TOP > サマーカップ2015 > バックナンバー > 「大宮フェニックスが価値ある辛勝!サドンデスで分かれた勝と敗!!」
TEAM1234567SR
           大宮フェニックス           0        0        0        0        0        0        0        1        1    
     ひばりが丘ロータース         0        0        0        0        0        0        0        0        0    
エース対決は永野に軍配!大宮フェニックスがサドンデスを制し8強入り!!
爽やかな秋晴れとなった9月20日早朝。さいたま市の大宮健保グランドでは、本日の取材カード1戦目「大宮フェニックス 対 ひばりが丘ロータース」のサマーカップ3回戦が行われた。
戦いの先攻大宮フェニックスは、言わずと知れた昨年のスプリング王者。だが、連覇を懸け挑んだスプリングカップ2015では3回戦敗退という苦汁をなめているだけに、この真夏決戦に懸ける思いは一入である。
そんなチームを監督兼エースとして牽引する永野はゲーム前、「相手は過去にも対戦していて非常に手強い相手だと言う事は分かっているので、やはり大事になってくるのは初回の攻防だと思います。その中でキーマンになってくるのは1番ショートの山下ですかね。彼が初回に打ってくれればウチの流れになると思うので、相手ピッチャーは好投手ですが、5、6得点を目指したいなと思います。あとは、自分が完封で抑えれば負ける事はないので、とにかくチーム全員で声を出して勝ちを獲りにいきます」と語り、モチベーションを高める。
また、攻守での活躍を期待される山下は、「攻撃面では先頭バッターとしてチームに勢いを持ってきて、守りの面ではしっかり周りを見ながら声を出して引っ張っていくプレーをしたいなと思います。調子としても自分含め全員絶好調なので勝利目指して頑張ります」と、不動の若きリードオフマンが奮起を誓った。
対する後攻は、2回戦で優勝候補と目された深谷クラブを打ち破るなど、サマーカップでは初のベスト8進出を狙うひばりが丘ロータース。そのチームの指揮官笠倉監督はゲーム前、「今シーズンは良い悪いの波はありますが、良い時は強豪相手でも良いゲームが出来ているので、今日はどちらの戦いが出来るかですね。まあ、その辺りのカギを握るのは北川のピッチング次第になってくると思うのですが、今シーズンは肩の状態も良いので期待しています。大宮フェニックスさんにはこれまで2回共負けているので何とか勝てるように頑張ります」とコメントし、宿敵相手に闘志を燃やす。
また、その右肩にチームの思いを背負い先発マウンドに上がるエース北川は、「今季は、ここ2年肩を痛めて崩していたフォームを直す所から初めて、ここへ来てようやく纏まってきたので、今日は良いピッチングが出来ると思います。ただ、相手は過去2回共打たれているので、同じ失敗を繰り返さないじゃないですが、テーマとしてボールを低めに集める事と左右に動かす事を意識して打ち取れればなと思います。あとは仲間が打ってくれる事を信じて投げるだけですね」とコメントし、剛腕復活を見せつけるべく強い覚悟を覗かせた。

そんな両雄が三度相見える事となった真夏の必勝バトルは午前8時にプレーボールとなり、ゲームは両エースが激しい火花を散らす白熱の投手戦と化した。
1回表、先にマウンドに上がった北川は、大宮フェニックスのキーマン1番山下をストレートで詰まらせライトフライに打ち取ると、2番中村、3番長岡を続けてファーストゴロに打ち取り三者凡退。続く2、3回は、それぞれ1アウトから四死球で出塁を許すも、ランナーを背負った時程集中力を研ぎ澄ませ、何れも無失点に抑えると共に1本のヒットも許さない。
対する永野はと言うと、ひばりが丘ロータースの上位打線と相対した1回は、2番藤ノ木(瑶)から三振を奪うなど上々の立ち上がりを披露したが、続く2回に四球、内野安打、進塁打で2アウトながら2、3塁のピンチを招く。だがそれでも、これまでの経験からピンチの場面でも冷静さを失わない永野は、迎えた8番荒井をファーストゴロに切って取り無失点で切り抜けると、3回にも背負った2アウト3塁のピンチも3番寺口をサードゴロに打ち取り無失点。ランナーこそ背負えど両エース共に決して得点を与えない。

すると、そんな両右腕の粘投は中盤以降も継続。北川が4、5回共に1人のランナーも許さず三者凡退で抑え込めば、永野も負けじときっちり3人ずつで仕留め、まさに一騎討ちの様相を呈す。そんな中迎えた6回表、この回先頭の9番城所が北川の投じた2球目の真っ直ぐをセンター前へと弾き返すチーム初ヒットで出塁を果たすと、後続の1番山下、2番中村が内野安打、四球で繋ぎノーアウト満塁のビッグチャンスを作り出す。しかし、この試合最大のピンチに改めて闘志を奮い立たせた北川の前にクリンアップが三振、センターフライサードゴロで凡退に終わり無得点。ここまでの2戦を何れも2ケタ得点で勝ち上がってきた強力大宮フェニックス打線が、どうしても北川を打ち崩せず影を潜める。
一方、この試合最大の難所を凌ぎ、流れを引き寄せたひばりが丘ロータースは最終7回裏、この回先頭の4番櫻井がレフトオーバーの2ベースヒットで出塁し、一打サヨナラのチャンスを演出する。だが、北川同様に気迫漲る投球を見せつける永野の前に、5番下地の送りバントが失敗に終わると、6番藤ノ木(厚)、7番北川がピッチャーフライ、ライトフライに倒れ3アウト。両チーム共に終盤の決定的チャンスを活かし切れず、勝負の行方はサドンデス戦へと委ねられた。
すると迎えた延長8回表、2アウトとなり打席に入った2番中村が、「あれが唯一の失投でした」とゲーム後に語った北川のストレートを逃さずライト前へと弾き返し、遂に1点を奪い取った大宮フェニックス。それに対しその裏のひばりが丘ロータースは、8番荒井が浅いライトフライに打ち取られ2アウトとなると、最後は9番佐野が永野の投じた渾身のストレートに手が出ず見逃し三振。最後の最後まで熾烈を極めた白熱の投手戦は、中村の放った起死回生の一打で手にした貴重な1点を、エース永野が有言実行の完封劇で死守した大宮フェニックスに軍配が上がり、死闘に終止符を打った。

ゲーム後、戦いを振り返った永野監督は「とにかく今日のゲームは厳しかったの一言ですね。6回のチャンスで点を取れなかった時はヤバいなと思いましたし、サドンデスでもサインミスがあったりして正直負けゲームでしたね。本当に中村は良く打ってくれたなと思います。今日は自分達の力を過信してしまった部分がありましたし、ここから勝ち進んでいくには改めて気持ちを引き締め直すと共に、自分達の野球を見直す必要があると思います」と語り、勝利を手にした喜びよりも露呈した課題への反省インタビューとなった。
一方、あと一歩の所まで勝利を手繰り寄せていただけに、本当に悔やまれる惜敗となってしまったひばりが丘ロータース。ゲーム後、話を伺った笠倉監督は「北川が期待以上のピッチングをしてくれた分残念ですね。ただやはり、攻撃面でチャンスに1本が出なかったり、バントのミスがあったりするとこういう接戦は勝てませんね。サドンデスで相手は1番からウチは8番からという打順の巡り合わせなんかも勝敗を分けたのかなと思います。また来年出直してきます」と語り、悔しさを噛みしめつつ今日の敗北を糧に来季こその躍進を約束した。
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