TOP > Victoriaリーグ1部(2022年) > バックナンバー > 「Tropicanaが大会史上初の最高峰リーグ連覇達成!!」
赤坂の決勝打に佐瀬・田山の投手リレー!今季もTropicanaが最強王者に君臨!!
ファイナル初日に続きこの日も1試合目から激闘の好ゲームと、選手たちの熱気は冷め止まない聖地・明治神宮野球場。そして2日目の第2試合を飾ったのは、「Tropicana × PIECE」の1部リーグ決勝戦である。
戦いの先攻Tropicanaは2021年シーズン並みいる強豪を下し、苦節8年の時を経て1部リーグのタイトルを獲得した。そんなチームはバッテリーを中心とした守備から攻撃に繋げる野球を特徴とし、上位、下位共に好打者が控えており、相手投手は一瞬たりとも気を抜くことが出来ない打者を並べる。投手では予選全試合に登板した右腕の田山が軸となり、決勝トーナメントでは全試合に佐瀬が先発して田山がリリーフする盤石の投手リレーを形成し、僅か1失点と投手陣も抜群の安定感を誇る。Victoria史上初の1部リーグ連覇を達成するために最高の状態で決戦の地へと乗り込む。
対する後攻のPIECEは、前日のスプリングカップ2022にて茂木の劇的サヨナラスリーランホームランで勝利を飾り、前人未到の3連覇の快挙を達成した。今最も勢いに乗るPIECEは2017年から7度目のファイナル進出となり、攻撃面では俊足好打の桑原(南)、Victoria男の茂木、チャンスに強い本木などが今季よく得点を挙げてきた。投手陣はエースの関根が我慢強いピッチングを続けると、バックではユーティリティプレイヤーの白石(太)と上島が大事なところで存在感を放つ。Victoriaファイナルでは唯一の連戦で頂上決戦を迎えるが、2日連続のタイトル獲得を目指し2022年を有終の美で締め括りたいところだ。 そんな両チームが神宮の舞台で激突する決勝の火蓋は、11時10分嶋村主審のプレーボールによって切って落とされ、第1試合に続いてこの試合も序盤から得点圏にランナーを置くも、互いにチャンスを活かせず静かな立ち上がりとなった。
1回表まず守備につくPIECEの先発はエースの関根、前日は5回途中からリリーフした影響からか若干疲労も残る中、先頭の鷲谷に対していきなりフォアボールを与え、ノーアウトのランナーが出塁する。しかし2番の三ツ俣は1-1から送りバントを試みるもピッチャー小フライとなり1アウト。続く3番戸塚の場面でファーストランナーの鷲谷が盗塁を決め、1アウトランナー2塁と初回から得点圏にランナーを置く。しかしマウンドの関根はいきなり迎えたピンチに動じることなく、カウント3-2からアウトコースに渾身の直球を投げ込み戸塚は見逃し三振で2アウト。ここで迎えたのは、昨季の1部リーグ決勝戦でホームランを放った4番の塩谷。Tropicanaベンチも主砲の一発に期待するが、塩谷は力のないサードフライに倒れ3アウトチェンジ、関根は初回から迎えたピンチにも動揺することなく無失点で切り抜けた。
1回裏、Tropicanaの先発は右腕の佐瀬がマウンドに上がった。佐瀬はサイドスローから繰り出す威力あるストレートと変化球のコンビネーションで打者を手玉に取るピッチングが持ち味で、PIECEも初回から得点機を作ろうと積極的に打ちに行くも先頭の桑原(南)はファーストゴロで1アウト、続く青野は佐瀬の低めに沈む変化球に手を出し空振り三振で2アウト。そして迎えるのは前日のヒーロー3番の茂木、Tropicanaバッテリーも警戒してか慎重にボールから入るも茂木は4球目の変化球を見事にライト前へ運び2アウトでランナーが出塁する。続く4番上島の打席で茂木は初球から仕掛け、判定は間一髪でセーフ。初回から得点圏にランナーを置いたPIECEは上島に期待を寄せるも、3球目を打たされセカンドゴロで3アウトチェンジ、佐瀬も立ち上がりから得点圏にランナーを置くが、堂々のマウンド捌きで無失点に切り抜ける。 初回は両チームの先発が踏ん張り、続くイニングもTropicanaは三者凡退、PIECEは2アウトから7番の杉沼がライトオーバーのスリーベースヒットを放つも後続が倒れこの回も無得点に終わり、試合が動いたのは3回表だった。Tropicanaは先頭の8番小室がショートのエラーで出塁すると、続く9番の石田が送りバントで手堅くランナーを進める。そしてこの場面で迎えたのは今季もTropicana打線を牽引する1番鷲谷、PIECE関根は簡単にツーストライクに追い込むも勝負に行った変化球が真ん中へ甘く入り、鷲谷は体勢を崩されながら見事な流し打ちでレフト前へ運ぶ。この打球にセカンドランナーの小室は躊躇なくホームを陥れ、Tropicanaはゲームの均衡を破った。
