落とされ、先にゲームの主導権を握ったのはワイルドスピリッツだった。先発の間が齋藤監督の期待に応える文句無しのピッチングで1、2回を0で抑え流れを引き寄せると迎えた2回裏、内野安打で出塁した5番金子を1塁に置いた場面で、迎えた7番高橋（雅）がライト線を破るタイムリー2ベースヒットを放ち1点を先制すると、続く8番鈴木にもレフトの遥か頭上を越す豪快なタイムリー2ベースヒットが飛び出し追加点。下位打線による見事な連続タイムリーで2点の先取に成功し、序盤から流れを掴む。 すると、援護をもらった間がその後も上々のピッチングを披露。直後の3回表こそ四球、送りバント、進塁打で3塁にランナーを背負ったが、迎えた2番大城をショートゴロに打ち取りこの試合初のピンチも無失点で脱すれば、終盤へと差し掛かった5回表には8番桂、9番太田を連続三振に仕留めるなど、アンバージャック打線に反撃の糸口すら与えない。 だが、そんなワイルドスピリッツペースで進んでいたゲームは迎えた6回表、ここまで間の前に沈黙していたアンバージャック打線が、この回からマウンドに上がった2番手柴田に襲いかかった。この回先頭の1番小田が放ったレフト前ヒットを口火にノーアウト満塁のビッグチャンスを作り出すと、この場面で迎えた4番大久保が左中間を真っ二つに切り裂く走者一掃のタイムリー3ベースヒットを放ち、一気に3対2と逆転。さらにこの回、6番杉野の放ったショートゴロの間にも1点を加え計4点を奪取し、終盤にして遂にゲームをひっくり返した。 しかし、このままアンバージャックが逃げ切るかに思われたゲームだったが、今度はワイルドスピリッツが反撃。直後の6回裏に途中出場の3番武田がヒット、盗塁で3塁にまで進んだ後、奇襲となるホームスチールを成功させ1点差に詰め寄れば、最終7回裏にも2本の内野安打などで1アウト満塁のチャンスを演出すると、再び迎えた3番武田の放ったサードゴロの間に1点を奪い土壇場で同点。中盤までとは一転、終盤にきて目紛しく動いた両者の攻防は、7回を終了しても決着が付かず、勝負の行方はジャンケンへと委ねられた。 すると、土壇場でゲームを振り出しに戻したワイルドスピリッツが勢いそのままジャンケン勝負を5対2のスコアで制しゲームセット。決勝戦に相応しい好勝負となった一戦は、最後の最後で運をも味方につけたワイルドスピリッツが勝利を手にし、チーム初となる栄冠を手にした。 ゲーム後、勝利インタビューに答えた齋藤監督は、「最高に嬉しいです！！ゲームを振り返ると、先制点を取りながら途中守備の乱れで逆転を許してしまったんですが、それでも集中力を切らさず同点に追いついて最後はジャンケンですけど勝てたので、最高に盛り上がったかなと思います。この1年を通しても、みんな必死にやってくれたので本当に良かったなと思っています。来年は1つ上のリーグでの戦いになりますが、自分達のやる事は変わらないので、精一杯頑張ってみんなとまた優勝したいと思います」と語り、歓喜の笑みを浮かべながら選手達の奮闘を称えた。 一方、初のタイトル奪取が目の前まで迫っていただけに悔いの残る惜敗となってしまったアンバージャック。それでも、2連敗スタートから決勝の切符を掴んだリーグ戦での戦い同様、今日のゲームも2失点からの逆転劇を演じるなど最後まで粘り強さを披露した彼らの戦いぶりはあっぱれの一言であり、来季以降の更なる活躍を期待させるシーズンとなった事は間違いない。