TOP > マガジン > 「FOCUS Vol.2」
開幕から早半年。2013年シーズンのVictoriaもいよいよ"勝負の季節"秋へと突入する。
一足先に決勝進出チームの決まったスプリングカップを除き、各リーグ、サマーカップはここからが一致団結の時。
モチベーション、闘争心、結束力が各チームにとってその先に見据えるドーム決戦、はたまた優勝という二文字へと直結することは言うまでもない。
そんな激戦必死の終盤戦を前に第2回のFOCUSは「信頼」というそれぞれのチームが持つ“揺るぎない力”にスポットを当てる。
一言で「信頼」と言うがその力の存在は大きく、強さ、誇り、自信、躍進、進化へと繋がり、或いは最後まで諦めない気持ちや信じる気持ち、仲間と築く一体感を生み出す。
勝利=信頼と言っても過言ではない必要不可欠なアイテム“信頼する力”。果たして目には見えないその力の重要性とは。
スプリングカップ2013ファイナリスト!!指揮官が持つ選手への信頼力!!
昨年に続きスプリングカップ連覇へ王手をかけたARUYO東海の茂手木監督は以前、
「ウチの選手達は日本一だと思っている」と語ってくれた事がある。
それは決して自分達の力を過信しての発言ではなく、選手達への絶対的な信頼感を表現した言葉だったと感じる。
それゆえ選手達は監督の期待に応えようとここぞの場面で勝負強さを発揮し、結果を残し続けてきた。もちろん個々の能力の高さもあるかもしれない。 しかし、彼らの強豪たる最大の所以は監督と選手の間に築かれた信頼関係の深さにあり、それこそがARUYO東海の強さの真髄なのではないだろうか。


また、初出場ながら決勝の切符を手にしたスタイガー小西キャプテンはこう語る。
「選手達に全て任せてますので、私が“ああしろ”、“こうしろ”と言う事はありません。決勝進出は全員が期待に応え頑張ってくれた結果だと思っています」
無論、策戦面などの細かい指示はあるだろう。だが今大会、吉岡クラブにVICTORYS、更にはTABOOといった強豪を薙ぎ倒しての躍進劇の裏には選手達を絶対の“信頼”で見守り信じ抜くキャプテンの揺るぎない信念があったということ。
だからこそ選手達は野球を楽しむと同時に持てる力の全てを発揮出来たのだ。
堅い信頼!!同級生との阿吽の呼吸!!
それは8月11日、ひばりが丘ロータース対ブルーサンダースのサマーカップ一回戦のことだ。
各地で最高気温を更新するなど全国的に記録的猛暑日となったこの日、ひばりが丘ロータース笠倉監督が先発マウンドに送ったのは同級生の47歳左腕、斉藤(卓)。

ゲーム前、我々スタッフとの会話で、
「斉藤とは小学校からずっと一緒で、このチームでも結成当初からのチームメイトなんです。
今じゃその時の仲間は僕と斉藤ともう一人しかいなくて若手中心になっちゃいましたが、今日は47歳のオジさんに期待します。結構いいピッチングするんですよ」と語ってくれた笠倉監督。

その言葉、表情はどことなく嬉しそうで、監督と選手である前に古き良き友人であるという“信頼”の証を見た気がした。
すると斉藤は、そんな親友の期待に応えようと躍動。灼熱の太陽が突き刺さるマウンドを一人で守り抜き、最後は劇的なサヨナラ打まで放つ大活躍を見せた。

ベンチから“信頼”の眼差しを向ける友と、それに応えようとマウンドに立ち続ける友。
そんな二人は決して多くを語り合うわけではない。だがその姿を見て思った。
“信頼”とは言葉ではなく固い絆の中に存在するものなのだと。
絶大な信頼!!一球入魂で立ち向かうエース達!!
4月14日、この試合がVictoriaデビュー戦となったGOLGO仙波は、初戦のマウンドをエース根岸に託した。その根岸は序盤からエンジン全開。
力強いストレートに切れ味鋭いスライダーで相手打線を翻弄し、6回までノーヒットピッチング。期待に応える活躍で勝利の立役者となった。
GOLGO仙波はこの勝利を皮切りに破竹の7連勝を飾り、2部リーグの優勝候補筆頭に名乗りを挙げることとなった。 チームにとって大事な初陣。“信頼”という名のプレッシャーを背負うも、その“信頼”を自らのエネルギーに変えた根岸は、「今日の内容には満足している」と久田代表 を唸らせる圧巻のピッチングを披露し、その後の良い流れを生み出した。


7月28日、この日サマーカップの1回戦に臨んだSnugsのエース有川(竜)は、昨年のドーム決戦で味わった悔しい経験から進化を遂げていた。
強豪として名を馳せるグリーンセレモニーアスレチックス強力打線を相手に3回までほぼパーフェクトピッチング。4回に迎えた最大のピンチも魂を込めた力投で凌ぎ、雄叫びを上げた。
ゲーム後、「前のゲームで後輩が良いピッチングをしたので、エースとして自分も負けていられないという気持ちで投げました」と自身のピッチングを振り返った有川。
完封こそ逃すも105球の熱投はチームからの更なる“信頼”を得ると共に、もう一段階上のレベルへと覚醒した。


9月1日、大宮健保のマウンドでその実力を遺憾なく発揮したのが林工業の大関だった。
既に予選リーグ敗退が決定している中での最終戦、エースの谷口に代わって先発に指名された大関は自慢のストレートを武器に東中野タイガース打線を2安打完封でシャットアウト。
新佐古監督に「リズム、コントロール、全てにおいて満点です」と言わしめたピッチングで勝利に大きく貢献した。
このゲームを来季へ向けた新たな出発点として位置づけた林工業にとって、大関の活躍は大きな収穫となったであろう。
そして大関自身は新エースとしての“信頼”を勝ち得たに違いない。
“信頼”とは作るものではなく、長い時を共にし自然と生まれ築かれていくもの。 喜びを味わった時や楽しい時間を過ごした時。又は悔し涙を流した時や不甲斐なさを感じた時など、さまざまな瞬間を共に経験する事でそれは生まれる。
そんな一瞬一瞬を監督と選手間だけではなく、家族や友人、更には他チームや審判と共有することで芽生えた“信頼”の芽は決して枯れる事は無く、チームにとっての“揺るぎない力”として大輪の花を咲かせる。
そしてその花はより一層素晴らしい野球人生の礎となるであろう。