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注目の若武者対決は戦極に軍配!大和田が初回の援護を守り抜き完投勝利!! |
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曇り空から少しずつ青空が見えてきた1月10日13時40分。明治神宮野球場で行われたVictoriaファイナル2021、2日目の第3試合はオータムカップ2021 supported by Flexcushion® 決勝戦「戦極-SENGOKU- × 下町Tempest」である。
戦いの先攻は既にファイナル2試合で勝利を収め、史上初のVictoria三冠を狙う戦極。2試合を終えて顔の強張りも消えた彼らの今大会の戦いぶりを振り返ると、序盤から苦しい戦いが続いたが、大所帯をまとめる監督の笹尾にとって3大会でプロスタ進出の切符を掴んだ事は、監督冥利に尽きる結果となっただろう。注目選手の渡部は試合を前に『何としてでも優勝を勝ち取り、監督を胴上げしてあげたいです』と笹尾に向けてファイナル3度目の胴上げを誓った。
一方の後攻めとなる下町Tempest、チームは以前LGとしてVictoria2部リーグを中心に活動し、武藤が代表になる事を機にチーム名を変更して今季リスタートを切った。リーグ戦は予選4位で敗退するもオータムカップでは徐々に頭角を現し、打線では松本、滝澤、伊藤を中心にここまで5試合で32得点と、強打が売りの戦極を上回る実績を残している。戦いを前に打線でも中軸を担う代表の武藤は『守備、打撃ともに性格の悪さが垣間見えると思いますので是非そちらも注目してください!優勝して胴上げしてほしいです...。 』と悲願のプロスタでの胴上げを切に願った。
そしてこのカードはトーナメント大会史上初の「3部リーグ vs 2部リーグ」となった。上部リーグ所属チームからも熱い視線が送られる試合は、仲田主審のプレイボールで切って落とされ、ゲームはロースコアで進行した。
1回表、守備につく下町Tempestの先発は3枚看板の一角である橋本。投手陣は3回戦以降の3試合を僅か1失点と完璧な投球を続けており、この試合も最少失点に切り抜け試合の主導権を握るかと思いきや、あと1勝で絶対王者の称号を掴む戦極打線が初回から襲い掛かる。戦極はファイナル3試合全てでリードオフマンを務める杉浦が右バッターボックスに立ち、ファイナル独特の緊張感からか橋本は思うように腕が振れず、いきなりフォアボールを与えてしまう。続くサマーカップMVPを受賞した2番谷津の打席では3球目の置きに行ったボールをジャストミート、飛距離は十分であったが打球はライトポールの僅か右に逸れ橋本はマウンド上で胸をなでおろす。ここで橋本は目が覚めたのか4球目の直球はワイルドピッチとなるも一気に球威が増し、続く5球目の沈む変化球に谷津は手を出し、ここは空振り三振に仕留める。本来の投球を取り戻した橋本はここで安堵したのか、1アウト2塁で続く3番渡部への初球が高めに甘く入る。ファイナル2試合で5打数2安打2打点と打撃好調の渡部はこれを見逃さずフルスイング、打球はぐんぐんと伸び、レフト頭上を越えるタイムリーツーベースヒット。戦極が前試合のサマーカップと同様、開始僅か4分で早くも1点を先制した。
続く4番の関は4球目を打ち上げるも、ピッチャーとセカンド間に高く上がった打球が相手エラーを誘い出塁。1アウト1,2塁として5番カルロスの場面では初球からダブルスチールを仕掛け更にチャンスを広げる。1アウト2,3塁と内野ゴロでも1点が入るこの場面、前の試合でノーヒットだったカルロスはゴロ意識を徹底し、サードへゴロを転がす。ホットコーナーを守る下町Tempest市川は落ち着いてファーストへ送球するもその間に3塁ランナーの渡部はホームへ突入、頭から滑り込んだ渡部は間一髪のタイミングでホームイン。戦極は2-0と着実に追加点を奪うと、再び相手守備陣の乱れより2アウトながらランナーを3塁に置く。続く6番木下の2球目、打球はショート正面へ転がるもショートの伊藤がボールを握り直す間に木下の足が勝り内野安打、3塁ランナーの関が生還して3-0。大舞台の張り詰めた空気にどのチームも苦戦を強いられる中、戦極はファイナル3試合全てで先制点を挙げ、好調ぶりを見せつけた。
