TOP > オータムカップ2022 > バックナンバー > 「我孫子フラワーズが昨季の雪辱果たし初タイトル獲得!!」
打線の大量援護に左右のWエースが躍動!我孫子フラワーズ千葉対決を制す!!
冬枯れの季節を迎え寒さが応えるも、この日は日差しもあって暖かく野球日和となった12月11日13時30分。決戦の地・明治神宮野球場を舞台に行われるのは、Victoriaオータムカップ2022「我孫子フラワーズ × BIGFACE」の決勝戦である。
戦いの先攻は我孫子フラワーズ、一昨年は3部リーグで3位、昨季は2部リーグ準優勝と毎年実績を重ね今季は初のタイトル獲得に向けて燃える中、チームは代表の北澤(京)を中心に少年野球や高校時代を一緒に戦ってきたメンバーで結成し、選手は20歳~25歳と若いプレイヤーが多く在籍する。そしてこの日、迷彩柄のユニフォームを身に纏う後攻のBIGFACEは、我孫子フラワーズと同様、近年着実に実績を残し今季は初タイトル獲得が至上命題である。そんなチームは2015年6月に宮城、太田、櫻井を軸に結成し、投手陣を中心とした守備力と攻撃では少ないチャンスをモノにする高い集中力、更にはチーム全員で行うベンチワークがこのチームの特色である。両チーム共に千葉県の東葛地区所属と普段から交流のあるチームの一戦は、稲垣(慶)主審のプレイボールでゲームがスタートし、初回は静かな立ち上がりとなった。 1回表、BIGFACE先発マウンドに立つのは決勝進出の立役者となったダブルエースの一角である筒井。体格は小柄ながらマウンド度胸は満点で、ここまで数々の強力打線を抑えてきた今大会の注目選手だ。その筒井は我孫子フラワーズ不動のリードオフマン北澤(京)を三振で仕留め1アウト、2番の大塚はショートフライで簡単に2アウトを取るも、続く3番の北澤(玲)はセンター前に綺麗に運び、4番の堀田は四球を選びランナー1,2塁と我孫子フラワーズは初回からチャンスを作った。しかし、昨季Victoriaベスト9を獲得した5番花嶋はここで粘りを見せるが、高々とセンターへ上がったフライは同じく昨季ベスト9板垣の守備範囲となり、得点機を活かせず3アウト。初回から打者5人に回ったが、筒井は冷静な投球でこのピンチを切り抜ける。
1回裏、我孫子フラワーズのマウンドに上がるのはこちらもダブルエース一角の伊藤。昨年は神宮の舞台を経験し、精神的にもややリラックスした表情でマウンドに上がる中、BIGFACE1番の高木はショートゴロに抑え1アウト。2番板垣は1ボール2ストライクで追い込まれた後、6球目をセカンドゴロで2アウト。続く3番林の打席、ここで我孫子フラワーズに好プレーが飛び出し、林の打ち上げた打球は1塁ファールゾーンへ。ここで我孫子フラワーズのファースト花嶋が1塁側カメラマン席前で見事なスライディングキャッチを魅せ、好プレーでチームへ流れを呼び込む。 すると、このビッグプレー直後の2回表に試合が一気に動き出す。我孫子フラワーズは1アウトから7番森川がレフトへクリーンヒットを放ち、ここで早くも8番星野に代わり牧島が代打で右打席に入る。牧島は2ストライクに追い込まれるもしぶとくライト前へ運び、1アウトランナー1,2塁とチャンス拡大。得点圏にランナーを置き9番藤原はレフトフライに倒れ2アウトとなるが、上位打線に戻り北澤(京)へ打順が回る。打席の北澤(京)はファーストストライクから積極的にフルスイング、マウンドの筒井もここで先制点は渡さないと丁寧な投球を見せるも、北澤(京)は1-1からの変化球をライト前に運び、セカンドランナーが還って先制点を獲得。北澤(京)がプレイングマネージャーとして見事な働きぶりを見せチームに勢いを与える。更に2アウトランナー1,3塁から大塚はショート深めにゴロを放ち、快速を飛ばし1塁セーフ。その間に3塁ランナーがホームへ生還し2点目を追加、筒井は後続を何とか抑えるもフラワーズ上位打線がしっかりと仕事を果たし、試合序盤に2点を先制した。
2回裏、BIGFACEは4番亀田からの好打順も伊藤は亀田を空振り三振、続く5番梶山、6番宮城と簡単にアウトを取り、簡単に流れを渡さない。すると我孫子フラワーズ打線は更に勢いを加速させ3回表、先頭打者の5番花嶋が2球目を左中間に運び、ツーベースヒットで2回に続き得点圏にランナーを置く。追加点が欲しいこの場面で、6番の小澤(暉)は初球をセフティー気味に3塁線へ絶妙なバントを決める。これをピッチャーの筒井は処理を慌てサードへ投げるも悪送球、このプレーで2塁ランナーの花嶋が悠々と生還し3-0と更にリードを広げた。BIGFACEはまたしてもノーアウトランナー2塁とピンチが続き、前の打席でヒットを放った森川が打席に立つ。