すぐさま追い付きたいPIECEであったが、3回裏も得点圏にランナーを進めるもあと1本が出ず迎えた4回裏、ここまで再三チャンスを作ってきたPIECEがようやくスコアボードに得点を刻む。主砲上島からの好打順で何とか同点に追いつきたい中、上島は2球目を捉え左中間へ抜ける痛烈なライナーを放つ。鋭い打球はフェンス手前まで到達し、先頭がツーベースヒットでチャンスを演出する。続く5番本木の打席で佐瀬が2塁へ牽制を放るも悪送球でランナーを3塁まで進め、佐瀬は自らのミスでノーアウトランナー3塁と同点のピンチを招いてしまう。するとカウント1ボール2ストライクから投じた変化球が低めに逸れ、ワンバウンドしたボールをキャッチャー神谷も懸命に止めにいくが、ボールは無情にもバックネットまで転がり、PIECEは相手のミスから1-1の同点に追いついた。 ここで流れを引き寄せたPIECEは5回表もランナーを出しながらも関根が粘りのピッチングで0点に抑えると、5回裏にも再びチャンスが訪れる。Tropicanaは前のイニングからリリーフで田山が登板し、1アウトから桑原(南)がしぶとくライト前へ運ぶと、続く青野の打席で桑原(南)がスチールを成功させ、PIECEは初回から5イニング連続で得点圏にランナーを置く。この場面で青野は高身長の田山が投げ下ろす角度あるストレートに空振り三振に倒れるが、ここで迎えたのはVictoria男の異名を持つ茂木。キャッチャーの神谷は慎重に組み立て2ボール1ストライクから迎えた4球目、学生時代からバッテリーを組む神谷のミットはインコースを構えるもボールは真ん中低めへやや甘く入り、茂木はこれをすくい上げ打球は高々とセンターへ。ぐんぐんと伸びるボールは一瞬、前日のサヨナラホームランが脳裏をよぎるも最後は安定した守備を誇るセンター鷲谷がフェンス手前でしっかりキャッチし3アウトチェンジ。Tropicanaは毎回迎えるピンチにも堅城を誇る投手陣が踏ん張り、このイニングは無得点に抑えた。
Victoria最高峰リーグ王者の称号を懸けた戦いは5回を終えて1-1の同点で終盤に差し掛かり、6回表はTropicanaがツーアウト満塁のビッグチャンスを迎えるも三者残塁で無得点、一方のPIECEは初めて3人で攻撃が終わり試合は遂に最終回へ。
7回表Tropicanaの攻撃は1番鷲谷からの好打順、このイニングも続投するPIECE関根は疲れが見え始めたのか鷲谷を四球で出塁させると、2番の三ツ俣は詰まりながらも技術でライト前に運び、ノーアウトでランナー1,2塁とまたしてもチャンスを迎える。ここで3番の戸塚は内野ゴロ進塁打で1アウトランナー2,3塁と更にチャンスは広がり、続く塩谷は三振に倒れるもここで打席に向かうのは5番の赤坂。PIECEとしてはこのピンチを切り抜け同点のまま裏の攻撃を迎えたいところであったが、赤坂も狙い球を絞り際どい球を慎重に見極める。そしてカウント2-2からの5球目、関根はウイニングショットを低めに落とした。見逃せばボールとなった球を赤坂は巧みなバットコンコロールで上手く拾うと、打球は1,2塁間を破り3塁ランナー生還で2-1、更には2塁ランナーの三ツ俣も一気にホームを陥れ、Tropicanaは3-1と勝ち越しに成功した。
迎えたPIECE最終回の攻撃、1アウトから8番の桑原(以)がサードゴロに打ち取られるも中途半端な送球にファーストが掴むことが出来ず貴重なランナーが塁に出る。続く代打の斎藤は粘りを見せるも3-2から田山の低めへ沈む変化球にバットが空を切り空振り三振に倒れ2アウト、PIECEは土俵際に追い込まれる。しかし、ここまでチームの核弾頭として何度も神宮の舞台を経験する桑原(南)が1ストライクから田山の変化球を拾い、打球は先ほどタイムリーを放った赤坂が守るライトへ。赤坂は人工芝に少し足を取られたか若干足を滑らせ打球は赤坂の頭上を越え、ボールは転々とする間に1塁ランナーの桑原(以)は一気にホームへ生還し、PIECEが土壇場で1点を返す。打った桑原(南)は3塁まで陥れ、ここで迎えるはPIECEのスピードスター青野。昨日の逆転劇が頭によぎる中、青野は初球から積極的に打ちに行き、ここまで数々の修羅場を切り抜けてきた田山もより一層投球に力が入る。そして迎えた2球目、アウトコースの直球を青野はレフトに上手く流すが無情にも打球はライトを守る南澤の正面へ。これを南澤は慎重に掴み3アウト、共に最高峰リーグの頂を目指した頂上決戦の結末は3-2とTropicanaに軍配が上がり、大会史上初の1部リーグ連覇を成し遂げだ。 試合終了後、選手に囲まれながら優勝インタビューを受けた代表の松下は「ホンマにしんど過ぎましたこの試合は!」と優勝にたどり着くまでの苦労を滲ませ、試合全体を振り返るとチャンスを作るも点が入らない苦しい展開となったが「今日はミスが目立ち、攻撃でもチグハグなところがあったが、先発の佐瀬、リリーフした田山、この2人なら確実に大丈夫だと思っていたので信じました」と最後まで2人に絶対の信頼を置いていた。そしてMVPには決勝打を放った赤坂が選ばれ、大会オフィシャルパートナーのローリングスジャパンより大人気グラブのHOH®グラブが贈られた。
一方、2日連続のタイトル獲得を惜しくも逃したPIECEの戦いを振り返ると、6回の三者凡退以外は全てのイニングで得点圏にランナーを進め、チャンスであと一本が出なかったことが悔やまれる。それでもこの大舞台で激闘を演じた経験は彼らにとって大きな財産となり、新タイトル獲得へ向けた価値ある第一歩となったに違いない。
【MVPインタビュー】#23 赤坂 優斗
【代表インタビュー】#30 松下 英哲
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