TEAM	1	2	3	4	5	6	7	R
NTスコーピオンズ	1	0	0	0	0	1	-	2
GOLGO BASEBALL CLUB	0	0	4	0	0	×	-	4

9月20日午前11時。埼玉県さいたま市の大宮健保グランドでは、この日の取材カード2試合目となった一戦、「NTスコーピオンズ VS GOLGO BASEBALL CLUB」の2部リーグ決勝トーナメント1回戦が行われた。 そのバトルの先攻は、昨年結成1年目にして掴んだ3部リーグ準優勝という実績と自信をひっさげ、今季から2部へのステップアップを果たし、見事決勝トーナメントへと勝ち上がってきたNTスコーピオンズ。そのチームを率いる鎌田代表はゲーム前、「1つ上のリーグに上がったという事でレベルの違いを感じる部分は多々ありますね。ただ、それよりも今季はメンバーを集めるという部分で苦労していて、今日もピッチャーはいますが3人いるキャッチャーが全員来れていないので、その中で如何にして勝つかがテーマですね。なので、Victoriaでは初マスクを被るキャプテン望月と先発金子のバッテリーがポイントになってくると思います」と語り、チーム結成2年目で味わう試練を乗り越えての勝利に闘志を燃やす。 また、チームが誇る2枚看板として先発のマウンドに上がる金子は、「調子はまずまずなので、いつも通りのピッチングが出来ればなと思います。まあ、自分の後には延島もいるので、2人で試合を作れるように頑張ります」と語り、前半からの全力投球を宣言した。 対する後攻は、過去2年共に決勝トーナメント1回戦という壁に阻まれ、苦汁をなめてきたGOLGO BASEBALL CLUB。それだけに今季こそはとジンクス打破に燃えるチームを束ねる久田GMはゲーム前、「この1回戦では2年連続でやられているので、今日は何とか三度目の正直になるように気合い入れて頑張ります。そのためのキーマンになるのは、やはり先発の長谷川ですかね。ウチは決して打てるチームではないので、コツコツと積み上げた得点をアイツが守ってくれるかが勝利の鍵になってくると思います」と、3年越しに踏み出す新たな一歩に向け、強い意志を言葉にした。 また、 そんな待望の勝利へとマウンドを託された先発の長谷川は、「今日のピッチングテーマは、丁寧にコントロール重視で投げる事ですね。調子としてもまあまあの状態なので、そこだけ意識出来れば勝ちというものが見えて来ると思います」とコメントし、絶対に負けられない戦いを前に静かに集中力を研ぎ澄ませた。 そんな両雄が凌ぎを削り合う事となった戦いは、気温26度と少し汗ばむ陽気の中プレーボールとなり、ゲームはスタート直後から動きを見せた。 1回表、大会屈指のリードオフマンとしてNTスコーピオンズ打線を牽引する1番関口が、詰まりながらもしぶとくセンター前に落とすヒットで出塁。更に、GOLGOバッテリーの警戒を搔い潜っての盗塁成功に2番佐藤の進塁打で3塁へと進み、あっという間にチャンスメイクを図ると、2アウトとなって迎えた4番川村がフルカウントからの6球目をレフト前へと弾き返し、幸先良く1点を先制。負けたら終わりの一発勝負では何としても欲しい先取点を主砲のタイムリーで奪い、最高の形でゲームの先手を取った。 一方、自分達が手にしたかった主導権を奪われたものの、すかさず反撃に出るGOLGO打線は、直後の1回裏にノーアウト2、3塁。続く2回裏にも6番井出の2ベースヒットで1アウト2塁と立て続けにチャンスを演出する。しかし、思い切って仕掛けたスクイズエンドランが失敗に終わるなど自らチャンスを潰してしまい、何れも得点へと繋げる事が出来ない。 それでも、徐々に本来のピッチングを取り戻した長谷川が2回を三者凡退。続く3回は先頭の1番関口に再びセンター前ヒットで出塁を許すも、巧みな牽制でタッチアウトとするなど流れを少しずつ引き戻すと、迎えた3回裏、右腕の粘投にようやく打線が応える。 1アウトからヒットで出塁した1番川崎が盗塁、進塁打で2アウトながら3塁に進むと、ここで金子がボークという痛恨のミスを犯し、思いがけない形で同点に追いつく。すると、ここを勝負所と睨んだGOLGO打線が3番浜崎の2ベースヒットに4番久田が死球を貰い再びチャンスを構築すると、この好機に巡ってきた5番大山が2球目の変化球をジャストミート。「前の打席で三振していたので、打ってやろうという気持ちは強かったです」とゲーム後に振り返った一打は、左中間を真っ二つに破るランニングHRとなり一挙3得点。序盤からチャンスこそ作れど捉え切れなかった金子を遂に打ち崩し、4対1と一気にゲームをひっくり返した。 一方、まさかの失点で同点とされ、その悪い流れを引きずるかのように逆転を許してしまったNTスコーピオンズ。だが、このまま引き下がる訳にはいかない彼らは、4回途中から必勝パターンである2番手延島への継投策を図るなど流れに変化を与えると、迎えた最終6回表だった。初回に先制打を放っている4番川村がレフトオーバーの2ベースヒットで出塁し再度打線を鼓舞すると、その後2アウト1、3塁となった場面で7番青柳が鮮やかな流し打ちでレフト前へと運び1点を奪い返す。しかし、尚も続くチャンスで迎えた8番金子が、初回以来の失点に改めて気持ちを引き締め直した長谷川の前にバットが空を切り万事休す。土壇場で1点を捥ぎ取り意地を見せたNTスコーピオンズだったがあと一歩及ばず、中盤の一気呵成で奪ったリードを守り切ったGOLGO BASEBALL CLUBに勝利の女神が微笑んだ。 ゲーム後、待ちに待った勝利の喜びを噛み締める久田GMは、「初回に1点取られて少し焦った部分はあったんですが、地道にランナーを溜めていくというウチの野球を徹底出来た事が3回の逆転に繋がったと思います。久々に快心の一撃を放ってくれた大山には感謝していますし、長谷川も本当に粘り強く投げてくれました。ただ、ここから先の戦いは、もっと相手の嫌がるプレーをしていかないと勝ち進めないかなと思うので、とにかく今年こそは優勝出来るように、次の相手にも思い切りぶつかっていきたいと思います」と語り、第一関門突破に頬を緩めつつも次戦へと気持ちを引き締めた。 一方、最後まで食らいつく姿勢を見せたものの一歩届かなかったNTスコーピオンズ。ゲーム後、話を伺った鎌田代表は「2年目のジンクスとはこういう事なのかなと感じています。1年目で結果を残せた3部では、個々のポテンシャルで勝てた部分があったんですけど、2年目の今年は相手が強くなったのにも関わらず自分達の力を過信して、草野球の戦い方に順応出来ていなかったですね。なので来季に向けて、強豪チームのプレーを参考に点の取り方などを学ばなくてはなと思っています」と、今日の敗北を含めた今シーズンの戦いを振り返り、3年目の大いなる飛躍へと前だけを見据えた。