TOP > Victoriaリーグ3部 supported byファンゴユニフォーム(2021年) > バックナンバー > 「戦極が91チームの頂点へ!参戦2年目で悲願の初優勝!!」
白熱の投手戦は戦極に軍配!下野・大和田の完封リレーで初タイトル獲得!!
3日前に警報級の大雪が東京に降り、球場の一部にはまだ雪が残る中、雲一つない晴天に恵まれ最高のコンディションで迎えた1月9日午前8時。明治神宮野球場で行われるVictoriaファイナル2021、初日の第1試合はVictoriaリーグ3部 supported byファンゴユニフォーム決勝戦「戦極-SENGOKU- × Avengers」である。
戦いの先攻は3大会でファイナル進出を果たし、2021年のVictoriaを席巻した戦極。今季3部リーグでは強打で並みいる強豪を圧倒しセミファイナルまでの9戦で平均得点は7点と神宮の舞台でも大暴れに期待がかかる。ファイナルでマウンドに上がることが予想される注目選手の大和田は『プロ野球選手の使っている球場で野球をできることに感謝して戦極を優勝に導けるようにがんばります!』と意気込みを語った。
対する後攻のAvengersはVictoria参戦1年目で見事に神宮進出の快挙を成し遂げ、「誰が試合に出ても勝てるチーム」を1年で作り上げた。一人一人が名門校での野球経験があり、特に投手陣はそれぞれレベルが高く先発、中継ぎ、抑えとスペシャリストを揃える。チームを束ねる関根は注目選手としても名前が挙がり『Avengersのモットーである全員野球で初出場初優勝を掴み取りたい!』とコメントした。 そんな意地とプライドが激突した両チームの戦いのゴングは、嶋村主審のプレーボールとともに打ち鳴らされ、試合は両投手陣の好投が光る内容となった。1回表、Avengers先発のマウンドに上がったのはサウスポーの大貫。高校時代はMAX145キロを計測したストレートは一級品で、今シーズンAvengersの快進撃を支えた中心人物の1人だ。その大貫は初回からエンジン全開の投球を披露し、戦極1番杉浦は6球粘るも最後は低めの球を見逃し三振、続いて注目選手としても名前が挙がった2番谷津、3番渡部の2人に対しても三振を奪い、三者連続三振とこれ以上ない上々の立ち上がりを見せた。
一方、ファイナル2日間で3試合を戦う戦極、この日先発のマウンドに立ったのは右腕の下野。こちらは多彩な変化球を駆使し、コーナーへの出し入れで打者を手玉に取る技巧派投手だ。先頭のAvengers1番荒井は外へ逃げる変化球で空振り三振、 続く2番酒井は低めに沈む変化球でセカンドゴロ、3番の石黒に対しても同じく低めに沈む変化球で空振り三振に抑え、両先発投手共に完璧なピッチングを披露した。
続く2回表、先制点を挙げ勢いに乗りたい戦極は4番関が先頭打者で打席に入り、大貫が2球目に投じたアウトローの直球を綺麗にセンター前へと運び、ノーアウトでランナーが出塁。得点圏にランナーを進めたい場面であったが、続く5番市野はセンターフライ、6番木下はファーストファールフライに倒れ2アウト。続く7番杉山の4球目の場面で関が盗塁を決め得点圏にランナーを置くもここでギアを上げた大貫。捕手の松本が構えたコースとは逆球になったが、魂のこもったストレートに杉山は見逃し三振と手が出ず、2回も戦極はAvengers大貫を攻略できない。
今季無双状態の戦極相手に序盤で主導権を握りたいAvengersは2回裏、先頭は学生時代にも神宮の舞台で躍動した4番の行方。どっしりとした構えから下野の投じた2球目を逆らわずレフト前へ運び、こちらもノーアウトでランナーが出塁。Avengersも戦極と同様に強行策に出るが5番小峯はセンターフライに倒れ1アウト、ここで1塁ランナーの行方がフライの判断を誤り2塁ベース付近まで進む。これを戦極センターの酒井が落ち着いて1塁へ投げ、まさかのダブルプレーで得点機を活かせずこの回も無得点に終わる。両者チャンスを作るも得点を奪えず迎えた3回表、Avengersは好投を続ける大貫からサイドスローの菅野へスイッチ。菅野は先発した大貫と同様にシーズン中に好投を続け、神宮でも安定した投球を披露した。戦極先頭の8番松本をレフトフライ、続く9番酒井を詰まらせてライトフライ、先頭に戻って杉浦は5球ファールで粘るも最後はショートゴロに抑え、三者凡退と見事なリリーフを見せた。 3回裏、Avengersは下野に対して攻略の糸口を見つけられず10球でこの回を終えると、遂に4回表に試合が動く。Avengersは早くも3人目の投手にスイッチし、決勝トーナメントからマウンドを経験する大型右腕の芝崎が登場。