前の打者小澤(暉)に続き、我孫子フラワーズはバントを選択するも打球はピッチャー前の小飛球。これを筒井が先ほどのプレーを取り返そうと、スライディングキャッチでアウトに取り好プレーを披露した。自らの好プレーでリズムに乗った筒井は続く牧島をファーストゴロに抑え2アウト、しかし9番の藤原に投じた5球目が高めに甘く入りライト前へ運ばれ4-0、我孫子フラワーズは好投手筒井を序盤から攻略し試合を優位に進める。 BIGFACEも昨年の忘れ物を取りに来たが故このままでは終われない3回裏、ようやくチャンスが到来する。先頭の7番三井は空振り三振に倒れるも8番の田中が低めのストレートを弾き返し、レフト前ヒットでチーム初ヒットが生まれた。続く9番太田はファールで粘りを見せたが、最後は空振り三振で2アウト。しかし、先頭に還って高木が伊藤の抜けた変化球をしぶとくセンター前へ運び、2アウトながらランナー1,2塁と初めての得点機に迎えるはBIGFACEの安打製造機板垣。チーム結成時から常に打線の陣頭に立ってきた板垣に向け、ベンチは必死に声援を送り板垣も期待に応えようと必死に食らいつくが、最後は伊藤がアウトコースへ渾身のストレートを投げ込み、板垣のバットは空を切り空振り三振。我孫子フラワーズ伊藤は2人のランナーを出すもアウト全て三振で切り抜け、ここでも流れを渡さない。
4回表、BIGFACEはここでリリーフエースの河本を送るが、我孫子フラワーズは攻撃の手を緩めることなく、1アウトから北澤(玲)のこの日2本目のヒットと盗塁で得点圏にランナーを置き、続く堀田が左中間を破るタイムリースリーベースヒットを放ち、5-0と突き放す。更に花嶋はセンターへきっちり犠牲フライを決め、6-0と試合は終始我孫子フラワーズのペースで中盤もゲームが進行した。
その後は両チームスコアボードに0が並び迎えた6回表、我孫子フラワーズにビッグイニングが訪れた。BIGFACEのマウンドには前のイニングから高木が上がり5回は三者凡退で切り抜けるも、このイニングは先頭北澤(京)のフォアボールを皮切りにバスター、セフティーと小技を絡めて相手のミスを誘いながら、我孫子フラワーズが着実に追加点を挙げる。更にセーフティスクイズによる追加点や、集中の糸が切れたBIGFACEにも再びミスが生まれ、この回我孫子フラワーズは一挙5得点を挙げて11-0と、完璧な試合運びで試合は遂に最終回を迎えることとなった。
7回表、この回もBIGFACEのマウンドには高木が上がり我孫子フラワーズの北澤(京)にヒットを許すも、後続を抑えてラストの攻撃へ望みを繋げる。一方のBIGFACEは一矢報いたい7回裏、ようやくスコアボードに得点を刻んだ。我孫子フラワーズは、6回よりダブルエース一角の北澤(玲)が伊藤の後を引き継ぎ完封リレーで勝利を飾りたい中、先頭の三井がフォアボールで出塁し、続く田中のレフト前ヒットでノーアウトランナー1,2塁と意地を見せつける。ここでBIGFACE最大の特徴である『少ないチャンスをモノにする高い集中力』がついに目覚め、後続の進塁打とフォアボールで1アウト満塁の場面を迎える。この絶好機に打席には板垣が立ち、冷静にボール球を見極め、カウント3-1から北澤(玲)の球がインコースへ抜け、膝元にボールが当たり3塁ランナーが還って1-11と、ようやく最後の攻撃で得点を奪う。続く林のショートゴロの間にもう1点追加し、1アウト2,3塁。流れがBIGFACEへ向き始めるもここでマウンドの北澤(玲)は冷静なマウンド捌きで、続く亀田をショートゴロ打ち取り、最後はショートの小澤(暉)が落ち着いてファーストへ送球し、3アウトで試合終了。我孫子フラワーズは強豪BIGFACE相手に予想もしない一方的な展開で、悲願の初タイトル獲得となった。 『昨年の忘れ物を取りに行く』という目標を見事に達成した我孫子フラワーズ。代表の北澤(京)は試合後「チーム一丸となって優勝出来たので良かった。来シーズンは、就職組がいて抜けてしまうメンバーもいるが、居るメンバーで今年同様に頑張って行きたい」と来シーズンに向けての抱負を語った。そしてMVPにはこの日もローリングスのグラブと共にマウンドに上がった先発の伊藤が輝き、ローリングスジャパンより大人気グラブのHOH®グラブが贈られた。一方の敗れたBIGFACEは、最後にチームの特徴である高い集中力が発揮されたが、大量失点が響き初のタイトル獲得は翌年に持ち越しとなった。しかし、近年の活躍は目覚ましだけに2023年もこの舞台にカムバックし、チーム・観客を巻き込む大歓声を球場に響かせて欲しい。
【MVPインタビュー】#18 伊藤 祝
【監督インタビュー】#4 北澤 京樹
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