1回裏、戦極はファイナル最終試合に満を持して18番を背負う大和田が先発のマウンドに上がる。三冠に大手を掛けたこの試合、戦極ベンチは自慢の投手を送り込むも、下町Tempestは試合の主導権を渡すまいと追撃を見せる。1回裏、下町Tempestのトップバッターは走攻守三拍子の揃った注目選手として名前の挙がる市川。『決勝では今流行りの投打二刀流で活躍します!』と宣言した市川は、先ずは挨拶代わりに打撃で見せ場を作る。カウント1-2からの5球目、外寄りの球を逆らわず右方向へ運ぶと打球は右中間真っ二つ、戦極の関と酒井は打球を懸命に追い掛けるもボールは右中間最深部まで転がり、バッターランナー市川は悠々と3塁へ到達する。リードオフマンの一打にベンチからは大きな歓声が上がり、続くバッターは2番の望月。戦極ベンチは初回に3点を奪った事から内野陣を定位置に配置すると、大和田が投じた4球目を望月はファースト正面に転がし、3塁ランナーの市川はこの間にホームイン。下町Tempestは打者2人で得点を奪う理想的な形で点差を2点に縮めた。
下町Tempestはリーグを代表する好投手大和田を初回から攻め立て乱打戦も予想されたが、2回、3回と両チーム続けて三者凡退に倒れ、スコアボードに0が並ぶ。下町Tempest橋本は2回以降制球が冴えわたり、得意の打たせて取るピッチングで2イニングを4つの内野ゴロに打ち取れば、負けじと戦極の大和田は2イニングを4奪三振とこちらは力でねじ伏せた。
試合はテンポよく進んで中盤に入り、ここで神宮球場に大きなアーチが架かる。4回表、戦極の攻撃は先頭のカルロスが痛烈なレフト前ヒットを放ちノーアウトでランナーが出るも後続が続かず無得点、そして4回裏の下町Tempestは先頭の望月が倒れ、1アウトから代表の3番武藤が打席に立つ。武藤は相手好投手を初回からベンチで冷静に分析し、この日大和田が投じた38球目をジャストミート。初球から狙いに行った武藤の打球は高い弾道で綺麗な放物線を描き、座席がブルー一色に染まるレフトスタンドへ放り込むソロホームラン。スタンドに駆け付けた約100人に及ぶ応援団からは大歓声、そして何より平日夜間に同じ活動拠点で切磋琢磨するTokyo Volk、スタイガー、バッカスBCへ向けた「お世話になっている方々の分まで神宮で暴れたい」と試合前に武藤が語った言葉を体現した感謝の一発となり、代表自らのホームランで2-3と1点差に詰め寄る。
見応えある試合は5回以降も両投手陣が躍動し、特に下町Tempest橋本は立ち上がりが嘘のような投球を披露し続ける。5回表は9番酒井をセカンドゴロ、櫻井はファーストフライ、2アウトとなり谷津はショートフライと簡単に3人で打ち取る。続く6回表は渡部と関をレフトフライ、ここでカルロスに代わって打席に入ったプレイングマネージャー笹尾はセカンドフライに倒れ、戦極はこの回も追加点を奪うことが出来ず、重々しい雰囲気が漂う。
2回以降下町Tempest橋本はヒット1本無四球と完璧な投球を披露する一方で、下町Tempestを語る上で忘れてはならないのが、ベンチメンバーの存在だ。ほぼ全員が都立高校出身者である上に約8割が高校時代ベンチメンバーと、球歴は関係なくチームワークでここまで勝ち進んできた。その陰でナインを支えるベンチメンバーの面々からは神宮の杜に響き渡る声援が常に聞こえ、橋本を精神面で支えた事が好投に繋がった要因と言えるだろう。