ここで攻め立てたい戦極は2番谷津からの好打順、谷津は3球目の甘く入ったストレートを弾き返すと打球は1.2塁間を破り、2回に続きノーアウトのランナーが出塁。続く2番渡部はショートゴロに倒れ1塁ランナーが入れ替わると、初球からスチールを試みる。俊足の渡部に対して慌てたキャッチャー石黒の送球が悪送球となり、ランナーの渡部はこの間に一気に3塁へと陥れ、1アウト3塁と絶好のチャンスを迎える。この場面で打席に立つのは、前の打席でヒットを放っている4番の関。3球目のアウトローのストレートを逆らわず転がすが、打球はサード正面へ。3塁ランナーの渡部は躊躇せずホームへ激走しクロスプレーとなるかと思いきや、渡部の姿が視界に入ったのかサードの酒井がまさかのファンブルでランナーが生還、戦極は4回表に待ちに待った先制点を手にした。
4回裏、反撃に出たいAvengersは1番荒井から始まる好打順であったが、ここでも三者凡退と自分たちの野球をさせてもらえない。そして先発投手としての役割をきっちり果たした下野は5回からマウンドを譲り、後を託されたのは今季から加入した期待のルーキー右腕大和田。中学時代にはU-15日本代表にも選出され、細身の身体から放たれる最速149キロのストレートを軸に七色の変化球を操る。その大和田は無論圧巻の投球を披露し5回、6回と打者6人に対して4奪三振と完璧なピッチングで付け入る隙を与えない。一方のAvengersも5回以降毎イニング投手が変わるも継投策が見事にはまり7回まで0点で抑え、5回は春先から好投を続ける菊島がエラーでランナーを出塁させるも低めを中心にコーナーに投げ分け相手を翻弄。6回は草野球では珍しいトミージョン手術から再起を果たした筒井が満を持してマウンドに上がり、1番からの好打順となった戦極打線を2奪三振で抑え神宮の舞台で完全復活を果たす。 最終回を任された6人目の投手小串はテンポの良いピッチングに加えて変化球も冴えわたり、三者連続三振で締め括りAvengersはこの試合6人の継投で被安打2、11奪三振、無四球と戦極投手陣を上回る投球内容となった。
そして迎えた最終イニングの7回裏、Avengersは投手陣が踏ん張る中で何とか同点に追いつきたい場面。ここでAvengersは代打攻勢に出るも先頭バッターの代打罍は見逃し三振、続く代打大倉は勝利を意識した大和田に対し際どい球を見極め、フォアボールで同点のランナーとして出塁。3番石黒はファーストフライで2アウトと徳俵に足がかかるも、2回に走塁ミスからチャンスを潰した3番行方が意地のセンター前ヒットを放ち、2アウト1・2塁とこの日初めて得点圏にランナーを置いた。タイムリーで一打同点、1塁ランナーの行方も還れば逆転サヨナラという場面、球場内の誰もが固唾を飲んで見守った戦いの結末は、大和田が投じた2球目の変化球を小峯が引っ掛けサードゴロ。最後は守備固めでホットコーナーに入った山本が落ち着いて捌き、ベースを踏みスリーアウト。緊迫した投手戦は1-0で戦極が勝利し、Victoriaリーグ3部 supported byファンゴユニフォームの頂点に輝いた。
MVPには先発で4回1安打無四球とゲームメイクを果たした下野が選ばれ、大会オフィシャルパートナーのローリングスジャパンより大人気グラブのHOH®グラブが贈られた。
ゲーム後、大会公式トレーナーの古里緑による優勝インタビューに答えた監督の笹尾は「投手戦だったので気が抜けない試合展開で起用が難しかった」と、強力打線は鳴りを潜めるが投手陣が好投した試合を振り返り「3年でプロスタに来る事を目標に発足したチームなので、今日はとても嬉しい」と目標達成についてコメントし、明日の2試合に向けて気を引き締めた。MVPに輝いた下野は「後ろにいいピッチャーがいるので、いつでも変われるように思いっきり投げた」と自身の投球を振り返り、投手戦となった試合展開については「最初に1点取られたらまずい状況だったので緊張感はあった」と激戦を戦い抜いた下野は最後に安堵の表情を浮かべた。
一方、敗れてしまったAvengersは惜しくも1点が遠く惜敗となったが、彼らの戦いぶりは見事で、中でも6人による継投策で1失点(自責点0)の投球内容は過去のVictoriaファイナルを振り返ってみても一番の継投策だったと言えるだろう。2022年もこの継投策を武器に決勝の舞台へ返り咲き、来季こそはプロスタの地で歓喜の輪を咲かせたい。
【MVPインタビュー】#17 下野 湧雅
【監督インタビュー】#30 笹尾 翼
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