対する戦極のマウンドには5回以降も大和田がマウンドを守る中、エースを鼓舞するスーパープレーが飛び出す。5回裏、先頭の滝澤はファールで粘るも5球目を高く打ち上げ、ボールは1塁側のカメラマン席付近へ。これを大和田の女房役を務める渡部が瞬時に打球の行方を追い、フェンス際のボールを恐れることなくスライディングキャッチでボールを掴む。このプレーに対し戦極ベンチ以上に大きな声で「ナイスキャッチ!」と目の前で飛び出たビッグプレーに相手ベンチからも声援が送られ、下町Tempestはスポーツマンシップ溢れる一面も披露した。このプレーで笑顔を取り戻した大和田は、続く7番鈴木はキャッチャーゴロ、8番松澤はピッチャーフライに打ち取り5回裏を三者凡退で切り抜ける。6回裏はツーアウトから望月にライトオーバーのスリーベースヒットを打たれ、ツーアウトランナー3塁と一打同点の場面で武藤を迎えるも、ここで大和田は前の打席でのリベンジを果たし最後はインコースへの変化球を詰まらせてセカンドフライ、大和田はこの回も無失点で切り抜けた。
5回以降再びスコアボードに0が並び、3-2と戦極リードで迎えた最終回両者の攻撃、下町Tempestはここで先発橋本に代わり3枚看板の一角、市川が神宮のマウンドに上がる。直球で押し切る市川は、先頭の途中出場藤田をライナー性のレフトフライ、続く代打の富樫は力でねじ伏せ空振り三振、2アウトから代打佐久間にレフトフェンス直撃のツーベースを打たれるも、同じく代打の福岡をここはセンターフライに打ち取り無失点に抑えた。
そして試合は7回裏、戦極のマウンドにはこのイニングも大和田が上がる。ここまで6イニングを投げ64球、そろそろ疲れが見え始める頃であったが大和田は最終回も躍動した。下町Tempestの先頭は6回からファーストの守備に入る上村、力強いスイングで積極的に振っていくも最後はアウトローの直球を見逃し三振。ここで下町Tempestは代打の石井を送り、何とか出塁しようと2球続けてファールで粘るも、6球目のストレートに手が出ず見逃し三振で2アウト。勝利を確信したのか戦極はベンチ前に続々と選手が姿を現すも、何としても最後の打者にはなりたくない滝澤は意地を見せてセカンド内野安打と最終バッターは免れた。この場面で戦極ベンチはもう一度冷静になり、監督の笹尾が一息入れようと内野陣をマウンドに集める。そして迎えるはこの日ノーヒットの鈴木、フルカウントまで粘るも最後は大和田の変化球に空振り三振でゲームセット。戦極はVictoria11年の長きに渡る歴史上、初の三冠を手中に収め神宮のマウンド上で歓喜の輪を咲かせた。MVPには7回を4安打10奪三振2失点と完投勝利を収めた大和田が選出された。
ゲーム後、ファイナル3度目となる優勝インタビューに答えた監督の笹尾はゲームを振り返り「下町さんとは一度戦っていて非常に力のあるチームで怖い打線だと思っていたので、よく勝ってもらえたなとメンバーを褒めたいと思います」と語り、最後に来季の意気込みについては「来シーズンは四冠を目指したいと思います」と、今季自らが達成した快挙を塗り替える1年にするとコメントを述べた。そして大会MVPの大和田は「初回に野手の皆さんが点を取ってくれたので、楽に投げられました」と今日の試合を冷静に振り返り、更には7回2失点と自身のピッチングに加え今シーズンも振り返ると「結果としてはとてもいいシーズンになったが、今日のような接戦の場面でホームランを打たれるのは一番痛いので、その点を反省して次のシーズンに活かしていきたい」と自身の投球に満足することなく新シーズンの意気込みを語った。
一方の敗れた下町Tempestは初回の3失点が響きあと1歩のところで敗戦となったが、寒さ厳しい中で彼らは既に新シーズンの戦いをスタートしており、今季も下町Tempestの戦いぶりに注視する必要がありそうだ。
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